フェリシモCompany60th

使われなくなった木材をリユースして、新たな役割を。「フェリシモっと 大阪・関西万博店」の什器にまつわる10のこと。

こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局です。

フェリシモ女子DIY部が、「felissimore(フェリシモっと)大阪・関西万博店」(以下、「フェリシモっと」)にて使用されている、店舗のストック什器の制作を担当しました。

大阪万博では、「いのち輝く未来社会のデザイン」をコンセプトに掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。その趣旨に賛同したフェリシモ女子DIY部は、かつて流通業務に使用していた木材パレットをリユースして、DIY作業を行ないました。さまざまなトラブルに見舞われるも明るく乗り越えながら、サステナブルな什器が完成!

この什器、手づくりならではのやさしい雰囲気を醸し出しながらも、機能性や収納性のあるすぐれものなんです。

(制作過程は、フェリシモ女子DIY部のブログにてこと細かにリレー形式で紹介されていますので、こちらもぜひチェックしてみてください!)

今回は、フェリシモ女子DIY部の“やみー”こと安田彩美さんと、“くに”こと鹿嶋洋邦さんに、制作秘話や今回のプロジェクトにかけた思い、DIYに取り組む醍醐味についてお聞きしました。

話し手: 安田彩美さん、鹿嶋洋邦さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局

Q1、お二人の普段のお仕事について教えてください。

安田:私は「暮らしはエンタメ!Kraso」という雑貨のカタログ制作と、障がいのある人たちの個性や能力を生かすプロジェクト「C.C.P」の商品企画というふたつの仕事を担当しています。

鹿嶋:僕は、通販以外のところでのお客さまとの接点づくりを手がけるO2O事業グループに所属しています。まさに今、大阪・関西万博にて「フェリシモっと」を出店していますが、普段から、そうした店舗の企画や運営・管理などを手がけています。

左から安田彩美さんと鹿嶋洋邦さん。

Q2、前回の女子DIY部の取材から3年が経ちましたが、近ごろの女子DIY部はどんな感じですか?

安田:私はちょうどコロナ禍のころに入部して、5年ほど経ちます。当時は、みんなで集まって何かをするということは少なく、おうち時間を快適に過ごすための企画を立てて個々で作業をするのがメインの活動でした。最近はようやく、月に1度は会社で集まって、アイデアを持ち寄ってDIYをしたり、アドバイスしあったり、ほめあったりしながら、みんなで行う活動が活発になってきています。一人で作業をしているとなかなかテンションを上げていくのがむずかしいのですが、みんなで作業をすると「すごい!」とか言ってもらえて、やる気も出ますし(笑)、やっぱりいいなと思います。

鹿嶋:普段はゼロから手作業でものを作ることはなかなかないので、手を動かすことが好きな僕たちには、女子DIY部の活動がいい機会になっていますよね。

Q3、このたび、「フェリシモっと」ですてきな什器をつくられました! どのような経緯で、女子DIY部が什器の制作を手がけることになったのでしょうか?

鹿嶋:大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。SDGs達成への貢献を目指そうという目標があります。お店の内装にも、フェリシモらしいやり方で万博のテーマ性を表現できないかと考えたんです。サステナブルな視点でものづくりを行うのなら、フェリシモ女子DIY部の出番でしょうということで、企画を考えてみることになりました。新しく資材を買うこともできるけれど、何か違うなぁと思って。リサイクル資材を活用できないかと考え始めたときに、流通の過程で余った木製パレットはどうかと部活の先輩が提案してくださったんです。

陳列テーブルの下に設置された白い引き出し式の什器が、今回制作したもの!

安田:フェリシモの大事なコミュニケーションツールであるカタログを納品していただく際に使っているのが木製パレットなんです。
鹿嶋:物流センター「エスパスフェリシモ」に所属するメンバーから「ボロボロになったもう使えないパレットが全部で40枚もある!」との情報を得ました。木製ならば加工もしやすいし、それしかない!ということで、まずはそれらのパレットを調達して、「エスパスフェリシモ」の敷地内にて作業が始まりました。

Q4、ブログを拝見していると、なんだかハードな工程ですね。印象深いエピソードはありますか? 

安田:2月初旬の、雪が降ったあの日が一番つらかったかも。空気が透き通って、雪が舞ってとてもきれいな日だったけれど、むちゃくちゃ気温が低くて!さらに、朝から夕方まで作業があるうえに、細かな作業工程が多い日だったんです。そして、作業をやり始めたものの何かがおかしい……。

鹿嶋:図面が正しくない! 図面に「あてにしない」とメモをした、あの日です。(詳しくはブログを参照)。下準備を終えて、1台だけ、仮に組み立ててみたんです。でも、僕のつくった図面が間違っていて、背面だけサイズがあわない。

安田:でも、これ、“DIYあるある”なんですよ。想像していたよりも長いとか短いとか、サイズがはまらないとか。だから、その場でどうにかするしかないという状況も、制作物の大小を問わずDIYにはよくあることなんですよね。

鹿嶋:その場ですぐにラフのような設計図を書き直して、ことなきを得たのですが、この後に行ったパレットを分解していく(切り出していく)作業もすごく大変だったので、ここで気づけてほんとよかったです……!

くにちゃんのちょっと切ないなぐり書き。

Q5、お仕事の合間にそれほどの作業を!どのくらいの時間がかかったのでしょうか? 

鹿嶋:このプロジェクトが始動し始めたのが12月で、万博のオープンが4月でしたから、店舗の工事日や搬入日から逆算してスケジュールを組んで、実際に作業にあてられたのは4日くらいでしたね。部員総動員で、シフトを組んで実行しました。作業は物流センターで行っていたので、本社から移動しなくてはならないですし、みんな、仕事の合間を縫って作業をしに行く感じで。

安田:4人くらい行ける人がいれば決行するという感じでしたね。スケジュールは大丈夫かなと心配していたけど、意外と終わったよね。

鹿嶋:ちょっと余裕があったくらいでしたよね。

安田:……それは気のせいじゃない?(笑)

鹿嶋:もっと大変だろうと想像していたから。

安田:あ、でも、たしかに、19時や20時まで作業をするようなことにはならなかったですもんね。

鹿嶋:そうなんですよ、寒いし暗いので17時には強制終了していましたから。

Q6、いざ納品というタイミングでもまた、忘れられないできごとがあったのだとか?

鹿嶋:完成した状態で運ぶのがむずかしいということで、パーツごとに切り出したものを搬入して、現地で組み立てることになりました。ビスで固定するだけのシンプルな作業なのですが、現地で思いもよらぬトラブルが……! なんと、僕が、電動ドリルのバッテリーを忘れてしまい、ビスが留められないという。社内のスタジオで充電したまま、万博の店舗に持っていくのを忘れてしまっていたんです。

安田:たまたまその日は、私も外出先から万博に向かうつもりだったので、自宅にあるインパクトを持って万博へ駆けつけました。でも、私が行くまでに1台確保できたんですよね?

鹿嶋:他の場所で工事をしていらっしゃった初対面の施工業者さんにお願いをしてお借りできたんです!とても優しく貸してくださいました。あのときはほんとに冷や汗をかきました。

安田:それまでがんばっていた切り出しなどの下準備は時間がかかるのですが、組み立てはじめたら早いんですよ。現場での作業はあっという間に終わりました。

バッテリーがない!(左)結果的に無事に進んだ組み立て作業の様子(右)

Q7、「フェリシモっと」で、什器以外に、女子DIY部が手がけたものはありますか?

鹿嶋:店舗でアイスクリームを販売することになった際に看板を作りました。お店の内装にはLEDネオンが象徴的に使われているので、それにあわせてネオン風の看板にしました。

安田:いい感じなのに、そんなにむずかしくなくて作りやすいんですよ。工程も少ないし、あまり細かい作業もなくて。

鹿嶋:繰り返す作業が多いのも、簡単にできるポイントかもしれませんね。「アイス」と書いた紙をアクリル板の下に敷いて、上からそれをなぞってネオン風のLEDテープを貼る、というとてもシンプルな工程です。ネオンの看板って、買うと高いんですよ。今回作った40センチ×80センチの大きさだと、外注すれば4〜5万円かかりますが、DIYしたので11,460円ですみました!初めて作りましたが、やみーさんはじめ先輩たちがすごく応援してくれたおかげで3〜4時間で完成しました。

安田:応援というか、女子DIY部の作業日にくにちゃんが作っていたので、「どう?ちゃんと光る?」「進んだ?」「もうできる?」とかみんなが入れ替わり立ち替わり、にぎやかしに行ってましたね(笑)

Q8、素人からみるとなかなかハードな工程にもかかわらず、DIYをとても楽しんでおられるように感じます。みなさんを突き動かしているものは何だと思われますか? 

鹿嶋:僕の場合はふたつあって。ひとつは、とにかく作業すること自体が楽しいという、本能みたいなものです。ふたつめは、完成したものを見られることのよろこびでしょうか。今回なら、自分たちが手がけた成果品が万博という舞台で見られることがモチベーションにもなっていました。

安田:私もそう思います。女子DIY部での活動って、サッカー部みたいだなぁとも思っていて。走ることそのものは好きじゃなくても、ボールがあって仲間とつないでゴールを決められる、その目的のためならば走ることもがんばろうって思える。制作過程は、“走る”部分で、みんなで目指すゴールがあるから、“走る”こともがんばれるのではないかと思っています。

鹿嶋:さすがやみーさん、すてきな表現ですね!僕もそういうことを言いたかった(笑)。

安田:思っていたのと違ってもうまくいったときのよろこびはひとしおで、リカバリーすらも楽しむのがDIYの醍醐味だと思うんです。失敗を恐れないことがポイント。

鹿嶋:失敗も、それ自体がひとつの“味”になりますよね。例えば、今回の什器がもし既製品で、サイズが合わなかったとしたら、かなりのストレスになると思うんです。でも、自分で作ったものであれば、「まあ、自分で作ったし、しょうがないか」と思える。その分、気持ちが楽になるような気がします。DIYをしていて感じるのは、やっぱりその「しょうがない」と思える余白があるところが、すごくいいなって。ちょっとしたズレも許せるようになるというか。

安田:女子DIY部のメンバーって、とりあえずやってみよう!と踏み込むことを恐れない人が多い気がします。

Q9、実際に店舗で使う什器を作ってみて、店舗のスタッフなどの感想はいかがでしたか?

鹿嶋:店舗スタッフに聞いてみると、前面につけた取っ手の穴も、底面のキャスターも役立っていて、ちゃんと機能的に使えているということで安心しています。既製品ではないので、利便性や耐久性については使ってみないとわからないところもあったので。また、きちんと整った内装の店舗やパビリオンが並ぶなかで、リサイクル資材を使い、手づくり感のある有機的なものづくりができて、他との違いを出すことができましたし、サステナブルな思いや活動をちゃんと形にできて、フェリシモの目指す社会性を表現できたかなと思います。

Q10、ものが循環する取り組みに注力されてきたなかで、今後どのような展望をお持ちでしょうか。

安田:スケールが少し大きくなりますが、私は空き家問題に興味があって。古い建築物を壊して新しくすることには、「まだ使えるのに」という想いがあるから、ちょっと抵抗があるんですよね。だから、それらを、DIYを使ってどう保存したり活用したりできるのかいろいろ考えてみたいです。それから、私、「下宿のおばちゃん」になるのが夢なんですよ。DIYには、人と人とのたすけあいを、巡り合わせていくような力があると思うんです。人を世話するのが好きだし、ものを作るのが好きだから、まだ先のことかもしれないけれど、その“好き”を生かして地域の小さなこまりごとの解決に向けてお役に立てたらなという個人的な野望を持っています。

鹿嶋:O2O事業グループでは、店舗の運営を手がけているので、担当している事業においてもすでにある資材を再活用するなど、さまざまな可能性があると感じています。実は、木製パレットの再活用もフェリシモでははじめての取り組みではなくて、10年ほど前に女子DIY部で取り扱っているんですね。こうやって少しずつ積み重ねてきた知見をもっと生かしながらノウハウを磨いて、また別のプロジェクトでも貢献できればうれしいです。

什器の今後の活用方法は考え中。分解して再活用し、万博の思い出を新たに再構築するなど、可能性は広がります。

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