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みんなでプロジェクトを応援! 「戦火を逃れた避難民が地元住民と力を合わせて井戸を修理できるように!」(認定NPO法人日本国際ボランティアセンター)

はじめまして、日本国際ボランティアセンターのスーダン現地代表、今井高樹です。

何十万もの人々が故郷を追われて避難民に

みなさんは、スーダンにどのようなイメージをお持ちでしょうか。ナイル川が南北に流れるこのアフリカの国を、知らない方も多いと思います。知っている方は、ダルフール紛争など戦乱のイメージがあるかも知れません。不幸なことに、スーダンは植民地から独立して以来、内戦の連続でした。そして今も、いくつかの地域では紛争が続いています。

国の南に位置する南コルドファン州では、政府に不満を持つ人々が結成した武装勢力に対して、政府軍が3年前から激しい攻撃を繰り返しています。武装勢力を支持していると見なされた村々は空爆を受け、何十万人もの人々が住み慣れた土地を追われて避難民となりました。私たちが活動する州都カドグリの町には、そうした避難民が4万人以上も押し寄せてきました。ほとんどは、女性と子どもたちです。家も財産もなくし、家族が離ればなれになりながら、やっとのことで逃げてきたのです。

故障したまま動かない井戸

私たちは、ほかの援助団体と協力して、まず食料や毛布などの支援を行いました。そして次に、避難民の母親たちが畑で作物を育てて子どもたちに食べさせることができるように、農具の支援や研修を行いました。避難民の多くは、町の郊外で地元の住民から分けてもらった少しの土地に小屋を建てて住んでいるため、家の周りを耕すことができるのです。

避難して3年がたち、暮らしは少し落ち着いてきましたが、新しい問題も起きています。生活に欠かせない、水の問題です。

4万人もの避難民に対して生活用水を供給するため、これまでに多くの援助団体が手押しポンプ付の井戸を掘削しました。しかし、日々たくさんの人々が利用するために部品が消耗したり、使い方が乱暴だったりして、故障して動かなくなってしまった井戸があちこちにあるのです。この地域では水汲みは女性や子どもの仕事とされていますが、今では、遠くの井戸まで汲みに行かなくてはなりません。

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故障して水の出が悪い避難民居住区の井戸。いつも混雑している
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汲み上げた水を運んで家に向かう子どもたち

以前の平和な時代には、住民が自分たちで井戸の補修を行っていた地域もありました。しかし、紛争によって様相は一変しました。地元の住民に混ざって多くの避難民が住むようになり、中には避難民だけの居住区もあります。そのような場所では、住民自身が補修を行う仕組みは忘れられてしまったか、あるいは、まだ確立されていないのです。

自分たちの手で井戸を補修すれば、いつでも水が利用できるように

このプロジェクトでは、故障したままの井戸の補修を進めると同時に、地元の住民と避難民とが力を合わせて、自分たちの手で井戸の維持運営をしてくことを目指します。そのためには、住民・避難民の何人かが技術研修を受けて点検・補修の方法を学ばなくてはなりません。補修のための交換部品を購入する資金も必要です。地区ごとに井戸管理委員会を設立して、住民・避難民から毎月少しずつ分担金を集めて積み立てなくてはなりません。
そもそも井戸が壊れないように、子どもたちには手押しポンプを乱暴に扱わないように注意しなくてはなりません。また、井戸を常に清潔に保つことも大切です。こうした啓発キャンペーンもプロジェクトの中で実施します。

残念なことに、紛争が終わって避難民が故郷に帰る見通しは今のところ立っていません。いま住んでいる避難先を自分の住み家として、地元の人たちと一緒に生活の基盤を作っていかなくてはならないのです。生活の基盤として、井戸は何よりも大切です。生活用水だけでなく、井戸の水を利用して野菜を作れば、子どもたちの食生活や家計の収入向上にもつながります。プロジェクトを通じて、私たちはそうした女性や子どもの生活の改善を目指します。

〈主な活動内容〉

1.技術研修と工具の支援
カドグリ市周辺地区から、避難民が多く、しかも井戸が故障したまま放置されるなどの問題を抱えた5つの地区をプロジェクトの対象として選びます。各地区の住民・避難民から女性を含めた3人を選び、井戸の点検・補修の技術研修を受けてもらいます。研修終了時に各地区に補修用工具を支援します。

2.住民・避難民が中心なって井戸を補修
各地区で、研修から戻った受講生を中心に住民・避難民が協力して井戸の補修を実施します。私たちは必要な交換部品を支援します。

3.啓発キャンペーンの実施
各地区で「井戸を清潔に」「乱暴に使わない」「定期的に点検」「井戸管理委員会を結成して補修費用を積み立てる」等のメッセージを寸劇と音楽、講師の話で伝えます。

4.巡回訪問とアドバイス
各地区で井戸管理委員会が結成された後は、私たちが定期的に巡回して、補修費用の積み立てや井戸の点検・補修の状況を尋ね、アドバイスを行います。

〈期待される効果〉

1.住民・避難民が井戸の大切さ、定期的な点検と修理の必要性を理解し、力を合わせて井戸の維持運営を行うようになります。

(1)子どもたちも含めて、井戸のまわりを清潔に保つことを心掛けるようになり、手押しポンプを乱暴に使うことがなくなります。

(2)各地区に井戸の基本的な補修ができる男女の技術者が養成され、補修用の工具が準備されます。

(3)各地区に、女性も参加して井戸管理委員会が結成されます。

(4)井戸管理委員会は少額の分担金(日本円に換算して毎月30円程度)を住民・避難民から集めて積み立てます。故障の際には、この資金で交換部品を購入して補修を行うことができます。

2.その結果、井戸は故障して放置されることなく、いつでも利用できる状態になります。
女性たちは時間をかけて遠くまで水汲みに行く必要がなくなります。井戸の水を灌漑に利用して野菜作りができるようになり、家族の食生活が改善され、野菜を販売して家計の収入向上にもつながります。

■戦火を逃れた避難民が地元住民と力を合わせて井戸を修理できるように!
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