menu

しまう

menu

しまう

おてらおやつクラブ スペシャル座談会 episode.1

2022.10.14

おてらおやつクラブ スペシャル座談会 episode.1

お寺の「ある」と社会の「ない」をつなげるために。

悩みや困りごとを誰かに聞いてほしいと思っても、気軽に会って話すことがむずかしくなってしまった今日このごろ。現在、日本では子どもの貧困が深刻化しているなかで、「助け」を求める声はなかなか誰かに届きづらい状況が続いています。
お寺に届くおそなえものを、困りごとを抱えるひとり親家庭に届ける活動を続けている、認定NPO法人おてらおやつクラブ。フェリシモ「おてらぶ」はこの活動に共感し、あらたに「みんなでおそなえギフト」プロジェクトをスタートします。社会のために何か行動したいけれど、具体的になにから始めたらいいかわからないというお客さまの気持ちと、今まさに助けを必要とされているひとり親家庭とをつなぎます。
このプロジェクトの発起人である3名に、きっかけや今の心境を語ってもらいました。

profile

おてらおやつクラブ 代表理事 松島靖朗(まつしま せいろう)さん

奈良県安養寺(浄土宗)住職。大学卒業後、企業にてインターネット関連事業、会社経営に従事。2010年、浄土宗総本山知恩院にて修行を終え僧侶となる。2014年、「おてらおやつクラブ」をスタート。浄土宗平和賞、中外日報涙骨賞、グッドデザイン大賞などを受賞。

profile

フェリシモ「おてらぶ」 部長 内村彰

お寺の教えや仏教美術をベースにしたモノコト提案を得意とするプランナー。仏像好きが高じて仏教の考え方に感銘を受ける。ご縁のあった寺院・僧侶に学びをいただく日々を過ごす。座右の銘は「和を以て貴しとなす」。

profile

モアフェリシモ編集部 松本竜平

「事業性」「独創性」「社会性」という理念に共感し、フェリシモに入社。「フェリシモ猫部」、「フェリシモわんにゃん基金」を立ち上げ、軌道に乗せる。

〇フェリシモおてらぶ〇
古くから日本の暮らしに密接だったお寺の教えや生活文化から、私たちの暮らしを心豊かにするヒントを見つけるコミュニティー。仏教美術をベースとしたオリジナル商品開発や、全国のお寺とコラボレーショングッズなどを企画する。

松本 松本

松島さんと内村さんはいつからお知り合いなんですか?

内村 内村

2013年の年末に、「おてらぶ」の活動をご一緒できる方を探していて、他のお寺さんから松島さんを紹介していただいたのが始まりです。企画書を見ていただきたくて安養寺にお邪魔したとき、松島さんから「おてらおやつクラブ」のリーフレットを見せていただいたことをおぼえています。

松島さん 松島さん

お会いしてからもう9年になるのですね……! 私が「おてらおやつクラブ」を始めるきっかけになったのは、2013年に大阪のマンションの一室で母子が餓死状態で発見される事件が起きたことでした。この豊かな日本で餓死なんて……と胸を痛めると共に、「子どもの貧困問題」があることを知り、お寺の「ある」と社会の「ない」をつなげることで社会課題を解決することはできないだろうか、と思いつき、仏さまへの「おそなえもの」を「おさがり」としてさまざまな事情で生活に困窮するご家庭に「おすそわけ」する、という活動をスタートしました。最初は個人的に活動していたのですが、「おすそわけ」が必要なご家庭が多すぎて、うちのおそなえものだけでは全然足りないことがわかって。そこで他のお寺にも声をかけてみようと思い、活動を紹介するために簡単な企画書を作りました。内村さんに見ていただいたのはそれだと思います。

内村 内村

「おてらおやつクラブ」というなまえも、活動のコンセプトも、当時からずっと変わっていないですね。感慨深いです。

松島さん 松島さん

内村さんに初めてお会いしたときは、なかなか個性的な方だなぁという印象だったので、「この方を受け入れるなんて、フェリシモさんって自由な会社なんやなー」と思いました(笑)。フェリシモさんは通販カタログの会社だというイメージがあったけれど、お話を聞くと、社会的な取り組みや、おもしろい商品作りなど、実にいろいろな活動をされていて。私自身が仏教やお寺のことをもっと世の中に知ってもらうためにやりたいと思っていたことに重なるものも感じて、とても共感をおぼえました。

内村 内村

たしかに、自由な会社ではあります(笑)。

松島さん 松島さん

私は当時、僧侶になってまだ2、3年目でした。日常的にいろいろとやらないといけないことがあまりにたくさんあり、それを続けるだけで精一杯になっていたのですが、内村さんとのお話を通して、まだまだ新たな視点やアイデアがあること、またお寺というものの持つポテンシャルにも気づかせていただけました。お話しすることで気持ちがやわらぎましたし、力んでいた自分をいい感じにゆるめてもらったような気がします。

フェリシモの「おてらぶ」の企画は、見方が新鮮でおもしろいなぁと思います。内村さんの仏教愛のなせる技だと思うのですが、単に「お寺に行こう!」と伝えるだけではなく、お経に説かれている内容や、仏さまの姿など、仏教の本質的なところまでちゃんと押さえている。ものづくりへのこだわりも、本気度もすごいと思いました。

内村 内村

そんなふうに言っていただけて、とても光栄です。ぼくはあの日、「おてらぶ」に協力していただけないだろうかというご相談で伺ったものの、松島さんからおてらおやつクラブのお話を聞いて、「ああ、やろうとしていることのレベルがぼくと全然違うな……」と圧倒されながら帰路についたことをおぼえています。

松本 松本

松島さんは、どのような経緯で僧侶になられたのですか?

松島さん 松島さん

実は、スムーズに仏道に入ったわけではなく、僧侶になる前は東京で9年間サラリーマンをしていました。私の母の実家がお寺で、そのお寺で私は育ちました。将来的にはお寺を継いで、自分もお坊さんになるのが自然だという、他の子たちに比べるときわめて特殊な環境です。私はこの、自分の将来が決まってしまっているような状態が嫌で、お寺から逃げるために勉強をがんばって、東京の大学に進学し、そのまま東京でインターネット系の企業に就職したんです。途中で出資先のベンチャー企業にかかわるようになると、大企業の中にいるよりベンチャー企業にいる方が仕事がおもしろいことに気づいて、転職を決めました。そのときに、インターネットで消費者と企業を直接つなぐということはものすごく大きな力になるんだ、そしてその力というのは社会をよくする力にもなり得るんだ、ということを体感できました。この経験は、今のおてらおやつクラブの運営にとても役立っていると思います。

松本 松本

9年間も東京で働いたのち、僧侶になることを決心されたというのは、何か理由があるんですか?

松島さん 松島さん

話すと長くなってしまうのですが……(笑)。
私は、ずっと自分の特殊な環境が嫌で、まわりの友だちと同じように普通の人生を歩ませてほしい、と思っていた。「ここではないどこか」に行きたかったんですね。だから、東京に出た。ところが、東京でいろんな人に出会う中で、「この人すごいなぁ」「こんな人になりたいなぁ」と自分が思った人は、みんなどこか人と違う生き方をされていた。「普通の人生を歩みたくて」東京に出てきたのに、「違う生き方をしている」人に対してあこがれている……。自分の理想像と、東京に出てきた動機にギャップが生じていることに気づいたんです。私も人と違う生き方をしたい。そのためにはどういうふうに生きればいいんだろう?と考えたとき、今まで遠ざけていた「僧侶」という道は、実は自分にしかできないとてもユニークな生き方なのではないか、ということに気づいた。生まれて初めて、僧侶という生き方に積極的に興味を持ち、受け入れることができたんです。
そういうわけで会社を辞めて、3年ほど修行道場に入ってから、今に至ります。

みんなの気持ちを“おそなえ”してつくる「おそなえギフト」

さまざまな事情で困っている全国の子どもたちに、おいしいお米やお菓子を詰め込んだ「みんなでおそなえギフト」を1口100円の共同購入のかたちで準備してお送りするプロジェクトです。
売上金が約8,000円分集まると購入いただいたお米やお菓子が入った「おそなえギフト」1箱が完成。おてらおやつクラブとご縁のあるお寺におそなえした後、全国のご家庭・団体にお送りします。

やってみよう

あなたの力をぜひ貸してください!

この記事はいかがでしたか?

  • やってみる

  • ジ〜ン

  • ひろめたい

  • メモメモ

~ Thank You! ~

みんなの感想みんなの感想

  • 1. somさん 2022年12月01日 13:11

    こんな活動あるなんて知りませんでした。
    たしかに御供物をそのまま腐らせてしまうの勿体無いな…と思っていました。
    でも餓死してしまうような親子は、お寺に相談に行くという選択肢はないだろうし。
    これからどんどん広がっていってほしいです。あまり国内の貧困には積極的に関心がなかったけれど(自己責任と思う気持ちも少しある)、子供が対象になってるならぜひ応援したいと思いました。
    フェリシモはいつも、専業主婦の何者でもない私と社会とを繋いでくれます。

  • 2. おてらさん 2023年01月22日 08:34

    1口100円というほんとささいな、わずかな入り口で私にもできることがあるのが嬉しいです。自分だけじゃない共同購入というかたちだからか、金額がわずかだからか、支援した後の反応や見返りを求めてしまう気持ちを抑えられる気がしています。見返りなんて求めてないはずなのに、いつのまにか相手の反応を気にしてしまう自分に気づかせてくれるのも有り難いです。

  • 3. Ryu☆さん 2023年08月05日 09:50

    私は今、子ども食堂さんにお世話になっています。
    お寺のおすそ分けもしてもらった事もあります。
    子どもだけにはと頑張っていますが…
    このような取り組みに感謝です。
    子どもたちの未来のために。

    ありがとうございます。

  • 4. ひでむーさん 2023年08月08日 14:04

    おてらおやつクラブのことはとても面白い活動だな、と以前から思っていました。最近になって、実は我が家からさほど遠くない奈良のお寺がその発祥の地だと知って、行ってみたいと考えていたら、今回このような形で(わずかではありますが)自分もこの活動に協力できると知り、早速申し込みました。フェリシモさん、ありがとうございます。

  • 5. 蓮花さん 2023年10月29日 09:46

    是非参加したいです✨
    なかなか機会がなく…自分に何が出来るか模索していました🤔やれることからコツコツしていきたいです‼️😄このような機会与えてくれてありがとうございましたm(_ _)m✨

  • 6. 合掌さん 2023年11月11日 00:03

    私も母子家庭でわずかな給料からスタートしました、色々な方に支えられ2人の子供と生きてきました。今もお寺さんともご縁があります。ほの少しでも苦しい方に寄り添う事ができればと思い参加させていただきます。

記事の感想をおくる

  • THANK YOU♡

この記事の
コラボレーションブランド

おてらぶ

このプロジェクトの
記事一覧

はなす

はなす

あなたの心をくぐって出た、ほんとうの言葉が、やがて、社会のしくみごと変わっていくかもしれない。そのきっかけとなる試みと取り組みを、おとどけします。

あなたの前の読者が
を押しました!