フェリシモCompany

24年春には「もしもしも 備蓄でお守り ~KOBE BOX~」プロジェクトがスタート! 開始から2年経った「みんなのBOSAIプロジェクト もしもしも」の現在地。

こんにちは、フェリシモ基金事務局のmotoです。

まず、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震において被災されたみなさまにお見舞い申し上げます。一日も早い復旧復興をお祈りいたしますとともに、フェリシモでは物資の提供や「もしもしも防災基金」「もっとずっときっと基金」による取り組みを通して、ご支援を続けてまいります。

※これより以下の記事につきましては、2023年12月のインタビューを元に構成しております。どうかご了承ください。

2021年にはじまった「みんなのBOSAIプロジェクト もしもしも」(以下、「もしもしも」)は、2つの軸で活動しています。1つは“みんなで支える”基金、もう1つは“わたしを守る”ための備えを定期便で準備しておく提案をしています。

“わたしを守る”ための定期便では、これまでに「おうち避難」に備えるアイテムと「自宅外避難」に備えるアイテム、「外出先避難」に備えるアイテムの、3つのケースを想定した定期便を展開してきました。

地震だけでなく台風や集中豪雨など、毎年多くの自然災害が発生する昨今。災害を自分ごととして考える必要性が高まっています。「もしもしも」ではそんな災害時に必要なものを改めて見直し、機能性だけでなく被災時の心の状態にも寄り添うようなアイテムを提案しています。

今回は、本プロジェクトの統括リーダーである武智直久さんに、これまで生まれたアイテムの背景と、新たに始まる備畜食プロジェクトもしもしも 備蓄でお守り ~KOBE BOX~」について、聞きました。

話し手:武智直久さん
聞き手:フェリシモ基金事務局

「誰も取り残さない」ために、わたしたちができること

1995年に起きた阪神淡路大震災の被災地・神戸にある企業として、フェリシモはこれまでさまざまな基金や支援プロジェクトを行ってきました。防災に関する定期便としては、2015年に販売を開始した「スペースエマージェンシーキット (NEO) 」が先駆けとなります。その後、「イメトレ防災」という普段から災害にそなえた準備を提案していくのですが、実際のところ、この定期便だけでは準備はまだまだ足りません。そこで「これまで点のように個々に行ってきた活動を繋ぎ線にし、面にしていきましょう」という考え方のもと、2021年に「みんなのBOSAIプロジェクト もしもしも」が始まりました。自分で自分を守る自助、そしてみんなで準備をし助け合う互助の精神をもとに生まれたのが、「誰も取り残さない」という考え方です。それを土台に、“みんなでみんなを支える”互助としての基金と“わたしを守る”ための備えを定期便としてお届けする、2つの軸で活動しています。

まず第一弾として定期便「もしもしも きほんのきセット」をつくりました。これは、災害が起きてから3日間に起こりえるシーンに対応した基本的なアイテムを、サイズや重量などを考慮して持ち出しやすくしたセットです。災害時、支援物資の到着には3日かかると言われています。そんな時に必要となりうる「ウォーダーバッグ」や「緊急トイレセット」など10セットのアイテムを、毎月1セットずつお届けすることで、少しずつ知識とアイテムを一緒に準備していただくご提案をしています。

プロジェクトのためにいろいろな勉強会へ参加するうちに、被災時に被害に遭われるのは、からだに障がいがある人や高齢者が多いということを知りました。また、性別や年齢といった大きな枠組みで考えただけでも、被災時に必要なものは変わってきます。そこで「誰も取り残さない」というコンセプトに立ち返った時に、もっと細分化したアイテムの必要性を感じ、次の段階として2023年に2つの商品をつくりました。それが、「もしもしも どんなときでも私らしく過ごすための7つの魔法の会(おまけ付き) 」と「もしもしも 自宅を最強の避難所にする準備の会 」です。

不安な心にも寄り添える、一歩具体的な提案を

「もしもしも きほんのきセット」は避難所で生活する際を想定したセットですが、実は被災時に避難所で過ごす人は全体の23%程度。都心に暮らす方は特に自宅待機となることが多く、「もしもしも 自宅を最強の避難所にする準備の会 」では、そんな場合を想定して、リビングやキッチン、寝室など部屋ごとにフォーカスを当てた上で、災害に備え自宅を安全な空間にするためのアイテムを準備する提案をしています。この商品を作る際には実際に、自然災害に遭遇された方の体験をもとに機能面を重要視しつつ、普段遣いできるように、インテリアになじむデザインを心がけました。

「ガラス飛散防止フィルム」や、被災時に外して懐中電灯としても使える「1台2役の充電式LED電球」など6個のアイテムを定期便でお届けする。
「ガラス飛散防止フィルム」や、被災時に外して懐中電灯としても使える「1台2役の充電式LED電球」など6個のアイテムを定期便でお届けする。

「もしもしも どんなときでも私らしく過ごすための7つの魔法の会(おまけ付き) 」は、女性に特化した商品です。女性と男性では、普段の旅行や出張などでも必要なものが違います。しかし、これまで世の中には女性にフォーカスを当てた防災グッズがほとんどありませんでした。フェリシモのお客さまは90%以上が女性ですし、女性にフォーカスをあてて、準備しておく必要があるなと。そして「もしもしも」としては、機能性だけでなく日常に近い状態でストレスなく過ごしてもらうための商品にできたらと思い、内容を検討していきました。

五感を満たすというコンセプトをもとに、機能だけでなくデザイン性や触り心地なども考え抜いたそう。
五感を満たすというコンセプトをもとに、機能だけでなくデザイン性や触り心地なども考え抜いたそう。

具体的には、着替えの時に周りの視線を意識せずに着替えやすくする「すっぽり隠れるお着替えポンチョ」や腹巻と着圧ソックスがセットになった「ふわもこほっこりあったかセット」、生理時の必要品を備えられる「物資不足&気になりポイントを解決セット」など、7個のアイテムをそろえています。被災時は誰でも気持ちが落ち込んでしまいます。その中で少しでも平静を取り戻せるような提案を終始心がけしました。カラーリングをシアーピンクでそろえ、カモミールティーやリネンスプレーなどをまとめた「香りと味でほっとゆるまる 癒やしの魔法セット」をアイテムに入れるなど、少しでも安心できるよう意識しました。苦労知らずと書く「フクロウ(不苦労)」をモチーフにしたのも、このセットで伝えたい思いを詰め込んでいます。「もしも」の時だけでなく普段でも使っていただけるように、開発に携わっていただいたメーカーの女性の声を多く取り入れています。出張や旅行でも使えるアイテムになったと思いますので、日常でもぜひ使ってほしいです。ただこのセットはあくまでひとつのプロトタイプです。「もしも」の時に自分だったら何があれば自分らしくいられるかは人それぞれなので、自分流にカスタマイズして準備しておいていただけければと思います。内容はあくまでもひとつの提案の形。好きなものを追加したり、自分のために内容をアレンジしてもらえたらと思います。

「香りと味でほっとゆるまる 癒やしの魔法セット」。「機能だけで終わらさず、心も落ち着けられるように」という思いが込められている。
「香りと味でほっとゆるまる 癒やしの魔法セット」。「機能だけで終わらさず、心も落ち着けられるように」という思いが込められている。
おまけとして毎回1枚ついてくるタロットカード。周りの人との会話の糸口になったりと、被災時の気持ちをリフレッシュさせてくれる。
おまけとして毎回1枚ついてくるタロットカード。周りの人との会話の糸口になったりと、被災時の気持ちをリフレッシュさせてくれる。

神戸の企業とともに、災害に備えたボックスをつくる

始動して2年が経った「もしもしも」ですが、どんなものを準備しておけば安心できますかとお客さまにアンケートをとってみると、一番多かった回答が備蓄食だったんです。備蓄食は被災時の必需品ですが意識して準備している人は実は少ない。アンケートには「被災したあとの食事の供給がどうなるかわからないから準備したい」、「備蓄食を準備したいがどのようなものを用意していいかわからない」というような回答もあり、お客さまが被災時の食事について不安に思っていることがわかりました。被災時には自治体から食料が配布されるのではという期待もあると思いますが、高齢者や乳幼児と一緒なら……、アレルギーを持っていたら……、と考えると、自助として準備しておいた方がだんぜん安心です。「もしもしも」として上記の需要すべてにこたえることは今はできませんが、それを意識することを伝えることはできます。今できることを提案し、未来につなげられたら!と考えるようになり、きちんとフェリシモとして備蓄食を提案すべきだと考えるようになりました。

「阪神淡路大震災が起きて30年を迎える2025年を目前に、神戸の企業さまと一緒にプロジェクトに取り組みたい」と思って調べていくと、「フジッコ煮」や「おまめさん」で知られる、フジッコ株式会社さまがJAXAの宇宙食などを手掛けていることを知ったんです。宇宙食ってなんだかとても夢がありますし「これだ!」と、さっそくフジッコ株式会社さまの広報の方と打ち合わせを進め、ともに備蓄食のプロジェクトを進めることが決まりました。それが、2024年春から案内する「もしもしも 備蓄でお守り ~KOBE BOX~」です。フジッコ株式会社さまの他に、モロゾフ株式会社さま、エム・シーシー食品株式会社さま、株式会社神明さまの4つの神戸の企業から商品をご提供いただき、約1日分の食事をボックスにしています。備蓄食は「気がついたら賞味期限が切れていた」ということが起こりがちですが、フェリシモの定期便としてお届けすることで、賞味期限がくる月に、「アラート」をしてお知らせできるところが特徴です。食料も無駄にしたくないけれど、同時に安心ももっておきたいという方のためのお手伝いができればと思います。また、備蓄食の保存期間は数年あることが一般的ですが、今回のボックスに入っている食料は、添加物を使っていないため賞味期限が1年以内のものもあります。わたし自身、備蓄食といえば4〜5年は保管が効くものというイメージがあったのですが、やはり長く保管すればするほどおいしさは減ってしまいます。神戸のメーカーさんが自信をもって作られた食品を、きちんとローリングストックできる備蓄食として、購入いただくみなさまにちゃんと理解して準備していただくのはもちろんのこと、折角「もしもしも」として提案するなら、メーカーさんが作られた食品を美味しい状態で食べてもらいたいという思いもありました。ある程度短期間の賞味期限であることによって日常の中で備蓄食を食べるという準備を経験することが、いつ起こるかわからない自然災害にそなえておく文化ができるのではないかと考えるようになりました。「どのように食べるのか」「どのようなアレンジができるのか」を体験することも、備えの一つになりますし、買い足していくことで備蓄するものを見直すことにもつながります。

イラストは、神戸のイラストレーター・サタケシュンスケさんによる神戸の街並み。食品だけでなく、まるごと神戸生まれのボックスが誕生した。
イラストは、神戸のイラストレーター・サタケシュンスケさんによる神戸の街並み。食品だけでなく、まるごと神戸生まれのボックスが誕生した。

今回、ポートピアホテルさまにも協力していただき、ライフラインが止まった時につくれるレシピをシェフに考案していただきました。普段から自宅にある調味料や、卵や豆腐など冷蔵庫に常備してある食材を備蓄食とともに使うアレンジメニューを同封のカスタマイズ・ノートで紹介しています。また、2024年1月14日に三宮で行われた神戸市のイベント「神戸防災のつどい2024」では、神戸学院大学の「防災女子」に本商品の一部を使っていただき、被災時にアレンジレシピを考案していただきました。フジッコ株式会社さまの「宇宙ひじき煮」を使った「ひじきごはん」や、モロゾフ株式会社さまの「アルカディア(チョコレートチップ)」を使った「チョコレートチップの蒸しパン」など、神戸のまちの方々に試食していただきました。

ボックスを開くと、防災の基礎知識や参加企業の思いが詰まったカスタマイズ・ノートが登場。こちらにポートピアホテルのシェフによる、備蓄食を使ったレシピも掲載。
ボックスを開くと、防災の基礎知識や参加企業の思いが詰まったカスタマイズ・ノートが登場。こちらにポートピアホテルのシェフによる、備蓄食を使ったレシピも掲載。

もう一つご紹介したいのが、食品の温め方法や冷蔵方法についてです。最初はガスコンロで湯煎しようと思っていたのですが、フェリシモの社員が防災セミナーに参加したことがきっかけで、「水だけで ほかほか ボックス」を販売することに。このボックスは蒸し器のような構造になっているのですが、180ccの水に発熱剤1袋を入れるだけで、100℃まで水を温めることができるんです。水も少ない量で済むすぐれもの。その一方で、冷蔵できるボックス「もしもしも保冷ボックス」もつくりました。この商品のポイントは、組み立て式ということ。使わない時は分解し畳んで収納が可能です。内側が冷蔵庫のドアの簡易版のような仕組みになっていて、保冷剤を入れるだけで長時間の冷蔵ができるんです。

上から「もしもしも 保冷ボックス」、もしもしも 備蓄でお守り ~KOBE BOX~」、「水だけで ほかほか ボックス」。3つ揃えば、より万能に!
上から「もしもしも 保冷ボックス」、「もしもしも 備蓄でお守り ~KOBE BOX~」、「水だけで ほかほか ボックス」。3つそろえば、より万能に!
「もしもしも 保冷ボックス」は約30秒で組み立てられるそう。「水だけで ほかほか ボックス」とともに、被災時だけでなくアウトドアでの活用も◎。
「もしもしも 保冷ボックス」は約30秒で組み立てられるそう。「水だけで ほかほか ボックス」とともに、被災時だけでなくアウトドアでの活用も◎。

企業の方とお客さまとともに考え安心を届ける

阪神淡路大震災の被災地である神戸の企業ともに発信したいとはじめたこともあり、4社の企業さまに賛同を得られたことはとてもうれしかったです。
レシピを考えていただくためにポートピアホテルの桑原シェフに会いに行った際、当時ポートピアホテルで宿直をされていた竹下さんと川中さんに阪神淡路大震災当日のお話をお伺いすることができました。阪神淡路大震災は朝5時46分に発生したのですが、当時ポートピアホテルでは朝食の準備時間だったこともあり、宿泊のお客さまだけでなく、ホテルに集まってきた方々へ食事を提供したそうです。近隣の方が広い避難場所としてホテルへ訪れていたようで、後々「あのときは本当に助かりました」というお礼の声をいただいたそう。今回、KOBE BOXの中に入れるカスタマイズ・ノートをつくることで、このように企業の方の災害への思いや記憶をお聞きすることができ、お客さまへ届けることも叶いました。本プロジェクトは4月から販売案内を開始する予定ですが、ご購入いただいたお客さまのお声をお聞きし、翌年、翌々年とブラッシュアップしていきたいと考えています。そして、災害時に必要なものは生活環境やライフステージによって変わるもの。今後は少しずつ、高齢者を対象にしたものや乳幼児連れの方を対象としたもの、ペットが家族にいる方を対象としたものなど、さまざまな暮らしをしている人に向けた商品を考えていきたいと思います。お客さまそれぞれがご自身の人生プランを辿る中で、何かがあった時に「そういえばフェリシモにこれがあった!」と、思い出していただければ、「みんなのBOSAIプロジェクト もしもしも」をやり続けて良かったと思えるのかもしれません。

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