フェリシモCompany

(地球村の基金)ヨルダンから活動レポートが到着しました!

2013年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「ヨルダン・ザータリキャンプのシリア難民に対する水衛生環境緊急改善事業」の活動レポートを認定NPO法人ジェンさまからいただきましたのでみなさまにご報告します。

〈プロジェクトの実績報告〉

人口約10万人のザータリ難民キャンプは、隣国最大規模のシリア難民キャンプです。
キャンプで生活する難民の人たちは、水を利用する際、公共のシャワーやトイレ、給水所などに頼って日常生活を送っています。しかし、キャンプに難民が急増したことにより、これらの設備が過度に使用されてしまったり、難民の人たちによる不適切な利用によって、設備の破壊や故障が増えて衛生環境が悪化しています。

2013JEN_F3.jpg
【公共の水タンクから水汲みの順番を待つ子どもたち】

今回、「地球村の基金」からいただいた活動資金によって、JENは難民の人たちがキャンプ内で安全で衛生的な水を利用できるよう、小・中規模の水衛生設備の保守整備を行いました。

今回の事業では、キャンプ内の12の行政地区のうち、JENが統括団体として水衛生関連の支援を担当している3地区を対象に、全66箇所の水衛生設備である公共トイレ、シャワーや給水所における修理・修復作業を行いました。具体的には、トイレの詰まりの解消、窃盗などを予防しプライバシーを守るためのドアの修復、また安全な水にアクセスするために必要な蛇口や送水管の補修などを行いました。

本事業期間以内に、JENの技術者5名は以下の活動を実施しました。

 ・368のトイレやシャワー室のドア補修
 ・107の水道管と蛇口の保守整備
 ・189の水衛生施設の保守整備
 ・73の浴室配管と下水管の保守整備

2013JEN_F2.jpg
【水衛生委員会メンバーとシンクの補修をするJENの技術者】

JENの技術者たちはJENのフィールドスタッフと共に修理が必要な水衛生施設を確認し、故障が報告されたら48時間以内に補修することを心がけています。また、徐々に水衛生設備の小規模なメンテナンス作業の責任を難民の人たちに引き渡すことによって、施設に対するオーナーシップを育て、難民の人たちの自立に繋げていけるよう取り組んでいます。

具体的には、JENのフィールドスタッフと技術チームが、キャンプの住民によって構成される水管理委員会と協力して、これらの水衛生設備の保守整備を行うことで、維持管理に必要な技術移転を行い、水衛生委員会が自分たちで施設の維持管理ができるように支援してきました。JENは、水衛生委員会の人たち自身で故障チェックや清掃といった水衛生設備の日常の維持管理業務を行うようサポートすることで、ここ最近の4ヵ月で、水管理委員会のリーダーシップがさらに発揮されるようになってきています。

ザータリ難民キャンプは、ヨルダン北部の砂漠地帯に位置しています。キャンプの天候はとても過酷で、夏場の気温は40度を超えます。このような状況下では、キャンプ内の水衛生設備の老朽化や故障による衛生環境の悪化により、様々な感染症を引き起こすため、キャンプで生活する人々にとって、水と衛生施設へのアクセスは死活問題となります。実際に、夏が近づく現在、水様性や血性の下痢の症状を訴える人たちが、驚くべき速度で増加しています。

JENが実施している衛生環境改善事業は、こうしたキャンプ内での下痢や他の水因性感染症、ネズミ、蚊、ハエなどを媒介とする病などの大規模な感染を防ぐために重要な役割を果たしています。

さらに、世界で4番目に水不足である国、ヨルダンにおいて、難民の人々が平等に安全な水にアクセスできるようになることは、水衛生分野で活動するすべての組織にとって大きな課題です。ザータリキャンプに提供される水の量は限られており、最後の一滴までが大変貴重なものだからです。壊れた手洗い場や給水所などは貴重な水を無駄にしてしまい、難民の人たちが充分な量の水を手に入れ、尊厳を持って生活を続けることを困難にします。

想像してみてください。難民の人たちは、家の近くの水衛生施設が故障すると、遠い場所にある使用可能な別の施設を見つけなくてはなりません。もし夜間に、遠くのトイレなどの施設まで歩いていかなければならないとしたら、特に子どもや女性にとって大きな困難となるのです。ですからJENは、給水タンク、蛇口や手洗い場を補修することによって、キャンプの住民が常に安全な水にアクセスできること、わざわざ遠い隣の水衛生施設まで歩く必要が無い環境を確保できるように取り組んでいます。

ある母親は「自宅にトイレがないので、夜間は暗い中トイレまで歩いて行かねばなりません。でも今は、テントの隣にある給水施設とトイレを使うことができて、家族はとても助かります。」と話してくれました。

また、ある水衛生委員会のメンバーは、JENが実施している事業に対してこんなことを話してくれました。

「キャンプ内の生活は、これまでのシリアでの生活とは全く異なるものです。しかし、キャンプに住む人たちが清潔でアクセスしやすいように、公共の水衛生施設を維持管理するこの活動は、私たちのコミュニティーに力を与えます。」

2013JEN_F4.jpg
【補修したての蛇口から水を汲む少女】
2013JEN_F1.jpg
【公共トイレのシンクで足を洗う少年たち】

<現地の様子、受益者の声>
日本では普通にある公共トイレも、砂漠に位置する難民キャンプでは大変貴重な設備の一つです。キャンプ内では私設トイレを自宅に設置している住民もいますが、そうした設備を持てない立場にいる住民もまだまだたくさんいます。そのため、私たちJENによる水衛生設備の補修は、困難な状況にある住民が尊厳のある生活を送ることができるようにするために、必要不可欠な活動となっています。

JENはこれからもザータリ難民キャンプで水衛生に関する支援を続けていくとともに、難民の方々のニーズに応えた支援を続けていきます。
ザータリキャンプに住む難民の方々から支援者のみなさまへ、シュクランジャジーラン(「どうもありがとう」)。

(認定NPO法人ジェン 黒木 明日丘さまより)

■ヨルダン・ザータリキャンプのシリア難民に対する水衛生環境緊急改善事業
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間実績) 

この記事をシェアする
Twitter
Facebook
LINE

コメント

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

コメントを投稿する
ページトップへ戻る