こころの深呼吸
「こうあるべき」を、脱ぎ捨てよう
2026.06.26

鏡の前でファッションショーを繰り広げていたとき、ふと気づいた。
ワンピース、Tシャツも黒。
気づけば似たような服ばかり並んでいる。
「なんか、わくわくしないかも」。
たしかに、黒はコーディネートの失敗が少ない。
「リラックスファッション」が流行ってからは特に、ゆるっとした服でからだのラインを気にせず過ごせるラクさに、ずいぶん助けられてきた。
でも、冷静に鏡を見ると、どこか寂しい。
わたしって、本当にこのファッションが好きだったんだっけ? そんな違和感が、じわじわと大きくなっていった。
年齢とともに変化していく“からだ”から目をそらし、ラクであることだけに飛びついていた数年間。
自分のこころとからだを置き去りにしていた。 その結果が、今。
でも、本当はもっとわくわくできるものに囲まれたーい!
よし、こうなったらクローゼットを見直してみよう。
すると、出てくる出てくる。
昔流行ったスキニーパンツ、ウエストが窮屈なペンシルスカート。 たまにはくと、自分の太ももやおしりのラインにびっくりして、またクローゼットにしまっていたんだった。
次に、鏡の前の自分とも向き合ってみる。
……背中、二の腕、おなか、おしり、太もも。
これが、今のわたしかぁ。
昔の写真と比べたらいろいろ違っているけれど、楽しいこともつらいことも乗り越えてきた、今のわたし。
がんばってきたね。
ふと、鏡の中の自分と目が合う。
なんだか昔より表情豊かで、リラックスしている気もする。 目尻に刻まれた笑顔のあとも、なかなかいい味を出しているじゃないか。

わたしは、“過去”の流行と、年齢を重ねた“今”の狭間で揺れていたのかも。
自分の現実を無理に全肯定しなくていい。
ただ受け入れて、「今のわたしらしい姿」でわくわくするための考え方を見ていきたい。
ラクなことは、決して手抜きじゃない。
今の自分を大切にするための、賢い選択。 まずは、それを認めることから。
足が疲れないスニーカーだって履きたいし、リラックスできるインナーや服で過ごしたい! その気持ちにふたをして、からだに無理をさせるのは、本当の「わくわく」じゃないと思う。
だから、あの黒いワンピースは今年も着る。
けど、ずいぶん使い古して底がすり減ってきた黒いスニーカーは手放して、気になっていた赤の差し色が入ったスニーカーを迎えに行こう。
全身をがんばらなくてもいい。
でも、自分がきゅんとするものをひとさじ加えてみる。
わたしなら、スカーフ。
街中で見かけた、シンプルな白いワンピースに鮮やかなオレンジのスカーフを合わせていた人が、ずっと忘れられないから。
「お気に入りの一枚を買おう」と計画を立てるだけで、わくわくしてくる!
大人のおしゃれって、案外こういうことなのかもしれない。
年齢を重ねるのは、失うことばかりじゃなくて、楽しみ方が変わっていくことでもあるんだな。
昔、あこがれていたシルエット。
昔、似合っていたファッション。
全部手放す必要はないけれど、今の自分だから似合うものも考えてみたい。
「似合っていたスキニーが、今は似合わない」ではなく、「今は、ストレートパンツが似合うようになったな」ととらえる。
ハリ感のあるシャツも、着られている感なく見えるようなったのも、年齢を重ねたからこそだ。
そういう発見がわくわくを連れてくる!
黒い服ばかり選んで、からだを隠していたのは、失敗したくなかったし、安心したかったから。
それはそれで、あのころのわたしに必要な選択だったんだな。
これからは、ラクを手放さず、ときめきも連れていく。
わたしたちは、そんな選び方でしあわせになっていける。 そうすればきっと、鏡に映る自分にもわくわくできるようになっていく。
ああ、そうしたら、また目尻に笑顔が刻まれていくな。
……時がたつのも悪くないかも!
あ、いいかも
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