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海の漂着ゴミには何がある?

はいさい!海とかもめ部飛び入り部員の旅カナです。美ら海振興会さんとのビーチクリーン活動の取材の続きです。ビーチにはどんなゴミが流れ着くのでしょう?マイクロプラスティックって海にどのくらいあるか知っていますか?!では、お話の続きをどうぞ。

漂着ゴミの見本。釣り糸、ブイ、浮きなど。

Q.〈旅カナ〉漂着ゴミにはどんなものが多いのですか?
A.〈美ら海振興会さん〉こちらに見本を持ってきました。多いのはペットボトルや釣り道具の浮き、切れた釣り糸、重り、それから漁網やブイなどですね。ときには車のタイヤや冷蔵庫など、とんでもないものが流れ着くこともありますよ。ブイの中には分解過程で危険なダイオキシンを発生させるものがあり(青いのがそう)、注意が必要です。

Q.今話題のプラスティックストローについてはいかがですか?
A.陸続きのビーチではコンビニの持ち帰り用のカップやストローなど見かけることもありますが、基本的に無人島の海岸線には流れ着きにくいです。ペットボトルなどもフタがないものは海に沈みますので漂着しません。でもフタがしっかり締まっていればビンでも流れ着きます。

Q.外国からもゴミが流れ着くと聞いたのですが。
A.外国製品の方が多く、全体の9割近くを占めていますよ。そのほとんどがペットボトルやビン、中には医療用の注射器や薬品が入っていたような入れ物まであります。

ペットボトル1本がマイクロプラスティック何個に当たるかを表示したラベル

Q.このペットボトルは何ですか? 何かラベルが貼られていますね?
A.このラベルにはこう書かれています。「ペットボトル1本拾うと海洋のマイクロプラスティックを10万個/km2以上回収したのと同じ効果があります。*海洋のマイクロプラスティックの分布 太平洋:10万個/km2、日本沿岸:100万個/km2」これは沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長の中野義勝さんが、ゴミを拾う人に分かりやすい表現をと考案してくださいました。清掃ボランティアの方に説明をするときにお見せしています。

Q.マイクロプラスティックの定義は?
A.海で砕けて大きさ5mm以下になったものをそう呼びます。

Q.それが日本のビーチには1キロ四方に100万個も漂っているということですか?
A.そういう研究結果が出ています。

Q.ペットボトル1本捨てただけでその1/10に加担したことになる?
A.そうですね。

美ら海振興会さんから説明を受けるフェリシモスタッフ

Q.プラスティックは自然には分解しないんですよね?
A.はい、分解には何万年もかかると言われています。本来、自然というのは強いもので、ゴミでも何でも飲み込んで分解するたくましさを持っています。よくダイビングでも沈船などにサンゴが生えて魚の住み家になっている様子を見ますよね? そんな風に人工物をも取り込んで、それに勝って行くのが自然の力強さです。でも今はその自然の分解能力が追い付かないぐらいの勢いでゴミが海洋に流れ込んでいるということです。

Q.生物への影響は?
A.よくテレビなどでカメや海鳥のお腹から大量のプラスティックが出てきた映像を見ますよね。そうやって海の生き物が飲み込んだプラスティックが、いずれは食物連鎖で人間の口に入るときがくるでしょう。この前の清掃活動では、海中に捨てられた漁網を引き揚げたら、ウミガメが絡まって死んでいるのを見つけました。

ウミガメがプラスティックを飲み込まないように…

Q.漂着ゴミに対する地元の人の意識はどう変化していますか?
A.最近は少しずつ関心が高まってきて、行動にも変化が見られるようです。例えば、ダイビングで使用するタンクの口の保護のために、以前はビニールテープを貼って都度使い捨てていましたが、今は繰り返し使えるキャップに変わりました。また、ビーチクリーンに釣り人のお父さんが子どもを連れて参加したり、特に若い層でそういう人が増えている気がします。

Q.私たち本土の人間からすると、沖縄の無人島のゴミは遠い話のように思えるのですが。
A.そうだと思います。でも、日常生活で一人一人がちょっと気をつけてもらうだけで、変わることもあるので、意識してもらえたらと思います。

ここで旅カナ思い出しました。先日近所の川沿いで「桜まつり」が行われていて、大勢の家族連れが楽しそうに宴会をしていたのですが、結構何回もビニール袋が風で飛ばされて川に落ちて流れて行くのを見ました。飛ばされたことに気付かない人もいるし、「あ~~」と言いながらも川に入ってまで拾おうとする人はいませんでした。「ああ、こうやってみんな悪気なく、ゴミを海に流してしまっているんだなあ」と思いました。不作為とは恐ろしいものです。私もなるべくレジ袋やペットボトルを使わない生活をしようと思っています。でも“商品”を買えば、否が応でも何らかの形でプラスティックが付いてきます。パッケージ、トレイ、フィルム、ラベル、ボトル……。プラスティックなしで現代人の生活は成り立たないのが現状です。これからそういうのは少しでも減らしたいし、せめて捨てるときは正しく焼却ないしリサイクルしたいなと思います。

次週は、今回のビーチクリーン活動に関連して、空からドローンで漂着ゴミを観察しようという試みについてご紹介します。

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かもめブログライターご紹介

旅カナ

『海とかもめ部』飛び入り部員。元「ecolor[エコラ]」ブランドマネージャー、現「幸福のチョコレート」マネージャー。 旅が好きでこれまで旅した国は35ヵ国。趣味はカメラとダイビング。沖縄離島とフィリピンを主に潜り、経験本数は約500本。 特技は海の生き物のイラストをダイビングログブックに描くこと。インスタグラムで「お絵描きDiver 旅カナ」として作品を発表中(@nosekana)「海とかもめ部」ではブログ「海の写真館」連載担当。 イメージキャラクター:タンクを背負ったカンパチ

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