日々報じられている、多くの難民たちが移動中に命を落とす悲劇。ヨーロッパの入口であるギリシャの小さな島、レスボス島、ヒオス島などには、毎日のようにシリアを中心とした難民たちが辿り着きます。

もともと、経済状態の悪化したギリシャ国内では、医療を受けられずに苦しむ人々が溢れていますが、加えて15万人以上もの難民が流入してきました。その90％以上の難民は紛争地の戦火を逃れてきた人々で、60％はシリアからの難民だと伝えられています。
ごく普通の安定した日常を求め、いつ転覆するとも分からない船に命を賭けて乗り込み、ギリシャからヨーロッパ大陸を歩き続ける人々の波は、今この瞬間も止まりません。そして、常に死と隣合わせの過酷な長い道のりで、犠牲となるのはやはり幼い子どもたちや妊産婦たちです。

世界の医療団は、ヨーロッパを目指す多くの難民がたどり着くギリシャでの人道支援を強化しています。彼らは次の移動場所までの許可を待つ間、避難キャンプ等の受入施設に身を寄せ合って過ごします。世界の医療団は過酷な航海を経て疲弊しきった人々のニーズに応えるため、医師、看護師、心理カウンセラー、ソーシャルワーカー、通訳などの専門家で構成された多職種チームで、支援にあたっています。衣服、食料品の提供のほか、慢性疾患に苦しむ人、負傷者、妊産婦や子ども達を対象とした医療支援を行っています。また、紛争地で心に傷を負った人々に対するメンタルヘルスケアにも力を入れています。

難民たちのほとんどは家族単位で渡航してきますが、知り合いの大人に託され一人で海を渡ってくる未成年の子どもも少なくありません。ソーシャルワーカーは、こうした単身の子どもたちの福祉的な支援も行っています。

ヨーロッパ各国はこの難民の受入をめぐり、大きく揺れています。世界の医療団は、こうした速やかな支援に加え、根本的な解決を目指し、政策提言にも力を入れると同時に、世界のネットワークを駆使し、難民たちが辿る各所での緊急支援を実施していきます。
今も果てしなく続く道を歩き続ける幼い子どもたち、大きなお腹を抱えて野宿する妊婦たち、親や家族と離れ一人海を渡った未成年者たちに、日本からもぜひ心を寄せてください。

〈主な活動内容〉

世界の医療団は、15ヵ国に事務局を持つ国際NGOとして、ヨーロッパに流入している難民支援を各国で強化しています。特に、ギリシャでは、もともと国内の生活困窮者の支援も重大な課題ですが、加えて大規模な難民流入により緊急に支援の資金を必要としています。

今回は主にシリアなどから逃れてくる難民へのギリシャ国内での緊急支援へご協力をお願いします。レスボス島やマケドニア国境など、難民の人々が押し寄せるポイントに、医療・福祉の支援チームを編成し、緊急対応を行います。
ご協力いただいたご寄付は、医薬品、医療用品、衛生キット（歯ブラシ、石鹸など）、衣服や靴、テント、寝袋、乳児のミルク、紙オムツ等の費用に充当します。現在、これらの緊急物資に7千3百万円以上が必要と見込まれています。

〈期待される効果〉

多くの難民たちがギリシャの小さな島に流入しているため、受入施設やキャンプは収容人数を超え、彼らは路上などの不衛生な環境で寝泊りしているのが実情です。

緊急支援のご協力をいただくことで、世界の医療団の支援チームは支援を必要としている場所へ赴き、医療支援及び人道支援キット（衣服・粉ミルク・オムツ・衛生用品など）の配布を実施することができます。こうすることで、医療や福祉サービスにアクセスがない人々へ支援を届けることができるのです。

また、これらの支援を入口として、特に特別なケアを必要とする乳幼児、妊産婦、単身の未成年者、疾患を持つ人への医療・福祉両面でのサポートを行うことができます。

〈世界の医療団の難民への緊急支援内容〉

医療スクリーニング、基礎的な医療の提供、医薬品・医療用品の供給、衣服・靴の提供、衛生用品の配布、毛布・寝袋などの配布、通訳サービス、特別なケアを必要とする人々への医療福祉サービスへの仲介

そして、ギリシャを通過点としてヨーロッパの他の国へ渡る人々は、様々な経路を辿ります。世界の医療団は、ヨーロッパ各国のネットワークを駆使して、彼らの道のりに寄り添い、各地で必要な支援を実施していきます。

■ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援（ギリシャ）
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