みんなが笑顔の未来のスマートショコラティエ〈ライラ〉スロバキア

今年スロバキアを選んだのはやっぱりこの〈ライラ〉をより知りたいためです。
スロバキアはチョコ界ではノーマークの国。というか、人口500万の小さな国です。輸出がメインだと思いますが、きっと原産国がスロバキアとチョコに書いてあってもどこだかわからない人がほとんどでしょう。
フランスやベルギーのショコラティエはだいたいどんな感じかわかりますが。
スロバキアではどんな人がどんな風にチョコを作っているのか。謎まみれです。
ライラはキャロルさんが作ったブランドです。キャロルはスロバキアでは男性の名前だそうです。
もともとは大手のチョコブランドにお勤めだったのですが、自国に帰ってこのライラを作りました。
しかし。
スロバキアの首都はブラチスラバです。
その郊外にあってもいいと思うんですが。
ニトラというさらに内陸の街のさらに郊外にあります。
スロバキアはやっぱりヨーロッパの田舎です。Uberで移動中も一軒家が畑とともにある感じ。日本の郊外の田舎の風景とさほど変わりはありません。

写真でしか見たことがなかったライラに到着しました。
車でしか来られないところです。
朝一番で行ったんですが。こんなに郊外なのに、もう学生さんのような人がお店に来ています。
平日ですが、ワークショップや見学ツアーがあるようです。

思っていたよりもでかいっ。
新しいっ。
きれいっ。
目に入ったのは大きなカフェです。

チョコレートショップ兼カフェになっていて、その前にきれいな林があります。オープンと同時にカフェにはおいしそうな焼きたてのパンも並びます。
キャロルさんはこの日、南米のカカオ農家に行ってると聞いていたので、キャロルの右腕でしょう、ニコラスさんが案内してくれました。ほんとうにキャロルのことを尊敬して、彼のことを話してるのが伝わってきます。「はじめはこのスペースしかなかったんだ。それをキャロルが一年ごとに大きくしていったんだ」と、キャロルさんがいつも一緒にいるかのごとく何度も彼の名前が出てきます。
驚くのはそのアトリエです。

完璧なまでに機械化されています。チョコレート関係でここにない機械はないかもしれない。チョコレートマシーンの展示会のようです。
実はこれは今回ほんとうに感じたことです。ヨーロッパのショコラティエの機械化がすごい。
人件費の高さをカバーするためなのか。郊外でオートメーション。これが進んでいます。
しかし、そうなるとたくさん売らないといっぱい出来てしまいます。
この機械を見るにつけ、ライラが輸出に大成功してることがわかります。
キャロルさんのカカオへのこだわりもさることながら、商品開発もすっばらしく。次々とおいしいチョコを生み出しています。いくつか試食をしましたが、どれもきちっとした考えのもと作られてるのがわかります。甘すぎず、カカオの香りも感じる、大人も子どもも楽しめるちょうどいい味わいです。
ここがライラかあ。
そして、ほかのショコラティエにはない特別なことがありました。
海外でこれは初めてかも。

従業員さんが全員笑顔であいさつしてこられるのです。
日本人の工場では、ちょっと学校的にきびきびと「こんにちは!」は、指導やルール、マニュアルを感じるのですが。
違うんです。みんな笑顔でようこそって感じで迎えてくれるのです。
ちょっとレベチ。
なんか使ったことがない言葉が出てくるくらい。前例がありません。
ここの人たち、楽しく仕事してる。余裕があります。
私の取材メモには「みんなかんじいいーーーー」と書いています。
ここは世界一しあわせなチョコレート工場かも。
さらにライラのファンになる。そんな訪問でした。

スロバキアのチョコレートの他の記事


SLOVAKIA
スロバキアの地元の人に愛される〈イルイ〉
2025.10.02

SLOVAKIA
未知の国、あたたかで穏やかなスロバキア
2025.10.01

SLOVAKIA
このチョコでスロバキアを好きになりました〈チョコメイズ〉
2025.09.30

SLOVAKIA
スロバキア・コシツェで宝物チョコ発見〈フォラ〉その3
2025.09.29

SLOVAKIA
スロバキア・コシツェで宝物チョコ発見〈フォラ〉その2
2025.09.28

SLOVAKIA
スロバキア・コシツェで宝物チョコ発見〈フォラ〉その1
2025.09.26


チョコレートバイヤーみり
フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!
これまでの主な紹介メディア