2021.12.10
profile
WEB SHOP 「Fu's Note(フーズノート)」 店主 fu(ふー)
以前は、Mrs.fやmama.fとして、オリジナル商品の企画や海外商品の買い付けをしていました。1999~2010年、イギリスとドイツ暮らしのあと帰国。現在は、WEB SHOP 「Fu's Note(フーズノート)」店主 fu(ふー)として活動中。ライフワークとして公私にわたり「アップサイクル」を追求し続けています。
やってみよう
モノの向こうには物語が…ちょこっと楽しいものを集めた WEB SHOP
最近よく耳にするようになった言葉「アップサイクル」。リサイクル(再生)やリユース(再利用)を超える新しいカタチとして、アーティストから大企業まで、世界中の「ものづくりの場」で注目されています。よく言われる「サスティナブル(持続可能)な社会」をめざすためにも欠かせないキーワードだと思います。
「リサイクル」は、3つのパターンに分けられる、とされています。アルミ缶を回収し、それを素材に戻して新しいアルミ缶にする。このように、もとのモノと新しく生まれたモノの価値が同じなのが「リサイクル」。それを基準として、古着を雑巾にしたら「ダウンサイクル」。もとのモノより、新しく生まれたモノの価値が下がっているから「ダウン」なんですね。そして、それと逆なのが「アップサイクル」。
「アップサイクル」は、廃棄されたもの・廃棄を待つもの・不要になったものたちを、新しいものづくりの素材に使ったり、別の製品に作り変えるだけでなく、「いらない」や「古い」にアイデアをプラスして、新しい価値を持つ「ナイス」や「ユニーク」を生み出すこと。
この、アヴァンギャルドなネックレス。
スタイリストさんも絶賛のかわいさ。しかも洗練されてる。
さて。このしましまの、まあるくてかわいいパーツの素材はなんでしょうか?
おそらく15年くらい前に入手したもので(私が)、もとは別の仕様のネックレスでした。販売しようとしたのですが、一部の小さな金属パーツの素材がわからず、フェリシモでの販売を(泣く泣く)断念したものです。そして、そのパーツを後生大事に保管していたもの。
今回、more felissimo のために ワイヤーに通してネックレスに仕立てて撮影しました。
そう。このボールパーツの素材は、ビーチサンダル。
ケニアの海岸に漂着したビーチサンダルを回収・洗浄し、圧着したものを(カラフルなしましまの層になる)くり抜いてボール状にしたもの。イギリスのNGOが手がけたプロジェクトだったと記憶しています。(もしかしたらアメリカだったかも)
インド洋に面するケニアの海岸には、大量のビーチサンダルが漂着します。それらは景観を損なうだけでなく、孵化したウミガメの障害となり海までたどり着けない、などいくつかの大きな問題を起こしています。
当時プロジェクトに参加していたのは、主に地元の女性や若者たちとのことでした。このプロジェクトは、環境を守るだけでなく、回収したビーチサンダルを素材にすることで、素材を仕入れる費用がかからないのもいいところ。また、職のない若者の働く場になったり、女性が働くことで自立支援につながったり……新しい雇用の創出にもなりました。
現在ではいくつかのプロジェクトがあるようで、動物のオブジェなど、作られているものもさまざまです。(ずいぶんデザインが進化しています!)
ユニークなアイデアとアクションが、さまざまな価値を生み出す「アップサイクル」は、「リサイクル」の進化形と言えるのではないでしょうか。
夢物語かもしれない。カッコつけてるかも知れない。でも私は「社会の課題をクリエイティブに解決する」というアクションが好きです。「アップサイクル」はまちがいなく、そんなアクションのひとつだと思います。
わたしにとっての「アップサイクル・アップサイクリング」は、作る・売る・使う、どの立場から見ても、とびきり楽しくてエキサイティング。作り手には、単に「余りもの」を使ったものづくりじゃないセンスが求められ、手にした者にはモノの向こうにある背景や、作り手の哲学を楽しむインテリジェンスが求められる。「アップサイクリング」は、情熱的でかっこいい。私もそんなことしたい!
20年とか25年とか、とにかく長い間ずっと「アップサイクル」を追求し続けているのですが、昔は「アップサイクル」という言葉がありませんでした。あったかもしれないけれど、インターネットも身近でない時代は知る由もなく、私は勝手に「エコアート」などと呼んでいました。
そんな20年~30年前でも、ヨーロッパやアフリカ、アジア、どこにでも「そういったもの」は、ありました。私自身は、単純に「おもしろい!」と追いかけていましたが、たとえば空き缶を使って作ったアクセサリーやオブジェなど、作る場所はアフリカやアジアであり、買うのは欧米人。それらは素朴でいてダイナミック、アーティスティックではあったけれど、ほとんどは「フェアトレード」とセットでした。いろんな国に買い付けに行く中で、たくさんの「そういうもの」に出会い買い付けてきましたが、当時は一種の社会貢献的意味合いの強いものが多かった気がします。
1990年代後半~2000年代前半、ケニアなど東アフリカならイギリスが、西アフリカやベトナムならフランスがというふうに、関りの強い国のNGOや企業などが「プロジェクト」として携わり、デザインや品質面の指導やサポート、販路作り(売り先開拓)をしていることがとても多く、ユニークなアップサイクルアイテムがどんどん生まれました。(私の肌感覚……)
おもしろいものがじゃんじゃん生まれましたが、大きな展示会などで発表されると、アイデアはすぐにコピーされ、半年後の展示会では真似した方のデザインが良く、価格も安かったりして……。売れないことには意味がないので(売れなければ、ゴミでゴミを作ることになるうえに収入にならない)、アップサイクル業界(!?)も、なかなか厳しい競争の時代へ。(そうでもないかな。あくまでも私の分析)
2000年代半ばにあっては、もはや「廃材・端材で作った〇〇」などというだけでは誰も反応しない(当然)だけあって、デザインはどんどん洗練されていきました。そして、感性・感度の高いアップサイクルが求められる新しい時代へ。「アップサイクル」という言葉も耳にするように。
2000年代後半ともなれば、ーロッパの百貨店やセレクトショップなどでは、(フェアトレードを全面に押し出したりせずに)ファッショナブルなものとして、アップサイクルアイテムが販売されていたし、ヨーロッパ発のアップサイクルプロダクトも多くなり……次回に続く……。
(※あくまでも、買い付けなど私の仕事の範囲内、ヨーロッパに住んでいた時に感じたことなどです。ちがってたらごめんなさい。)
これからも、日本を含めいろんな国のアップサイクルネタを、「アップサイクル図鑑」として、どんどんご紹介していきます。どうぞお楽しみに!
WEB SHOP 「フーズノート」店主 Fu(ふー)
※この場を借りて……Miss.f Mrs.f mama.f時代から、長年にわたりおつきあいしてくださっているみなさま、本当にありがとうございます。また、アップサイクルネタで盛り上がっていきたいと思います!
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今よりちょっとだけ上手な「つかう」を覚えたら、 今よりちょっとだけ「つかいきれなかった」が減ったら、 それは前よりちょっといい世界かもしれません。
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みんなの感想
1. のあさん 2021年12月30日 06:03
私も心がけたい。
出来ることから少しずつ始めたい。
2. ricoさん 2021年12月30日 07:17
私も小さなひとり起業にボランティアで関わり、アップサイクルの案を提案しています。
気に入ってくださり、応援してくれる方はいるものの、大きく事業展開できず難しさを感じています。
アイデアをすぐにコピーされるという点にとても共感し、少し切なくなりました。
これからも続けて読ませて頂きたいと思っております。楽しみにしています。
3. mimikoさん 2021年12月31日 15:10
アップサイクルとても興味があります。循活に載っていた「+RING」傘メーカーの生地救出ブランド、フェリシモで販売して頂きたいです!
4. たこやきさんさん 2022年02月11日 15:50
はじめて、アップサイクルについて知りました。人間の進化と同じように、物もアレンジされ、生き続けていくんだと感じました。自分の持っている周りの物をもう一度改めてゆっくりみてみたいと思いました。
5. ヨタカの星さん 2022年02月22日 13:41
私は、ネックレスも好きですが、本の中の傘が大好きです!かいたいな〜
6. ママさんさん 2022年02月27日 21:21
アップサイクル始めて知りました。色々と復活出来るのですね!ジュースパックのバック、プラスリングの傘
販売してほしいです♪買います