2022.10.14
「毎月、生理が来るのは健康の証。だから痛みも我慢しなきゃ」そんなしんどさ、抱えなくていいんです。ピルやミレーナ、月経カップや布ナプキン……生理をケアする選択肢は、実はたくさんあります。生理をゴキゲンに過ごすための処方箋を前田エマさんが宋美玄先生に伺いました。
文/アケミン 写真/高見知香
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宋美玄さん
産婦人科専門医・医学博士・FMF認定超音波医。2017年に「丸の内の森レディースクリニック」を開業。最新刊に『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』(小学館) ほか著書多数
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前田エマさん
ファッションモデル。東京造形大学在学中からモデル、エッセイ、写真、ペインティングなど幅広い分野で活動。2022年6月に初の小説集『動物になる日』(ミシマ社)を上梓
PMSや生理痛など生理にまつわる悩みはさまざまですが、ひとつ言えるのは「現代女性は生理が多い」ということです。
え、生理が多い?
昔の女性は、15歳ぐらいで初潮を迎え、そこからほどなくして結婚、出産というライフコースを歩む人が大半でした。しかもひとりの女性が4人、5人と出産するケースも珍しくなく、出産回数も多かった。妊娠中や授乳中は、基本的に生理がストップしていますよね。
それに比べて少子化が進み女性が出産する人数も減っているし、高齢出産する人も増えている現代は、おのずと生理の回数も増えますよね。
そのとおりです。現代女性は一生のうちに450回も生理があると言われているんです。一説には、昔と比べて9倍にもなっているという試算も。しかも先進国では、栄養状態がよくなったこともあり、初潮が昔よりも早まっています。
なぜ栄養状態がよくなると初潮が早まるんですか?
生理って体脂肪がある程度、蓄えられると「子孫を残す準備ができた」とからだが判断して、やってくるんです。また平均寿命が長くなっていることも生理の回数が増えていることに影響していますね。
昔に比べて現代の女性は、ナプキンを買ったり、生理痛やPMSに悩む回数も増えたということですね。
生理の回数が多いことって、からだに良いことではないんですよ。
え、そうなんですか!
生理は「今月妊娠しなかった」というサインでしかありません。女性のからだは毎月排卵しているわけですが、妊活していない人が毎月毎月、排卵する必要はないし、むしろ卵巣と子宮がずーっと働きっぱなしの状態は避けたほうがいい。
卵巣も子宮も働きっぱなし……なんかすっごく大変そう。
そうなんですよ。現代は出産回数が減った分、生涯の排卵や月経の回数が増えて、子宮と卵巣はフル稼働。それにより子宮内膜症や卵巣がんも増えているんです。そのためピルなどホルモン療法で排卵をお休みして、子宮を休ませておくのが大切なんです。
子宮を休ませる!妊活していないなら毎月排卵する必要もないのに、生理のたびに痛みやだるさがあって、そのたびに学校や仕事もお休みせざるを得ないとしたら、すごくもったいないですよね。
現代女性の生理の数は人類史上、最多という不自然な状態。生理をケアして、月経を軽くすることはちっとも不自然なことじゃないんです。ピルを飲んで排卵を止めて、子宮を休ませてあげた人のほうが、そうでない人よりも妊娠しやすいというデータもあります。
子宮を休ませて避妊もできる、さらに将来的には妊娠もしやすいって、ピルのメリットってすごく大きいですね!
ちなみにピルは初潮を迎えたら飲んでも問題ないですよ。うちの10歳になる娘も「生理が来たらママに言ってなくしてもらうの」と言っています(笑)。欧米では10代から飲むのは一般的ですし、受験生で何年も勉強したのに入試の日に生理のためにパフォーマンスが落ちるなんて、ありえないですよね。
ただやはりピルというと副作用が気になります。
低用量ピルは吐き気やムカつき、不正出血、頭痛などを起こす人もいますが、その割合は1割未満。副作用は「絶対ない」とは言えませんが、副作用はどの薬でも言えることですね。
また40歳以上の人、タバコを吸う人、肥満の人は血栓症(血管のなかで血液のかたまりができて、血管が詰まってしまう病気)のリスクが高まるので注意が必要です。でも前田さんには当てはまらなさそうですね。
自分に合うピルって見つけられますか?
ピルも種類はさまざまですし、私自身も自分に合うピルにたどり着くまで数種類、試した経験もありました。
副作用リスクでピルが飲めない人にもIUS(子宮内に入れる小さな避妊具。 子宮の中で黄体ホルモンが持続的に放出されることにより、子宮内膜の増殖を抑え、受精卵の着床を妨げる。ミレーナとも呼ばれます)やエストロゲンの含まれていない「ミニピル」など選択肢もありますし、その他の治療も提案できるので、ぜひ気軽に診察に来てもらいたいですよね。
IUS、ミニピル……初めて聞くことばかりです! わたしも今度、先生に相談しに行っていいですか?
もちろんです! ピル、IUS、月経カップ、吸水ショーツ、布おりものシートなど生理アイテムは年々増えていますし、賢く使ってゴキゲンに過ごしてもらえたら、私たち医師もうれしいですね。
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みんなの感想
1. meguyutaさん 2022年11月13日 23:28
妊活をしていなければ、子宮と卵巣を休ませてあげたほうがいい、というのは衝撃でした!
でもよくよく考えたら、本当にそのとおりですよね。
出産後、生理痛はほぼなくなりましたが、黄体期のイライラや不安感が強く、しんどいと感じることが多いです。
でも40代なので、ピルにはリスクもあるんだなと……
妊娠・出産を経験しているのに自分のからだのこと、まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと気付かされました。
ピル以外の他の方法も含め、まずは知ることが大事だと感じたので、色々調べてみたいと思います!