2013年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「ヨルダン・ザータリキャンプのシリア難民に対する水衛生環境緊急改善事業」の活動レポートを認定NPO法人ジェンさまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの中間報告〉
2011年3月にシリア紛争が始まって以来、隣国ヨルダンに避難した難民は58万人を超えました。そのうち約11万人がザータリ難民キャンプに暮らしています（UNHCR/2014年3月10日現在）。キャンプに難民が急増することにより、トイレ、シャワー、給水所など公共の水衛生設備は過度に使用されています。そのため、水が流れない施設や、ドアなどが破壊された設備も見受けられます。
壊れて、ドアもなくなった女性用トイレ
小規模な修理を必要とするトイレの詰まりだけでなく、上記のような、老朽化あるいは故障により水漏れが発生している水飲み場や貯水タンクなどの水・衛生設備が急増しました。JENは難民の安全な水へのアクセスを保証するべく、トイレだけでなく全水衛生設備を対象にし、より迅速に中規模な修理ができるようプロジェクト内容を充実させました。
尊厳ある生活を送りたい、という難民の要望に応え、また血便性の下痢、A型肝炎、コレラなど、水を介した伝染病が蔓延するリスクを減らすため、JENの技術者6名が、本プロジェクトで購入した修理用機器を使用し、水衛生設備の一般的な維持管理を迅速かつ広範囲に行える体制を整えました。
2014年１月以降、JENの技術者チームは、12の行政地区のうちJENが統括団体として水衛生関連の支援を担当している3地区にある水衛生設備64ヵ所全てにおいて、設備の修理、給水タンクの修復、なくなったドアの溶接、壊れた流し、蛇口や水道管の交換など、必要なメンテナンスを行いました。
JENの技術者チームは、2014年2月19日時点で、以下の修理・修復を行っています。
・229の浴室、シャワー室のドアの溶接
・23 の水道管と蛇口の保守整備
・18 の水衛生施設の保守整備
・17 の浴室配管と下水管の保守整備
壊れた水道管を修復するJENの技術者
なお、修理等の要請には24時間体制で対応できるようにしています。
〈現地の様子、受益者の声〉
ザータリキャンプは水はけが非常に悪く、壊れた給水タンクからの漏水で水たまりができ、それが家庭雑排水と混ざり、住民、特に子どもたちに伝染病などの深刻な健康被害を及ぼしています。給水タンクの修復によりこのような危険を軽減でき、キャンプ内の住民にも安全な住環境を提供することができます。JENの技術者チームによる給水所や水衛生設備の維持管理は、修復された水衛生設備を清潔に保とうという、シリア難民の方々で形成されている水衛生委員会のモチベーション向上にも繋がります。壊れたままの設備は、さらに破壊される危険性が高く、日々のメンテナンスは、キャンプ住民の水衛生設備へのアクセスを充分に保証するためにも重要となっています。
修理した給水タンクのまわりに集まるキャンプ住民
ザータリ難民キャンプ内でJENが担当する第4区に住む水衛生委員のひとりであるアハマッド・ムハメド（アブ・ファレス）さん（48歳、男性）は、15ヵ月前に家族11名（子ども9名）とともにキャンプにやってきました。JENの活動に関して、「JENの水衛生設備の修復、維持管理活動、また水衛生委員会のサポートには本当に感謝している」と話しました。
また、女性のための水衛生施設は、女性や女の子たちが安心して集まり、おしゃべりすることで情報交換できる場にもなっています。蛇口が壊れた水道や、ドアがはずれたトイレは、使えなくなるだけでなく、女性たちにとっては、おしゃべりを楽しむ井戸端会議の場も失うことも意味します。水衛生設備がきちんと機能するようにすることは、ふだん、男性の目があり外でリラックスすることがむずかしい女性など、弱い立場にいる人たちを守ることにも繋がるのです。
JENがキャンプ内に設置した女性用の洗濯場に集う女性たち
ザータリキャンプにおいて、JENの水衛生設備のメンテナンスは重要な活動となっています。設備の維持管理という、修理工具など特定の重機材が必要な支援のため、みなさまからのご支援なしに、難民にこれだけ質の高いメンテナンスサービスを提供することはできません。みなさまからのご支援により、JENは住民の要望に応え、水衛生に関する問題に迅速に対応することが可能となっています。シリア難民の方々が様々な疾患のリスクにさらされることなく、安全な環境で安心して暮らすことができるよう、JENは引き続き積極的に活動していきます。
（認定NPO法人 ジェン 堀 真希子さまより）
■ヨルダン・ザータリキャンプのシリア難民に対する水衛生環境緊急改善事業
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・プロジェクトの報告（中間・実績）
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