2022.2.16
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袋谷タオル5代目 袋谷謙治さん
美しいジャカード織が評判の創業95年の老舗タオルメーカーの5代目。先代たちが手掛けてきた本業のタオル製造を継承しつつ、地元の人々と一緒に、新しいタオルづくりにチャレンジしている。
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射手矢農園代表 射手矢 康之さん
地元野菜の味を守りたいと、泉州野菜を中心にさまざまな野菜を育てている。「松波キャベツの収穫祭」「田んぼアート」など、地元を盛り上げる活動を積極的に展開中。
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Fu(ふー)
日々の暮らしを楽しむとっておきを紹介する「フーズノート」の店主。アップサイクルの奥深い世界に惹かれ、長年にわたりアップサイクルを探求し続けている。
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もちこ
フェリシモの新人社員、現在アップサイクルの勉強中。奇遇なことに、Fuともちこは、同じ大学の先輩&後輩。
「マコト商店」の次に訪れたのは、「雫シリーズ」において、キャベツとたまねぎで染めたタオルでコラボレーションしている射手矢農園。代表の射手矢さんと袋谷さんは長~い付き合いの友人。地元泉州を盛り上げようと、さまざまなことに一緒に取り組んできたそうです。
「雫シリーズ」に使われた泉州野菜の「松波キャベツ」とは、いったいどんなキャベツなんですか?
大きく育って、芯まで甘いのが特徴のキャベツです。収穫時期になるとバレーボールくらいの大きさになります。レストランのシェフからも人気ですし、大阪の有名なお好み焼き屋さんでも使われています。
射手矢農園では、毎年、お取り引き先のお客さまや一般の方にキャベツの収穫を体験してもらう、松波キャベツの『収穫祭』があるんです。「雫シリーズ」の松波キャベツ染めのタオルは、この収穫祭で残ったキャベツの”外葉”を使って染めています。
もともと収穫祭は、日頃お世話になっているシェフやお客さまに感謝したいなと思って始めたんですが、気がついたら300人規模のイベントになっていました(笑)。みんなでキャベツを収穫して、お好み焼きなどを焼いて食べて・・・・・・シェフと生産者がつながる場にもなっているようです。生産者たちも、目の前で「おいしい!」と言ってもらえると張り合いが出るみたいで、モチベーションアップにもつながっています。
めっちゃ楽しそう! 次回はぜひ私も参加したいですっ!
収穫祭で残ったキャベツの外葉でタオルを染めるというお話を聞いたときは、どう思いましたか?
最初はもちろん驚いたよ(笑)、確かにそれまでは外葉は処分するしかなかったからね。でも、話を聞いているうちに、捨てるしかないと思われているものを生かせるとわかり、すごくいい取り組みだと思ったし、まず第一に、友だちがやりたいことに携わりたいという思いがあって。だから、袋谷さんの役に立てたこともうれしいです。結局、まわりをどんどん巻き込んで動けば、いろんなことが動いていくんだよね。
(うんうんと頷きながら聞いている袋谷さん)
たまねぎで染めたタオルも射手矢さんの農場で採れたたまねぎを使ってるんですよね? それにしても、射手矢さんとこの玉ねぎ、とにかく大きくてびっくり! 私の顔ほどあります。
たまねぎ染めのタオルも、水なすと同じように、実と皮を分けて2色のタオルにしました。傷ついたり色が変わったりして出荷できない泉州玉ねぎを使い、半年の試作を重ね、ようやく安定してきれいな色が出せるようになったんです。
泉州は玉ねぎ栽培の発祥の地と言われていて、ここから種や技術が淡路島に渡っていったそうです。(諸説あります) かつては玉ねぎ生産量日本一でしたが、今作っている農家はわずかになりました。うちもほかの野菜に切り替えようかと思った時期もありましたが、ミシュランガイドにも掲載されるレストランのシェフに「きみのところの玉ねぎは日本一だ」と言ってもらって、思いとどまりました。そんな経緯もあって……うちの玉ねぎをおいしく食べてもらうのはもちろんのこと、捨ててしまうしかなかった部分も、食とはまったく別の、価値あるものとして世の中に出していけることは、うれしいし、誇らしいことです。しかも、仲間と一緒に考えて作りだしているのでなおさらです。
伝統野菜を次世代に残していくって、本当に大変なことなんですね。今回、射手矢さんと袋谷さんのお話を伺いながら、人と人のつながりと地元を大切に思う気持ちが、この「雫シリーズ」タオルの誕生に不可欠だったのだな、とあらためて納得しました。
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今よりちょっとだけ上手な「つかう」を覚えたら、 今よりちょっとだけ「つかいきれなかった」が減ったら、 それは前よりちょっといい世界かもしれません。
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