この夏を彩る、スペシャルな4つの腕時計。

こんにちは、フェリシモ日本職人プロジェクトのリーダー・山猫です。
この〈&Stories /アンドストーリーズ〉シリーズでは、「誰かの物語から立ち上がるモノ作り」をコンセプトに、日本製のアイテムをラインナップ。1人ひとりの中にある、小さいけれど熱烈な「好き」「欲しい」を叶えることで、世の中にはないモノが生まれます。

この夏は、「日常にあるリゾート感」がテーマ。
夏は、開放的な気分になる季節。
ふだんの生活をしながら、気持ちをゆるめてオープンに過ごしたい。
そんな想いに寄り添う、自分を解放できるコト・モノを集めました。

自分の好きな時間を、居心地のいい場所で。
日常に溶け込むシンプルで心地いいアイテムと共に、暮らしのなかにあるマイ・リゾートを楽しんでみませんか?

この夏、いつもとちょっと違う夏にする魅惑の物語をお届けする〈&Stories / アンドストーリーズ〉。その中から、小さな文字盤に物語を閉じ込めた4つの時計をご紹介します。

スクエアな文字盤は、海をそのまま切り取ったよう。

今回ご紹介する4つの腕時計は、金沢の時計工房さんと一緒に作りました。金沢の時計工房には、牛島孝さんというアートディレクターの方がいらっしゃいます。牛島さんは日本画家としても活躍されていて、その技術や知識、センスが時計づくりにも生かされています。中でも、「溜塗(ためぬり)」という技法を使った表現がとても秀逸。これまで、藍色の月や北欧のオーロラ、都会の夕暮れなど、いろいろなものを小さな文字盤に表現してきました。

金沢の時計工房のアートディレクターであり、日本画家でもある牛島孝さん。今回のシリーズは、フェリシモの打合せルームでのミーティングから生まれました。

その「溜塗(ためぬり)」を使ったスペシャルアイテムが、水平線を表現した今回の新作モデル。夏のイメージにぴったりな海を、文字盤に閉じ込めることを試みました。

昨年の夏、牛島さんが金沢から神戸まで、打ち合わせに来てくださいました。その時にサンプルとして見せてくださったのが、青、白、水色のグラデーションが見事な文字盤。打ち合わせをしていたのが海の見える部屋だったこともあって、牛島さんに「ぜひ文字盤に、海を閉じ込めてください」とお願いしました。

昨夏、初めて神戸にあるフェリシモ本社を訪ねてくださった牛島さん。神戸の海を眺めながらの打ち合わせでした。 

その打ち合わせから数ヵ月。山猫のもとに、牛島さんから「すみません、、、やっぱり3色は難しいです…」という連絡が入りました。あれから何度もチャレンジしてくださったそうなのですが、3色で上下3層のグラデーションを作るのが想像以上に難しいとのことでした。1つや2つであればできますが、ある程度の数を同等のクオリティーにまとめるのは、牛島さんの技術を持ってしても無理とのこと。ただ、「2色だったら、できるかもしれません!!」と言ってくださったので、あらためて、2色でお願いさせていただきました。(3色ができないのは残念でしたが、僕らのリクエストに真摯に取り組んでくださったことがとてもよくわかったので、誠実なお人柄だな、と思いました)

そして完成したのが、水平線を境に、空の青と海の青が広がる美しい文字盤。夏の風景を額縁で切り取ったような、素晴らしい時計ができました。

面積が広いスクエアの文字盤は絵の具のコントロールが難しく、しかも2色をうまく上下に塗り分けないと、全部混ざって暗い色になったり、縦に濃淡が出て水平線に見えなくなったりします。だから牛島さんは、何度も絵具の濃度や筆に含ませる量を調整して、ようやく納得のいく仕上がりにたどり着いたそうです。始めは偶然から生まれた奇跡の一個を、試行錯誤を重ねて再現できるようにしてくださったのが、本当にすごいなと思います。

一点ずつ手作業で彩色するので、海や空の色、バランスは異なります。波が立っているかもしれないし、遠浅かもしれません。どんな海が届くのか、お楽しみに。

水平線の文字盤に合わせたのは、砂浜をイメージしたサンドベージュのレザーベルト。最初は白色のベルトだったのですが、完成した文字盤を見たMOEとNISHIYANのアイデアでこの色になりました。

着けてみると、本当に手もとに海!波の音や夏の曲が聞こえてきそうです。自分だけの小さな海を持ち歩く、そんな特別な楽しみが味わえます。(仕事中もふと時計を見ると、気持ちだけはリゾートに行けそう!)

星に願いを。描いたのは、頭上に広がる満点の星空。

ふたつめは、キラキラの星空をイメージした“満点の星に見惚れる腕時計”。これも昨夏、神戸を訪れた牛島さんに見せていただいたものがベースになっています。打合せをしたのは、夏の始まりの7月1日。七夕が近かったこともあって、「願い事が叶いそう!」「天の川みたい!」とみんなで盛り上がりました。

金沢に戻った牛島さんが仕上げてくださったのは、頭上に広がる満点の星空。小さな文字盤に、海や山で空を見上げたような星空が広がっていました。(じっと見つめていると、地球の自転すら感じられるような気がしてきます)

星空のきらめきを表現しているのは、繊細なラメ。絵の具にラメを混ぜ込んで、手作業で彩色しています。本当に星の光のような、小さくまたたくような輝きが絶妙。キラキラするけど下品にならないように、置き方のバランスをすごく意識されていました。どうやって調整するんですか?と伺ったら、「感覚ですね」と牛島さん。目立ちすぎず、でも動いたときにキラッと光って、とても上品な文字盤になりました。ラメの配合は一点ずつ違うので、世界にひとつの星空を楽しんでください。

レザーベルトは、星明かりに照らされた夜空をイメージしたナイトネイビー。黒よりやさしい深みのある色で、手もとに品よくなじみます。

打ち合せの席で、「リゾート地で見る星空があんなに美しいのは、都会を離れて光が少ないだけでなく、日常から解放されているから美しく感じるのかな?」という話になりました。この文字盤には、そんなリゾートの星空が表現されていると思います。小さな星空を身に着けていると、七夕の星に願いをかけるように、何かいいことを呼び込んでくれそうです。

いつかの夏の思い出を、幻想的なカラーで表現。

続いては、どこか懐かしい夏の記憶をテーマにした腕時計。その名も、“想い出のカクテルに見惚れる腕時計”です。みんなの心の中にある、ノスタルジックな夏の記憶、水彩画のような淡く透明な記憶を呼び起こすような、そんな世界を文字盤に表現しようと試みました。

でも、イメージが抽象的なだけに、表現するのは想像以上に大変。最初に作っていただいた試作品は、とてもカラフルな仕上がりでした。(これはこれでおしゃれでしたが、ちょっとコントラストが強すぎたので)。

ピンク×ブルーの色合いは、どちらの分量が多くなっても印象が変わってしまいます。ピンクが多いとビビッドになり、ブルーが多いと沈んでしまう。この間を取って、すりガラス越しの日差しのような、淡くおぼろげな色合いを表現するのが本当に難しく、あの牛島さんが「正直、ギブアップかもしれません……」とおっしゃるほど。それでも諦めずに挑戦を続けてくださって、ようやく、理想の幻想的なグラデーションにたどり着きました。

ピンク×ブルーが混ざり合う不思議なグラデーションは、海外のリゾートホテルで飲んだカクテルのような、ちょっと自分を解放した一杯のイメージ。レザーベルトも、明るい夏の夜を思わせるグレーを合わせました。美しい文字盤の色を引き立てつつ、手もとにしっくりとなじんでくれます。

リゾートホテルのカクテルのようでもあり、レトロ喫茶のカラフルなゼリーのようでもあり、夏の夕暮れのようでもあり……。見るときの気分によって、印象もいろいろ。皆さんの記憶の中にある夏のイメージを重ねて、楽しんでください。

文字盤を包む真鍮のレースは、ハンドメイドのぬくもり。

最後にご紹介するのは、“レースリングに通る光に見惚れる腕時計”。溜塗シリーズとは全く違う、クラフト感あふれる時計です。

金沢の時計工房さんが、創業時から大切にされてきたモデルがベース。

こちらの工房の腕時計は文字盤やベルトの制作、組み立てまで、すべて手作業で行われていますが、この時計はフレーム部分まで手作りの、原点といえるモデルです。

その特徴的な文字盤を彩る真鍮フレームは、一枚の真鍮の板をヤスリで丁寧に波形に削り、レースのような透かし柄を施します。文字盤を包み込むようなレースのあしらいが愛らしく、でも金属なので甘くなりすぎない、大人に似合うほどよいバランス。透かし柄の影が文字盤に落ちて、模様のように見えるのも素敵です。真鍮フレームはぽってりと厚みがあり、手づくりならではのぬくもりが感じられます。

真鍮という硬質な素材を、レースにアレンジする繊細な手仕事がお見事。金沢の時計工房さんがずっと大切にされてきたクラシカルモデルなので、流行に左右されることなく、長く愛用できます。使い続けるうちに真鍮の色が変化して、いい味わいになっていくのも楽しみです。

本革のベルトは、やさしいキャメル色に。真鍮レースに雰囲気に合わせて、上品なカラーを合わせました。主張しすぎないから、ベーシックな着こなしや、ナチュラルな素材にもよく似合います。どこかレトロなたたずまいで、打ち合わせの席では「冒険に出かける主人公の相棒みたい」と盛り上がりました。

大量生産の工業品とは違う、手づくりならではのあたたかさが心地いい特別な時計。フレームの部分が手作りのため防水性能がなく、お使いいただく際には雨や汗など水の侵入に気をつけていただく必要がありますが、ハンドメイドならではのぬくもりに愛着がわく、ずっと大切にしたいと思える逸品です。

豊かで広がりのある世界観を、小さな文字盤に凝縮。

金沢の時計工房さんとお付き合いを始めてもう3年。金沢と神戸をお互いに行き来しながら、一緒に時計づくりを続けてきました。

今では、「こんな時計を作ってください」というオーダーではなく、「こんな風景を閉じ込めたいんです」「こんなイメージを表現できますか?」というお願いの仕方に変わりました。モノを作ってもらうというより、風景やイメージを伝えて、それを表現してもらうような感じ。僕たちだけの想いではなく、それを牛島さんが解釈して表現することで、より豊かで広がりのある世界が生まれると思っています。(牛島さんは日本画家でもあるので、画家さんに描いてほしいものをお願いできるなんて、すごく贅沢だなと思います)

何度かお邪魔している、金沢の時計工房での打ち合わせ。

小さな文字盤ですが、「見惚れる」の名前にふさわしく、本当にその風景が見えてくるような仕上がりです。時間を見るためだけの道具ではなく、気持ちを切り替えたり、落ち着かせたりしてくれる、そんな存在になってくれると思います。

今回ご紹介した時計のベルトは、すべて交換が可能です(ご案内は、商品に説明書をセットしています)。時計工房で新しいベルトの購入もできますよ。購入から1年の保証もあるので、安心して長くご使用いただけます。

次回は、夏にぴったりのレザーサンダル&シューズをピックアップ! 昨年大人気のトングシューズの新色から、名品の予感がする新作モデルまで、たっぷりご紹介します。お楽しみに!

金沢の時計職人が手掛けた 青い水平線のあわいに見惚れる腕時計〈サンドベージュ〉

¥26,950

金沢の時計職人が手掛けた 満天の星に見惚れる腕時計〈ナイトネイビー〉

¥20,900

金沢の時計職人が手掛けた レースリングに通る光に見惚れる腕時計〈ライトブラウン〉

¥19,250

金沢の時計職人が手掛けた 想い出のカクテルに見惚れる腕時計〈グレー〉

¥20,900

日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。

プロジェクトリーダー 山猫

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