よく来てくださいました。このショコラティエの話は聞いてほしい。
このお店大好きなんで、すっ飛ばしなしで聞いてほしいです。

ベルギーのある街にバスで行きました。聞いたことがない街の名前です。ゼルザーテ。

バスを降りたら、繁華街もないんです。2階建てくらいの建物がずっと並んでる感じ。かと言って自然がいっぱいという感じでもなく、おそらく観光地でもなく、一見さんの外国人にはまったく用事のない住宅街というのは分かりました。

そこに小さな間口のショコラティエがありました。

クリストフ デ グローブ。ここだ。

私たちが行くと、ショコラティエが言葉少なに聞いて来ました。「えーと、今までどこに行った？ ブリュッセル？ 」「行きました」「まあ、ノーマルやね」「あと、アントワープに行きました」「ま、それも分かる」「ゲントにも行きました」「うん……。それも普通……。えーと。ここには近所の人しか来ない。99％知り合いしか来ない。えーと……」あれ？ 何が聞きたいのかな？ ちょっと下向いてる。なんでここに来たのか聞きたいのかも。

「日本にまだ紹介されてない素晴らしいチョコレートを探しています」

私がそう言うと顔がぱっと変わりました。「そーか。そーか。なるほどーー！」納得がいったようで、それから急にテンションが上がってフレンドリーになりました。かわいい小柄なお母さんも出てきました。

親子でお店を切り盛りしているのが分かります。もうバスの時間があるからと言っても、2人でステレオのように「これも食べなさい！」「こっちも！」。ついには時間がないけれど、チョコの実演まで始めてくれました。チョコをモールド（型のことです）からはずす作業を私にやってみろと言います。ちょっとうまくいかず割れてしまったけど、とってもハイテンション。この人はここで毎日毎日チョコをこうやって型からはずして作ってるんですね。

お母さんはかわいい包み紙でていねいにお土産を包んでくれるのです。もう時間がない……。ほんとうにあったかな親子ショコラティエでした。息子さんが作って、お母さんがラッピング。
この人たちにとって日本のみなさんにチョコレートを送ることは本当に特別なことです。毎日の顔の見える相手に作るのとは違う非日常。きっと、このことを特別なことに思ってくれてることでしょう。ぜひ、この人たちが作る気持ちのこもったチョコを食べて欲しいと思いました。

おまけですが、この方々は、「チョコを探しているんでしょう。いいチョコがあるから紹介してあげる」と、違うショコラティエの連絡先を紹介してくれるんです。これはほんまにベルギーだけです。ライバルではなく、みんな友だちだと思っているんでしょう。ほんまにいい人でしょ。
　せっかくの特別なバレンタインのチョコです。オートメーションも悪くはないですが、年に一度です。いい人が作ったものを食べたいです。

そして、なかなか行くことが出来ない街だと思いますが、この人たちにいつか会ってほしいです。以上、長くなりましたがお付き合いいただいてアリガトウございます！

ビジュアルもかわいいですが、なんと言ってもローズのクリームの上品な香りがたまりません。このチョコ食べて。おしあわせに！

クリストフデグローブ　ローズ

こちらもあります！
キュベルドンとは、「鼻」という意味。お鼻の形をしたベルギーらしいチョコレート。フェリシモ限定味のラズベリークリームたっぷりのチョコレートです。

クリストフ デ グローブ キュベルドン

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チョコレートバイヤーみり〈フェリシモ〉