こんなことある?アンダルシアのサンタクララ修道院
小さなポルボロンの村、アンダルシアのエステパ村。
時間が止まったような村です。その村は坂になっていて、坂を上がると広ーい空間が。
修道院です。名前はサンタクララ修道院。

日本でいうところの小高い山を一生懸命上がるとお城の城壁だけ残ってる的な。あんな感じ。
街中にある修道院は行ったことがありますが、修道院はどこも塀に囲まれててその塀の中は静かです。

修道院では「祈るか、働くか」その二択生活と聞きました。
都会の真ん中の修道院は観光客を受け入れたり、割り切ってるところは割り切ってる感じがするんですが、ここまで田舎になるとガチを感じます。
ほんとに、中で何をしてるんだろう。
近所の人が犬の散歩に訪れたり、お庭の工事をしていたり、中の修道女は影もありません。

街の反対側は何にもない。安野光雅の「旅の絵本」のスタートのページのように何もありません。馬しか通れないような細い道が山の向こうからつながってるだけです。
鳥の声以外なにも聞こえない。
現代にこのような場所があるんだ、と。

城壁跡のような空間を歩いていると。おや。
裏口に看板的な絵がある。
ちょっとすみません。入ってみると。
こっ、これは!噂に聞いた修道院の売店です。

ほんとにあるんだ!
小さなバスの待合室のような小部屋があり、そこに明らかに存在感のある木製の扉と回転棚が!

その噂はこうです。
すごく田舎の修道院の裏口には隠れた回転棚があり、修道女はそこで近所の人にお菓子を売っている、と。しかし、外部の人に顔を見られてはいけないので、お金もその台に置くと。
修道女を呼ぶには鐘を鳴らす紐があるので、気が付かれるまでひたすら鳴らせと。
嘘だと思っていた。

よく見たら、スペイン語でお品書きが。
一番人気っぽい本日のお菓子を頼むことに。
あら、やっぱりここはちょっと進んでるのかな。
電気のスイッチがある。
これがベルなんだろな。
いやっ、違う。これはここの部屋の電気だ。ということは、この紐???
ここもやっぱり紐&ベルなんだ。
引っ張ってみるも、なんかベルがどこで鳴ってるかわからない、まったく聞こえない。
どんな小さなベルなんだろう。もしくは部屋が奥なのか?
ダメ元で引っ張る。とにかく引っ張る。

しばらくして、スペイン語の女の人が回転扉の向こうでなんか言ってる。
修道女だ!!!
大興奮。
慌ててGoogle翻訳の発音どおり、「本日のおすすめお菓子!」と叫ぶと。
どうも、もう本日のおすすめお菓子はなくなったようで。
そのほかに何と何と何がある、と言ってる感じ?でもわからない。唯一聞こえたのが「マドレーヌ」という単語。
それしか頼るものがないので。
「マドレーヌ!」と叫ぶ。
そうすると向こうで
「wwww、I UNDERSTAND YOU.」
けらけら笑うのが聞こえる。
自分が英語を話した照れくさい感じで笑ってる。
その中にいるのは明らかに自分とあんまり変わらない、よく笑うおばちゃんに思えた。
すべてを削ぎ落したシンプルすぎるやり取り。

回転扉が回って、袋にいっぱい入ったマドレーヌが目の前に。
壁に貼った値段表から4ユーロくらいかな。日本円で800円弱。お金を台に置き、回転させてお支払い。
なんと、その回転棚には隙間もなくまったく、修道女の影も見えないんです。
こんな体験はほんとないです。
この現代において。Amazonやコンビニで便利に買える物があふれ、私も物を売ってる人間として衝撃的でした。
ここには何百年前から何も変わらず。シンプルなやり取りが繰り返されてる。
そのマドレーヌの味わいはバターがこってり入ってるわけでも、しっとりだとか、素材がどうとかいうセールスポイントは何もないです。
ただあっさりと甘さのある、手作りでシンプルに焼き上げた、昔のレシピ。
何を変える必要があろうか。
しみる……

私にぶっ刺さる。
私、何をこんなところまで、チョコを求めてやってきてるのか。
このマドレーヌの世界がいいなら。これでいい。もう、これでいい。
なんで石油高に振り回されている?そもそもなんで輸入しておる?すべてがいらんことかも。
人によっては、そのまま泣きながら日本に帰り、自給自足を始めるかもしれない。そんな体験だと思います。
10分くらい感動して、アンダルシアの荒野を見ながらマドレーヌを食べていたんですが。
「まあ、それはそれとして。味は普通にマドレーヌだな。」
何を言うか!びっくりするわ。
今あんな心が洗われていたのに、すぐに俗世界に戻ってしまった自分がいます。
私は自給自足をするような人間ではありませんでした。
チョコはやっぱり食べたい!
アンダルシアのサンタクララ修道院。
絶対行くことないと思いますが、もし消費社会に疲れたら、行ってみるといいかも。
なんと!
その後の後日談があります!
サンタクララ修道院のこの中でチョコレートを作っていたのです。
そして、なんと!
そのチョコが日本にやってくるのです!
奇跡ー。
もちろん、スペイン語しか話さない、人と会うことがない修道女といきなり商談になったわけではありません。
実は今回、歴史系のチョコを探していたので、あるスペイン人の女性の方に会いました。
この方、スペイン中の修道院で作られる伝統的なスイーツを集めて販売してる方です。
非常に珍しいご職業です。私も人のことは言えませんが。
いろんな修道院のスイーツを教えてくれました。
まさか、このエステパのサンタクララ修道院のはないですよね。
というと。
あります。と。
ええええーーーーー。
この方すごくほんまもんの方でした。あんな奥地の修道院まで網羅してるとは。
しかも、エステパでは結構いろいろな種類を作っていることがわかりました。
その中でも特におすすめがビターのシンプルなチョコレート。しかも、個包装までされています。カカオの素材を活かした清く正しい修道院のシンプルチョコレート。
レアチョコ中のレアチョコに出会ってしまいました。
このストーリーと一緒にお召し上がりいただきたいです。
ながいチョコバイヤー人生の中でもトップクラスの奇跡の出会いです。
日本とは全く違うアンダルシアの修道院の時間と空間。
貴重な体験をぜひチョコレートで。
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チョコレートバイヤーみり
フェリシモでのチョコレートバイヤー歴28年。「チョコで世界中を笑顔にしたい」と世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘。これまでに訪ね歩いたショコラティエは34カ国約400件。約590ブランド・約2,900種類のチョコレートを輸入販売した実績を持ち、その中でも日本に初上陸させたチョコレートは329ブランド。チョコのストーリーを語らせたら止まりません! まだ知られていない素敵なチョコを紹介するため、今日も世界の果てまでチョコ探し!
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