スロバキア・コシツェで宝物チョコ発見〈フォラ〉その1
ちょっとこのお店の話をするのは気合がいります。
好きすぎて。どこから、何から話したらいいか。このストーリーは激熱です。3回に分けてお届けします。
実はスロバキアは街がまとまってなくて、公共交通機関が信じられないくらいないのです。首都のブラチスラバは西の端っこ。そこからどこに行くにも不便。
そんな中、コシツェという歴史都市に一件ショコラティエがいると。

なんと数少なーい電車で5時間もかかるのです。かと言ってブラチスラバにチョコがあるかと言えばそうでもなく。もう、動くしかないのです。
行くと決めてから、なんとも微妙なんですが、みんなが電車に対してよくわからん反応をするのです。電車を無視してる、存在自体ないことにしてるような。
「コシツェは本当にきれいな街ですよ」
「電車で行くんです」
「え?デ?デンシャ?」
嘘だ、聞いたことあるでしょ。なに急にとぼけてるの?
治安が悪いのかと不安になるけど、スロバキアで治安が悪いとは考えづらく。かと言って止められるわけでもなく。とにかく電車を無視しています。
「私乗ったことがないから。あるのかな~。我が国にそういう乗り物が。」
じゃあどうやって行くの?と聞くと「車っ」と。
結局、なんでそこまで無視するのかわからず。
この国の人の電車に対する反応が面白すぎたので、もしご親戚がいらっしゃったら教えてください。

電車はめっちゃ快適でした。
5時間の移動中もきっと鉄オタが見たら泣けるくらい、田舎の無人駅が味わい深いのです。

週末の畑の小屋で日光浴する老夫婦。えんえんと続く畑。決して絶景ではないです。
同じような景色が続くのですが、リアルな東欧の景色がそこにありました。
5月ですが、結構寒くって、毎日コートを着ていました。冬は寒いんだろうな。スロバキアも昔は冬はマイナス20℃だったそうですが、今は真冬でもマイナス8℃くらいで、雪も降らないそうです。
電車もきれいで、時々QRコードのチケットを確かめに車掌さんが来ます。今どこもこのシステムです。切符はもうないです。
驚いたのは、クシェットがまだあったこと。クシェットとは寝台になるコンパートメント列車のことで、昔学生のころに旅してたときにはよくあったのです。車両が6人くらいの個室に分かれていて、夜になったら2段ベッドにして寝るのです。お金がなくて、ホテル代を浮かすために夜にこのクシェットを利用してイタリアとかスペインを旅行してました。今はさすがに夜行列車はないのですが、ファミリー向けとしてこのクシェットが使われていました。これも鉄オタはたまらんでしょうね。
電車の窓から外をえんえんと見ていたら、おや、同じ車両にカタカナの練習帳を開いてる男性がいるではありませんか?
ここで日本語を見たら驚きますよ。
現地の人のようで、アニメオタクかな。話しかけてみようと思って見たら寝てたので、そっとしておきました。なかなか生の日本人に会う機会ないだろうから、話しかけたかったのですが。
電車はついに目的の地・コシツェに。
スーツケースをなりふり構わず必死で降ろすタイムです。
もう、電車旅で一番たいへんなポイントです。火事場のバカ力が自分から出るのがわかります。
ヨーロッパの電車はバリアフリーではないので、ハシゴみたいな階段をスーツケース持参で降りるのです。そのとき。
「チョコレートの方ですね」
え?私のことをスロバキアで知ってる??
チョコレートバイヤーみりは日本のごく一部の一般社会生活に支障をきたすくらいのチョコ好きさんにしか知られていません。(大変失礼いたしました)
驚いて見上げると、先ほどのカタカナ兄さんが手伝ってくれてるのです。
スーツケースの移動を手伝ってくれるスーパーヒーローが、日本語吹き替えでしゃべりかけてくる。
しかも、私を知ってる。
まったく状況を理解出来ない私に、
「私は今日、日本語通訳として頼まれてきました」
なんと今から訪問するフォラさんが通訳さんを雇ってくれてました。しかも日本語通訳。やっぱりそんなにいないのでしょう。通訳さんも5時間電車に揺られて。
「僕は日本の大学に行っていまして、今はこちらで日本の文化を紹介する仕事をしています。普段は通訳のお仕事はもうしてないのですが、今回のこのお仕事はとても意味があると思いまして」
えらいちゃんとした通訳さんです。
つづく
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チョコレートバイヤーみり
フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!
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