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技を「つかいきる」器づくり、やってみました Vol.03

2021.12.10

技を「つかいきる」器づくり、やってみました Vol.03

一期一会の信楽焼小皿、徹底解剖!

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山野耕司さん

1937年創業の信楽焼の窯元「丸十製陶」の商品企画本部長。器づくりでいちばん楽しいのは、土と釉薬の組み合わせを考えているとき。

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田中圭さん

暮らしの道具をプロデュースするGO BEYOND代表。自身のブランドでも山野さんと商品企画をしていて、旅や音楽からインスピレーションを得たものづくりが信条。

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矢野

フェリシモの生活雑貨プランナー。長くつかうことのできる物に魅力を感じていて、小学生のころ使っていたマグカップを今も使っている。

すべて表情が異なる一点もの、自然が生み出す窯変が美しい「一期一会の信楽焼小皿」の6枚をご紹介します!

Deep Woods(奥深い森)
見ていると静かな森の奥深くに入った時のよう。風に揺れる葉、木漏れ日、うっすら漂う霧、色んな色が自然になじみ、動物の息づかいが聞こえてきそうです。

山野 山野

この色目は以前から信楽の石を含んだ土と窯変でなにかを作りたい!と考えていたものです。まずは素地となる土からこだわりました。2種類の釉薬を掛け、淵から面に流れ溶け合う二つの釉薬で窯変の表情が生まれました。個人的に一番思い入れのある焼き上がりとなりました。

田中 田中

ザラザラした手触りとインダストリアル感ある色合いが、食材だけでなく、アクセサリー等を載せても映えます。

Northern Lights(オーロラ)
いつでも見れるとは限らないオーロラ。そんなオーロラの空を表現しました。緑にも青にも見える夜空にかかる、うっすら白い自然のカーテンを楽しんでください。

山野 山野

2種類の釉薬を掛け合わせることにより緑にも青にも見える表情に焼き上がります。すなわち“火にもたれ掛かかる”という炎が織りなす技。作り手が出来ることは、釉薬の配合と掛け分ける感覚のみ。絶対に同じものが焼き上がらない神秘的で幻想的な色合いをお楽しみください。

田中 田中

輝くライトブルー部分がこのうつわの醍醐味のひとつ。流れ方が1枚1枚異なるので、この部分を意識しながら盛り付けをするのも楽しい時間。

Lagoon(ラグーン)
砂州やサンゴ礁により外海から隔てられた水深の浅い水域、ラグーン。空と木の色が水面に写り込んだ、森の中にある静かなラグーンをイメージしました。光を当てると水面の青緑が色んな表情に変化して光り、吸い込まれそうになります。

山野 山野

サンプル制作を繰り返すことで土を見直し、釉薬の掛け方を見直すことでやっと納得のいく奥深い神秘的なブルーに焼き上がりました。

田中 田中

貫入のひびがはっきりとわかり思わず見とれてしまう。イメージするスイーツはクレームブリュレ。

Horizon(地平線)
日没前に光が当たって輝く大地と、雲ひとつ無い真っ青な空の境界である地平線を表現しています。コントラストが美しく、空と地が重なる部分の金色と青色が重なり合った表情も魅力的です。

山野 山野

全て性質の異なる3種類の釉薬で焼き上げてみました。3つの釉薬を掛け分けることにより互いに溶け合い各々の釉薬の動きが感じ取れます。作り手がからも焼き上がりが楽しみなお皿です。まさに火が織りなす魅力的なコントラストをお楽しみいただければと思います。

田中 田中

置き方を縦横変えるだけで表情が全く異なるうつわ。盛り付けを中央ではなく、敢えて隅に寄せて置くのもあり。

Snow and Ice(氷雪)
薄く張った氷の上に、少し青みがかった青白い雪が落ちて重なったよう。すぐに溶けて水になってしまいそうな、繊細な冬の時間を表現しています。

山野 山野

優しい風合いの釉薬と、力強い質感の信楽の土、このふたつの異なる性質をもつ素材を調和させるのにかなりのテストを繰り返しました。お皿中央に見える淡い水色が大きく出ると優し過ぎたり、また白い信楽土のところが多いと荒く見えたりと。そしてたどり着いたのが、上からさらに別の釉薬を掛けることで自然な色合いのグラデーションを作り淡く優しい色合いに焼き上がりました。

田中 田中

中央から溶け出した水が溢れ出ているような色合い。とろけだすクリームがのったケーキをのせてみたい。

Coastline(海岸線)
海と陸地との境界となる海岸線。陽を通してきらめく美しい海と、そこから陸につながる岩の逞しさを感じます。ところどころ濃淡がある海の景色を楽しんでください。

山野 山野

ブルーの綺麗な発色を生かす為、相反する性質の釉薬を淵に掛けて焼き上げました。相反する釉薬が溶け合うことにより、焼成後にちぢれや歪みなどが出てしまいテストを繰り返しやっと納得のいく色合いの焼き上がりとなりました。海岸に打ち寄せては返す波の様な感じの自然なグラデーションをお楽しみいただければと思います。

山野 山野

内側の鮮やかさと外側の鈍い光が対照的。意外と煮物が合うかも。

矢野 矢野

いかがでしたか?技をつかいきって作られた6枚のスペシャルな器。奥行きのある景色を堪能していただけたと思います。
見た目にバラツキを出さずに仕上げることが焼き物の技術とされてきましたが、本来は土や火などの自然の力を使って手づくりで作られる焼き物。ひとつひとつに個性が出ることが本当の姿です。それを個性と捉えて、楽しんでいただきたい。自然の偶然と技術が生みだす個性的な仕上がりに愛着を感じていただきたい。そんな想いから、それぞれ表情が異なる仕上がりになる、この小皿を企画しました。お手もとに届いた日から、あなただけの器との物語がはじまっていく、そんな日々を楽しんでいただきたいと思っています。

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