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森から木材へ、木材からクレヨンへ。プランナーが語る「森のクレヨン」開発ストーリー【前編】

2022.4.14

森から木材へ、木材からクレヨンへ。プランナーが語る「森のクレヨン」開発ストーリー【前編】

Playfoolさんのアイデアからはじまった「森のクレヨン」作り。お客さまのもとにお届けできるかたちになるまで、たくさんの挑戦がありました。フェリシモのプランナーが、開発の舞台裏をお話しします。

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フェリシモ 小倉

フェリシモの商品企画担当。Playfoolさん発案の「森のクレヨン」商品化に携わる。以前から地元・神奈川県の伝統工芸である寄木細工など、色の違う木を使ったプロダクトに魅力を感じていたため、今回のプロジェクトには興味津々!

どうやって木を集めるか?

今回クレヨンを開発するにあたり、10種類の色とりどりの木材を用意する必要がありました。
クレヨンとして色のバリエーションを表現できるほどの種類、しかも、たくさん生産するのに必要な量の木材を、どうやって集めたらいいのかわからない……。
悩んだ末、Playfoolさんがクレヨンを考案するきっかけとなったプロジェクト「WOOD CHANGE CAMP」で、彼らの開発を手伝っていた「株式会社 飛騨の森でクマは踊る」(通称:ヒダクマ)さんに、木材を集めるお手伝いをしてもらえないかと相談したところ、快くご協力いただけることに。

ヒダクマさんは、岐阜県の飛騨古川に拠点を持ち、デザイナーのプロダクト開発を支援したり、アーティストとコラボレーションして木材の新たな使い方を提案するなど、森のツアーやワークショップを通して、森と人の生活を結びつける取り組みをされている企業です。

実際に、フェリシモの「森のクレヨン」企画チームも飛騨の森へ行き、どのようにクレヨンの原料が生まれるのかを見せていただきました。

雪が降る直前の飛騨の森へ。

11月末、雪が降る前になんとか間に合い、地面が落ち葉ですき間なく覆われた飛騨の森へ。
雨上がりの地面からはひんやり冷たさが伝わり、とても静か。人の気配もありません。

風が吹いた瞬間、耳をすますと、カサカサカサカサと風に乗って葉が舞う様子を音で感じることができました。
一緒に小鳥のさえずりも聞こえてきて、ふだんの生活とまったく異なる世界に、少しずつ気持ちも澄んでいきます。

鳥を探そうと上を見ると、そこには天まで届く勢いで力強く生える木々が。
これらもクレヨンに使われる原料と同じ木だと考えると、「森の恵みをおすそ分けしてもらっている」ということを、森に来る前よりもずっと強く感じるようになりました。

しばらく歩いてみると、自分の足よりも大きな葉が折り重なって地面に落ちています。
これは「ホオ」という木の葉で、クレヨンの中の1色にもなっている樹種です。

岐阜名物の「朴葉味噌」をご存知の方も多いのではないでしょうか? この大きな葉の上で味噌にネギなどの薬味や山菜を絡め、焼いて食べるそうです。
なんでも包めてしまいそうなくらい、本当に大きな葉ですね。

ほかにも、栗が転がっていたり、赤や黄色、色とりどりの落ち葉やどんぐりを見つけたり……少し足を進めるだけで、街ではなかなか出会えない、森ならではの発見がたくさん。

伐採されたばかりの切り株には、チェーンソーで切った後の木くずがそのまま残っており、明るいバニラ色からこげ茶色まで、同じ木の幹の中でも多彩な色が入り混じって、美しいグラデーションがあるのがわかります。

そして、荒々しい木の肌や、見たこともない鮮やかな色のきのこ、寒い中でも凛々しく緑の葉をつける針葉樹を見て、自然のパワーを大いに感じました。

森へ行く前には、スギの木のまわりにはスギばかりが集まって生えていると思っていたのですが、実際にはヒノキやナラ、ケヤキが一緒に生えていて、広葉樹と針葉樹が共生していることを知り、驚きました。

ヒダクマさんのお話によると、光が好きだったり陰が好きだったり、木の種類によって性格があるそうです。
広葉樹は紫外線の強い夏に大きく葉を広げて養分を蓄え、日差しの少ない冬は葉を落とし、エネルギー消費を抑えているのだとか。
反対に、針葉樹は季節を問わずに葉をつけている「常緑樹」と言われ、少しずつエネルギーを取り込んでいるのだそう。
確かに、葉を広げる木どうしが近くに生えていたら、お互いの葉が重なって日光が当たりにくくなってしまいますね。
このお話を聞いて、いろいろな種類の植物が共生している理由に納得しました。

次に製材所の見学へ

森で伐採された木は、枝を切り落とされ、丸太の状態で「土場(どば)」と呼ばれる製材所に運ばれます。
規格外のサイズや、節・割れ・虫食いなどで家具にはできない木材はここで選別され、はじかれたものは薪などの燃料やチップ材として活用されるそうです。

森のクレヨンで使用する木材も、大半は家具として使用することができないものを粉末に加工しています。

チェーンソーで節や割れ部分などをカット。
こちらは先ほど紹介した「ホオ」の断面。中心部が緑がかったグレー色をしています。

家具にならず、薪になった木材。

▼家具用の木材は、こんな加工工程をたどります。

丸太の側面に一周刃をあて、木の皮をはいでいきます。

今回のクレヨンには採用されませんでしたが、「キハダ」という木は名前の通り皮をはぐと、黄色い木の幹が出てきます。
(暗い皮の色もあいまって、焼き芋のような鮮やかな色です!)

激しく飛び散った木の皮を拾ってみました。木の種類によって色もさまざま。

丸太を大きなのこぎりでスライスしているところ。

板になった木材は、製品になった後に反らないよう、乾燥させます。

木材は出荷され、それぞれのプロダクトになっていく。

板になった木材は、建物や家具、雑貨などに形を変えていきます。
ヒダクマさんの工房でも、いろいろな機械を使って木を加工しています。

クレヨンの原料となる木くずも、電動カンナなどの機械をつかった時に出たもの。
もともとの、森の中に生えている姿が想像できないくらい細かくなりました。

ここまで、森に生えていた木が丸太に、そして板や薪、木くずになるまでをご覧いただきました。

後編では、この木くずがどのようにクレヨンの姿になっていくのか、苦労したポイントなどもあわせてご紹介します。

後編につづく

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みんなの感想みんなの感想

  • 1. ろこさん 2022年04月17日 15:13

    木の命をいだだく神聖な気持ちになりました🙇
    感謝しつつ大切に使いたいと思います。

  • 2. ねむこさん 2022年05月19日 20:24

    木材からクレヨン?ちょっと不思議でしたが、記事を読んで納得しました。感動も近いです!
    描かせて「いただきます」
    木の再生、持続可能なはたらきですね。

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