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スロバキアのチョコレート

2025.09.25

今年一番のお宝チョコはここ!〈サウザンドデライツ〉

毎年みなさまに「今年一番のチョコは?」と必ず聞かれます。

もちろん、みなさまが決めてくださることなのですが、一番の掘り出し物レアチョコは?と聞かれたら。ここを答えると思います。

ポーランドの〈サウザンドデライツ〉です。

まだ出来て3ヵ月しか経っていないほやほやのショコラティエで、ちょっとタイミングが違ってたら商談はかなわなかったし、日本にご紹介もおそらくはなかったと思います。

天才のチョコ。そして、ポーランドの今がこのチョコから分かる。

ショコラティエと会って、「こっ、この人は…!」と思ったのは、28年やって来て2人目です。ほんとうにみんな素晴らしい技術者だったりしますが。それとは違う。「天才」です。

ショコラティエはダミアンさん。若いお兄さんです。

ポーランドに来た意味はこの人に吸い寄せられたかも。


ポーランドはたいへん広く、首都のワルシャワの名前は聞いたことがあると思いますが。そのほかの街のことはまったく耳にすることはないでしょう。

ジェシュフという街で、ほぼウクライナの国境周辺で、リビウハンドメイドチョコレートでお取引きのあるウクライナのリビウに電車ですぐつながっています。電車からのどかな農園の景色を見ながら、「このまま乗ってたらウクライナに着いちゃうんだ」と思うと、この戦争と平和は境目がないんだとちょっと味わったことがない感覚になりました。ウクライナまでの最後の街がジェシュフです。


ワルシャワにお店があるかも知れないですが。まず、未知のショコラティエでなんの情報もなくここまで来ました。初めにタクシーで行った住所はなんとお寿司屋さんのアトリエです。オーナーがお寿司屋さんを経営してるとか。

この内陸でお寿司?確かにヨーロッパ中、いや世界中、お寿司と抹茶ブームはすごいです。

あー。そんな新しいものが好きなオーナーさんがチョコレート屋さん作ったんですね。

と今までのお話で期待する要素一切なし。

でも、ここまで2時間も3時間もかかって来てるので、お寿司屋さんのアトリエからまたタクシーに乗って、ショコラティエの待つカフェへ。

3ヵ月前に出来たばかりなので、真っ黒なスタイリッシュなお店はぴかぴかです。

失礼かもしれないけど、この小さな街に不似合いなくらいスタイリッシュ。

きれいなスタイリッシュな女性の営業さん2人が迎えてくれました。

ショーケースを見るなり。あれ?と思いました。すでに、そのケーキやチョコの美しい整い方にこれは技術系の人だなと思ったんです。美しすぎる。

緊張しながら、日本から来たあいさつもそこそこに、気もそぞろにチョコばっかり見てるおばさんに近づいてきたのがダミアンです。

その若さに「技術系なのに意外と若い」と思いました。

座って待つ私に、彼がオススメのチョコを持ってきました。

きれいにできていますね。

しかし、さっきから気になってる。

このぶつぶつクレーターが無数に開いてるチョコ。どうやって作ってるのか。前例がない。

私が真っ先にそれを見てるのを感じた彼は

「これは、チョコのモールドに熱湯をかけてクレーターを作っています。」

は???

みなさん、この一番初めに説明されたとんでもない話。解説しますね。

大手以外はモールド(型)は伝統的に洗いません。


ヨーロッパのショコラティエは水を極端に恐れていて、洗うとカビが生えるというのです。実際に表面にカビが水によって生えるのは見たことがないのですが。業界の常識的にオートメーション以外はほぼ洗いません。

この人わざとやってます。

それも、あとで何ヵ月後かに分かったのですが、まだこの時点ではほぼネットにも出てこない最先端なデザインと技法だったのです。

次々出てくるバナナ、キャラメル、プラム。どれもとにかくエッジが効いてるけど、バランス感覚が誰とも似ていない。ボンボンのクオリティー高すぎ……。

しかし、ルーツがわからない。

あなたは何者?

身を乗り出し私は聞きました。

「あなたはどこでチョコを習ったのですか?」

実はどこで習ったかとその人の味の傾向で、どんなチョコの味かだいたいわかるのです。系譜というか。そこから逸脱する味が出てくることはほぼなく。変なものも逆に飛び抜けたものもない。私にも安心感があるのです。ある意味「習う」ということへの恐ろしさも感じます。カレボー社のアカデミーで習ったか、フランスで修行したか。ベルギーから各国修行って、という人もいたな。

この美しいショーケースを見る限り、14歳からチョコ作りの修行をあっちこっちで学んだ技術かも。でも、チョコのタブーに敢えてこんな地方で挑戦するってどういうこと?


こんなにどこで習ったか聞きたくなったショコラティエはいません。

「僕はオーナーの下でお寿司屋さんでした。オーナーに呼び出され、チョコを作ってと言われ。まず、チョコの機械屋さんに行ったら、“そんな素人が出来るか!”って言われました」

「だから誰にも習っていません。話も聞いていない。ネットとかで勉強して、一個一個スローリースローリーでやってみたら、3ヵ月で出来ました」

どこがスローリーやねんっっ。それから3年、このお店が出来たそうです。

ものすごくよく勉強してて、「幸福のチョコレート」のカタログを見て、「この人も参考にしてる。この人も」と楽しそうに言うのです。

勉強の仕方がまたイマドキ、いや、未来すぎる。「学ぶ」「習う」ことの意味すら分からなくなる。センスが時間をすっ飛ばしていく感じ。


彼からぽつぽつ出てくる言葉に、私の理解の歯車がネジキレるくらい回っていく感じでした。

面白い人に私今会ってる。


私が「あなた、天才」と言うと。にこっと普通に受け入れるダミアン。自分でも特殊能力が分かってるんでしょう。

おそらく寿司もすごかったんでしょうね。だから、オーナーは彼を見込んだんだと。


それだけではないのです。ケーキも作ってると。さっきからじーっと見てます。

この形はまさか。

練り切りの上生菓子のデザインですね。またもや、半年後、私はネットでこれを見ましたよ。

チラ見でどんどん前にいくんだなあ。いけるんだなあ。

「mochiは簡単なんだけど、上生菓子は難しい」と呟いています。

しかし、私は朝からチョコを致死量食べてますので、お仕事につながらないケーキはお断りするのが常ですが。私の彼への好奇心が止まりません。

抹茶なんか頼まない。どうせおいしいに決まってますでしょう。

ここは、この人がチョコケーキをどう捉えてるのか。知りたい。チョコケーキ食べますっ。

うっまっっっ。

チョコのムースの下にはサクサクの層があって。チョコの濃度も層になっています。チョコの繊細なハーモニー。しかも形が揃いすぎや…。もう、こわいっ。


そして、何度も言いますが、ここはヨーロッパの端っこ。誰がこのレベルを必要とする?

私が再三言っています。最近の天才ショコラティエは田舎に隠れてると。

まさにそれをそのまま証明するポーランドのジェシュフのショコラティエです。

なんで、ワルシャワでなくこの地で?と聞いても。ピンと来ていません。

周りの環境がどこでどうあろうと、彼には関係ないのです。あえて田舎を選ぶタイプではなく、初めから場所なんか関係ないのです。


だからこそ。日本に紹介できてうれしー。送れるって最高ー。

バイヤー冥利に着きます。


オーナーが日本文化が好きすぎるそうですが。いったいどうやって日本に行ったことがないダミアンはこの繊細なハーモニーを理解出来たのか。このチョコは日本人感覚です。寿司も食べてみたいわー。

ひょうひょうと乗り越えてゆく末恐ろしいダミアン。

オーナー一回日本でダミアンを連れまわして、いろんなもの食べてみてほしい。きっとその分だけ世界においしいものが誕生するのでしょう。

いやー、ながながと失礼しました。

興奮さめやらぬ出会いでした!

これからも、いろいろ作ってもらいたいと思いますので、天才に何かリクエストお願いします。

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チョコレートバイヤーみり

フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!

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