「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい6つの自立を支援するプロジェクト。その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
* * *
はじめましてADRA の尾立です。ADRAは2014年からエチオピアで人々に安全な水を届け、手洗いなどの衛生習慣を改善するために、給水設備の設置や衛生啓発活動を行ってきました。現在は北部アファール州において給水支援・衛生啓発活動に加えて、女性の健康の改善、ジェンダーに基づく暴力の防止活動を行っています。
1.紛争の影響を受ける地域での水衛生環境の改善への取り組み
アファール州では紛争から逃れてきた20万人の国内避難民が生活しています。アファール州で生活する人々は貧しく、私たちの活動地区では約9割の人々が、十分な食事をできておりません。私たちは、アファール州の中でも、農牧民などの最も貧しい世帯が多い、アダール郡、テララック郡での支援活動を行っています。
これらの地区では、安全な水を得るための給水設備も不足しています。約5割の人々は、川の水の飲用、野外での排泄を余儀なくされています。石鹸を購入できず、手や体を清潔に維持することも難しいため、下痢・赤痢といった病気の感染も深刻です。
こうした問題の解決のために、ADRAは人々が安全な水を得られるよう、深井戸を修繕し、世界保健機構(World Health Organization: WHO)の基準を満たす安全な給水設備を設置し、活動地の人々が安全な水を飲み、衛生を維持できるよう、先行事業の時から支援をしてきました。
なお、女性・女児については、水汲みをするために、遠くまで歩くことがあり、その途中で性暴力を受けるリスクが高いため、水汲み場を設置することで、女性・女児が遠くまで歩き遭遇するリスクを減らしてきました。そして、手洗所がないために、野外で排泄することも、性暴力リスクを深刻にしていたため、先行事業では、男女別で、障害者もアクセスができる手洗所も設置しました。
2.生理の貧困、女性・女児への暴力をなくすための取り組み
このたび、本事業で大切にしているのは、女性、子ども、高齢者、国内避難民、難民、障害者など、全ての人々の尊厳と人権が尊重されることです。特にアファール州では、未だに、女性・子どもたちは紛争の影響下で生きており、性暴力被害が深刻です。なお、事業地であるアダール・テララック郡には45,000人以上の女性が、生理用品を必要としていますが、そのうち36,000人(約8割)は購入が難しく、古紙・葉っぱなどを使い感染症を患う問題があります。昨年に私たちは別地区の女性を支援できましたが、アダール・テララック郡では、まだまだ生理の貧困問題は続いています。
そのため、この事業では、女性・女児が、尊厳をもって衛生的な生活ができるよう、再利用可能な生理用ナプキン・石鹸・下着の入った「尊厳キット」を、地域内で最も貧しい家庭の680人の女性・女児に支援する計画です。ナプキンは洗濯して利用することで、女性・女児が継続して生理時に使えるほか、地球環境も大切にできます。
なお、女性・女児に対する暴力をなくすためには、社会全体の意識や、男性、女性、子どもたちなど、一人ひとりの意識を変えていく必要があります。そのため、女性・子ども・障害者など弱い立場にある人たちへの暴力をなくし、社会で生きる全員が、お互いを尊重し協力できるように、ジェンダーの平等と人権に関する啓発活動も行う予定です。
以下は先行事業の写真になります。この事業では、尊厳キットの配付、ジェンダーと人権の啓発活動を通じで、生理の貧困をなくし、女子の尊厳と安全を守っていきます。



〈主な活動内容〉
1.尊厳キットの配付
尊厳キットを680人へ支援し、女性が、生理時も、安心して、子どもの世話・家事などに取り組めるようになります。これまで6割の女子生徒が生理時は学校を欠席していましたが、今後は、通学できるようになります。
2..ジェンダーと人権の啓発活動
女児・女性に対する性暴力をなくすためには、社会全体の意識や、男性、女性、子どもたちなど、一人ひとりの意識を変えていく必要があります。暴力をなくし、人々がお互いを尊重・協力していけるように、ジェンダーの平等と人権の啓発活動を行います。
絵と現地語のポスターを使い、性的・言葉・身体の暴力の防止方法、暴力の被害を受けた子ども・女性を支える方法について学びます。各人が普段の生活から暴力をなくすため、子どもの話をよく聴き、夫婦間で助け合うなどロールプレイで学びます。参加者全員が、その日から、家庭内や地域において、暴力のない社会づくりへの取り組みを始めていきます。
〈期待される効果〉
尊厳キット配付とジェンダー・人権尊重の啓発活動で期待できる効果
1.尊厳キット配付
再利用可能な布ナプキン・石鹸・下着がセットになった「尊厳キット」を680人の女児・女性に支援することで以下が期待されます。配布後のヒアリング調査で女児・女性の生活・気持ちの変化を確認します。
(1)衛生を保つことができ、生理期間の家事・仕事・通学が可能になる
(2)洋服を汚してしまうのではないかなどの不安が軽減する
2.ジェンダーと人権に関する啓発活動
ジェンダーの平等とお互いを尊重し、人権を守るため啓発活動も約200人に対して行います。啓発活動の後に女性・子ども・弱い立場の人達への暴力の防止方法の理解度を確認します。
(1)女性・子ども・弱い立場にある人達への暴力の防止方法を回答できる人々の割合
(2)ジェンダーの平等、人権の保護のために、一人ひとりができることを回答できる
人々の割合
■生理の貧困をなくそう!エチオピアの女児・女性へ尊厳キットを!
実施場所:エチオピア・アファール州アダール郡、テララック郡
実施期間:2026年1月1日~2026年3月31日
・ADRA Japanさまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための6つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2025年10月31日から11月13日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
★Tポイントで1ポイントからの寄付、クレジットカードからの寄付もできる
Yahoo!ネット募金「フェリシモ 地球村の基金」の募金ページは こちら>>>
コメント