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「好き」と「仕事」の関係って? | 魔法部スペシャル座談会 【3/5】

2022.8.10

「好き」と「仕事」の関係って? | 魔法部スペシャル座談会 【3/5】

フリーアナウンサーの宇垣美里さん、「なかよし」編集部の図師いづみさんをゲストに迎えた、笑顔あふれるフェリシモ魔法部の座談会。

今回のお話は、お二人が仕事で大切にしていることや、仕事のやりがいについて。自分らしく働くために必要なことってなんだろう? 目からウロコな仕事論は必読です!

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宇垣美里さん

2014年4月にTBSに入社。アナウンサーとして数々の人気番組に出演。
2019年3月にTBSを退社後、オスカープロモーションに所属。
現在はフリーアナウンサーとして、テレビ、ラジオ、雑誌、CM出演のほか、女優業や執筆活動も行うなど幅広く活躍中。
昨年12月には週刊文春での漫画評連載をまとめた「今日もマンガを読んでいる」を発売。

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図師さん

1996年講談社入社。現「なかよし」副編集長。ファンタジーものや魔法少女もののマンガを数多く担当。担当作品に「ヴァンパイア男子寮」「東京ミュウミュウオーレ!」「どうせ、恋してしまうんだ。」「ぴちぴちピッチaqua」など。

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前田

フェリシモのブランド「魔法部」の商品企画やプロモーションを担当。「魔法部」は、魔法使いの出てくるファンタジーや魔法少女の物語が大好きだった人に向けて、「大人になっても自分の好きな世界を愛し続けられるよ!」と提案しているブランドです。

前田 前田

次は、お二人の活動やお仕事に携わるきっかけについてお話を聞きかせてください。
私は昔からかわいい世界観が好きで、大人になってもそういう世界を作りたい、とずっと思っていました。フェリシモの社内でも「ファンタジーが好き!」と公言していたら、「魔法部」というブランドを立ち上げるきっかけをもらった、という経緯があって。

宇垣さん 宇垣さん

すごい! めっちゃいい会社ですね。

前田 前田

「大人になってもファンタジーを愛していいんだよ!」ということをメッセージとして発信し続けたい、という思いはずっと持っています。

宇垣さん 宇垣さん

そういえば「なかよし」でも、成長した読者である大人を狙い撃ちするような商品がたくさん出ていますよね。「美少女戦士セーラームーン(武内直子)」や「カードキャプターさくら(CLAMP)」の化粧品とか、目薬とか。子どものころと違って、今は自由になるお金があるぶん、つい大人買いしてしまうんですよね(笑)。

図師さん 図師さん

すみません(笑)。でも、ありがとうございます!

前田 前田

いえいえ、しあわせです(笑)。
さて、では、図師さんが「なかよし」編集部で働こうと思った理由はなんですか?

図師さん 図師さん

夢のない話なのですが…、本当は、映画会社やテレビ局でドラマが作りたかったのですが、就職活動でうまくいかず、最終的に内定をもらったのが講談社と新聞社だけだったんですよ。私はフィクションに携わりたかったので、講談社に入ることにしたんです。
入社当時は文芸の編集者を目指していたので、「なかよし」編集部に配属になった時はちょっと驚きはしたのですが、「キャンディ♡キャンディ(原作:水木杏子、いがらしゆみこ)」が私の少女時代の心を育ててくれたので、講談社の中では一番親しみのある雑誌だったし、すんなりと仕事になじむことができました。

図師さん 図師さん

最初の希望とは違っていたけれど、今となっては「なかよし」でいろんなジャンルのストーリーを世界に向けて発信できているので、講談社で、しかも「なかよし」編集部で働けてよかったなと心から思います。

前田 前田

お話を聞くと、「なかよし」ってやっぱりすごい雑誌だな、と改めて感じます。宇垣さんはいかがでしょう。

宇垣さん 宇垣さん

私は神戸で育ち、京都の大学に通っていたので、次は東京に出たい!という気持ちがすごく強かったんです。東京にいられる仕事というとキー局だな、と思ったことと、文章を書く仕事もしたかったことから、報道記者を目指すことにして。テレビも大好きだったので、よし、それならテレビ局の記者になろう!と。
テレビ局の「アナウンスセミナー」で出会った、あるアナウンサーの方から「記者、カメラマン、ディレクター。関わる人みんなで作った報道の最後のバトンを受けて視聴者に届けるのがアナウンサー。だから、決して一人だけの仕事じゃないんです。責任重大だけど、そのぶんやりがいがある仕事です」と教わって、すぐに「やりたい!」と思うようになって。それで、試験を受けてみたら幸運にも受かってしまった…という感じです。

前田 前田

素晴らしいです…。宇垣さんは文章のお仕事もされていますが、どのような流れで今のように表現の場所を広げてこられたのですか?

宇垣さん 宇垣さん

文章を書きたいっていう気持ちは変わらずずっとあったので、それを言い続けていたら、あるときスポーツ新聞のコラムを書く機会をいただけて。そのとき、そのコラムを読んだ局の偉い方がわざわざ褒めに来てくださるほど、いろいろな方から反響をいただくことができたんです。その後も、先輩から「プレイボーイ」のコラムのお仕事を引き継がせていただくことになったり、「週刊文春」でマンガの連載をいただけたりしながら今に至ります。「夢が叶った!」という感じで、とてもうれしいです。

図師さん 図師さん

素晴らしいですね。宇垣さんはご自分の言葉がある方ですから、これからもぜひ、書き続けてください。

宇垣さん 宇垣さん

ありがとうございます…!
子どものころから読んできたもの、見てきたものがずっと自分の中に積もっていて、今もそこから自分なりの言葉が生まれてきているような感覚があります。だから、ずっと読んできてよかった。物語にふれてきてよかったです。
「週刊文春」でマンガのレビューを連載しているのですが、本当に自分の好きな本だけを選んで、いちファンとして書いているから、スタンスとしてはほぼラブレターなんですよね。作り手側に届くことがあるかもしれないと思うと、なおさら、頑張って書こう!と思います。

図師さん 図師さん

宇垣さんの書評は、みんなものすごく読んでると思いますよ。私もいつも興味深く拝読していますが、作品を本気で愛してらっしゃることがすごく伝わります。他の文章もとても良いし、子ども時代の愛犬について書かれたエッセイを読んだときは号泣してしまいました。私は宇垣さんにいつか小説を書いてほしいと思っているんです。

宇垣さん 宇垣さん

そんなふうに言っていただき、ただただ嬉しいです…ありがとうございます。

図師さん 図師さん

宇垣さんの文章は、読むと元気が出ますよね。どの本の文章からも、宇垣さんが宇垣さんご自身であり続ける強さというのを感じます。宇垣さんが頑張ってらっしゃるから、私も頑張らなきゃ!と思えるんです。

前田 前田

わかります。本当にかっこいいですよね。私は宇垣さんの文章を読むと、「ああ、私もこういう風に思ってたんだ!」と気付かされることが多いです。前から自分の中にもあった感情を、宇垣さんが言語化してくださることで、はじめてちゃんと気づくことができるというか。

図師さん 図師さん

今のいろいろなジャンルの女性たちの表現からは、女性を縛る前時代的な感覚もはねのけていく!という意思や、シスターフッドの精神も感じますね。

宇垣さん 宇垣さん

確かに、最近の少女マンガにしてもそうで、女の子が女の子にただ意地悪される、みたいな話は減ってますよね。あったとしてもちゃんと上辺だけを描くのではなく、意地悪な子のバックグラウンドをていねいに描いたり、それを乗り越えてまた仲良しになれたり。または、考え方が違って仲よくなれなくても、でもお互いに認めあって生きていくとか、そういうのが多い。だから読んでいて同意できる。わたしたちシスターじゃん、って。

図師さん 図師さん

女性は人生の選択によって一時的にいろいろと道が分かれることもありますが、それでもお互いを思いあえるし、優れた想像力で、違う立場の人に対しても共感できる。そういう豊かさがあると思いますね。

前田 前田

今働いていて、いちばんやりがいを感じるのはどんなことですか?

図師さん 図師さん

私は入社して約25年、実は今がいちばんやりがいを感じています。それは、最初に配属になった「なかよし」編集部に、定年退職が見えてきたこの時期に在籍しているということが、とても大きいです。

20代、30代の青春時代を捧げてきた「なかよし」ですが、当時の私は若すぎて、未熟すぎて、自分が何をしているのか全く全体は見えていませんでした。

でも今、「なかよし」編集部に戻ってきて改めて実感したのは、世界中の「なかよし」の読者が、SNSを通じて、また作品の国内版・海外版を読むことで、過去の「なかよし」の作品をずっと愛してくれていることです。

図師さん 図師さん

20数年前に当時の先輩方や自分がまいた種が世界中で芽吹き、世界中の読者の心の中にしっかり育っているのを感じて、「自分ががむしゃらに働いていたことは意味があったんだ。編集者というのはなんてありがたく尊い仕事なんだろう」と思えるようになったんです。

今新たに作っている作品も、それこそ星から光が届くように、芽吹くまでにはかなりの時間がかかると思います。この作品がずっとこの先の読者の心に生き続けるように、また、後年の読者にも魅力を伝えることができるように、普遍性があって上質な、そして何より漫画家さんと編集者の愛やメッセージが恒久的に伝わるような作品を、コツコツ作らなければいけない。そう、改めて肝に銘じているところです。

宇垣さん 宇垣さん

子どものころは深く考えずに、その瞬間を楽しみながら、ただ夢中でマンガを読んでいただけでした。でも、大人になってから振り返ると、当時読んでいたマンガからものすごく大切なものをたくさん受け取っていたんだなと感じますし、マンガに込められたメッセージが、自分自身の血肉になっているのを実感します。だから私の中にも、かつて図師さんのまかれた種が、確実に芽吹いているのだと思います。

図師さん 図師さん

ありがたいお言葉です。どうか、大輪の花を咲かせてください。

宇垣さん 宇垣さん

私は、今はずっと走り続けているような状態で、自分でも何をやってるかよくわからないところもあるのですが…、ただ、新しいことに挑戦するのが好きなんですよね。だから日々いろいろなことにトライして、自分の中にそのトライした事実をストックしていきたい。そしてそのストックをときどき確認しては、ほくそ笑みたい…という気持ちがあります。
アナウンサー業はもちろん、モデルのような仕事をやらせていただくのもおもしろいし、演技もおもしろい。立場が変わるとこういうふうに世界は見えるんだということをその都度学べるし、今度はその学びや気づきをフィードバックして文章にする…というふうに、自分自身を循環させていける。それがすごく楽しいし、やりがいを感じています。

前田 前田

お二人がお仕事をされる上で大切にされていることはどんなことですか?

宇垣さん 宇垣さん

仕事に関しては、「どうしても自分じゃないとダメなこと」って何もないと思っているんです。それでもご縁があって、私の元にめぐりついたお仕事があるからには、ひとつひとつ誠実に、全力でやるしかない。
私は元々あまり欲がないというか、絶対にこうなりたい!という野心や執着というのがあまりないんです。そのぶん、自分がやったことを後から振り返ったときに、「ダサい!」と思うような仕事はしたくない。それこそ、ダサいことをしてしまったら、「カードキャプターさくら」に夢中だった少女時代の自分にきっと怒られてしまう。一生懸命だった少女時代の自分に対して恥ずかしいことだけは絶対にしたくないから、「やらせていただけて本当によかったな」と思える自分で常々ありたい、と思っています。

図師さん 図師さん

私も、心を込めて編集すること、これに尽きます。漫画家さんから届くプロットやネームは、毎回私も真剣にチェックします。マンガは工芸品ではないけれど、心を込めて作らないと、必ず受け手に伝わってしまいますから。
漫画家さんは、のめり込んで描くことが多いので、デッサンが狂っていても自分ではわからなくなることも多々あります。そういうときは、口うるさいと思われたとしても、「直した方がいい」と絶対に伝えるようにしています。マンガはいったん紙に刷られてしまうともうやり直しがきかない。漫画家さんの名前で出版されるものだから、作り手にとっても決して後悔の残らないよう、最善を尽くします。

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