2023年に「フェリシモ 地球村の基金」から支援を行ったプロジェクト「シリア内戦下の子ども達に対する理学療法・心理社会的支援」の活動レポートを、「特定非営利活動法人 ホープフル・タッチ」さまよりいただきましたので、みなさまにご報告します。
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〈プロジェクトの実績報告〉
内戦下で空爆や地雷の被害を受け、脚を失った子どもたちや、適切な環境で生まれることができず、後遺症として障がいをもつ子どもたちに、補装具や理学療法、心理社会的支援を提供するため、コミュニティクリニックを運営しました。

理学療法は、クリニックの医師と理学療法士が連携し、個別の目標を設定して実施しました。特に、提供した義肢を装着した子どもたちの歩行練習や、生まれながらに障がいをもつ子どもたちの筋力向上を目標としました。数ヵ月間で身体機能が向上し、その後は家庭での対応となった子どもたちや、リハビリに通っている子どもたちもいます。

心理専門家による発達支援では、発達に難しさをもつ子どもたちを対象に、遊びを通じて認知・情緒面の発達向上を目指しました。発達段階はさまざまであるため、個別や少人数グループで対応しました。専門家からの介入だけでなく、子どもたち同士の関わりにより、日常生活で体験しにくい社会交流を促進することができました。
〈現地の様子・現地の声〉
2011年から内戦が続くシリアですが、2024年12月、反政府勢力により、アサド政権が崩壊しました。半世紀以上続いた政府による弾圧から解放され、人々は安堵する反面、不安は絶えません。いまだ複数の武装勢力が残り国土が統一されておらず、民主化には今後数年間を要するとされています。政治・経済的な安定や、内戦で破壊された街の復興などの課題は多く、シリア国民の90%が“貧困”状態にあるといわれています。
私たちの活動地であるラッカ県は、いまだクルド系武装勢力の統治下にあり、現在も、その政治的な複雑さに変わりはありません。アサド政権崩壊直後、他の地域で反政府勢力と、クルド系武装勢力との戦闘が発生していた際には緊迫化しましたが、その後は日常に戻り、私たちの活動も継続しています。今後、インフラや施設の復興、行政による制度や機能的整備がどのように変化していくのか分からず、子どもたちの家族も不安を抱えています。
保護者の声
「私たちはただ、子どもたちが健康に育ってくれるよう祈っています。ここまで元気になったのだから、より悪いことが起こらないよう願うばかりです」
「子どもが自分の足で歩けるようになりました。安全に、いろいろなところへ行って、いろいろなことをしてほしいです」
「子どもをあまり外に出さなかったこともあり、家族以外の他の子どもとの関わりがありませんでした。友だちができて楽しそうです」

〈支援者のみなさまへ〉
世界各地でさまざまな災害や戦争が発生しているなか、シリアの状況や子どもたちへの関心を抱き続けていただき、本当にありがとうございます。シリアで平和への一歩が進んだことは、人々の大きな希望になっています。しかし子どもたちの平和で安全な“現在”と“未来”は、いまだ保障されていません。これからも私たちと共に、シリアの状況や子どもたちを、見守っていただけますと幸いです。みなさまのご支援に心より御礼申し上げます。
■シリア内戦下の子ども達に対する理学療法・心理社会的支援
実施場所:シリア・アラブ共和国ラッカ県市内
実施期間:2024年1月~2024年12月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告はこちら(中間)
・ホープフル・タッチさまのその他の支援活動はこちらから
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