こんにちは、フェリシモ日本職人プロジェクトのリーダー・山猫です。

この〈&Stories/アンドストーリーズ〉シリーズでは、「誰かの物語から立ち上がるモノ作り」をコンセプトに日本製のアイテムをラインナップ。1人ひとりの中にある、小さいけれど熱烈な「好き」「欲しい」を叶えることで、世の中にはないモノが生まれます。

この冬シーズンのキーワードは、「TIAM(ティアム)」。ペルシア語で、「初めて出会ったときの瞳の輝き」という意味を持つ言葉です。目にした瞬間、心が揺さぶられて、特別な感情が湧きおこる。そんなモノとの出会いはきっと、暮らしという日常に素敵な光をもたらします。自分と静かに向き合う冬という季節に、瞳が輝くような出会いを、ぜひ楽しんでください。

今回ご紹介するのは、日本職人プロジェクトでも人気の時計。滋賀の時計工房さんと作った懐中時計と、金沢の時計工房さんと作った腕時計をピックアップします。個性の異なる2つの工房で生まれた、タイプの違う時計たち。その開発秘話をお届けします。

迷いの果てにたどり着いた、清らかな存在感。

まずは、滋賀の時計工房さんと作った懐中時計から。「アールデコ」をキーワードにデザインした初代モデルに続く、2代目モデルです。

こちらの工房は、日本職人プロジェクト初となる腕時計を作ってもらったところ。0から1を生み出すために、いつも一緒に苦労してくださる大切なパートナーさんです。初代モデルの懐中時計も、オリジナルの外装パーツの製作するところから関わってくださいました。

琵琶湖の湖畔近くにある工房にお邪魔して打ち合わせ。写真奥の左がチーフデザイナー片岡修一さん、右がデザイナーの高山健三郎さん。

2代目となる今回の懐中時計も、初代モデルに続き、アクセサリーも手がける時計デザイナーの高山健三郎さんと、ヴィンテージやアンティークを愛するプランナーMOEが担当。今回も、最高の逸品を目指しました。

慎重派の高山さんと大胆派のMOE。お互いの意見を尊重しつつ、最適なゴールを目指していきます。

モノづくりの工程は、まず打ち合わせをして作りたいものの方向性を決めたら、試作をしながらメールなどで細かくやり取りをして修正を重ねていく……というのが大まかな流れ。

完成という目的地に向かってひたすら進んでいく工程なのですが、今回はそこにたどり着ける道筋がなかなか見えず、それぞれが違う目的地に向かっているのでは!?と思うこともしばしば。高山さんとMOEのやり取りを側で見ながら、このアイテムはちゃんと完成するのか……とハラハラしました。MOE自身も「手探りすぎて、どこに落ち着くのか見えなくて大変でした」と振り返ります。(山猫から見ると、乗換や行き先がわかりにくい、外国の地下鉄に乗っているような2人でした)

高山さんとMOEがやり取りした数か月分のデザイン資料。微妙なニュアンスのすり合わせを何度も何度もしていきました。

あるものを組み合わせるのではなく、世の中にないパーツを作るために、3Dで設計した画面を見ながら幾度も確認。フレームの厚み、刻印のモチーフ、文字盤のデザイン、インデックスの書体、そこに合わせる針のセレクトなどなど、数え切れないほどの項目を少しずつすり合わせて行きます。

そんな苦労を経て完成した時計は、繊細な模様を施した清楚な佇まい。脱線や迷走を繰り返した大変さを微塵も感じさせない、気高く上品な仕上がりになりました。

文字盤に刻んだのはローマ数字。さまざまな候補の中から選んだ、クラシカルな書体を使っています。フレームにはシンプルな模様を刻印し、文字盤の真ん中にも装飾をプラス。(これも紆余曲折ありました)フレームの唐草模様も、ああでもないこうでもないと何パターンも検証した結果、シンプルなモチーフに落ち着きました。針も装飾性のあるものを合わせて、気品ある雰囲気に。華美ではないのに存在感がある、美しい逸品になりました。

MOEが特にこだわったのは、チェーンとのバランス。キラキラとした細やかな輝きがジュエリーのように、シンプルな装いを彩ります。重くなりがちな冬の装いにも好相性です。

ねじった面が光を受けて、繊細な輝きを放つチェーン。上品なきらめきが魅力です。

もうひとつのポイントは、その軽さ。チェーンを含めて約30gに抑えているので、見た目以上に重さを感じない仕上がりに。ストレスのない着け心地になっています。

3Dの画面を見ながらやり取りしている時は、ゴールに向かっているのか不安だったというMOEも、「想像以上の仕上がりです!!」と最後は納得の笑顔でした。ミリ単位の細かい修正を繰り返し、何十通ものメールのやりとりを重ねて、ようやくたどり着いた先に待っていたのは想像以上の美しいゴール。何度も根気強く修正に対応してくださった高山さんにも、心から感謝します。

冬の装いをキラリと彩る、清らかな懐中時計。時計を身に付ける習慣のない方も、アクセサリー感覚でどうぞ。時間を見る仕草も美しい、特別なアイテムです。

小さな文字盤に閉じ込めた、ロマンチックな冬の夜。

続いては、金沢の時計工房さんと作った2種類の時計。「冬の夜」をイメージした素敵なデザインは、どちらも「溜塗(ためぬり)」という日本画の技法で表現されています。

金沢の時計工房でお世話になっているのは、アートディレクターであり、日本画家としても活躍する牛島孝さん。いつも卓越した技術と美意識で、素晴らしい時計を生み出してくださる方です。

文字盤の着彩、インデックスの刻印、針やフレームの取り付け、ベルトの加工など、一貫して手掛ける工房。その仕上がりを左右するのが、牛島さんのディレクション。

中でも「溜塗」の時計は、絵の具を含ませた筆で描くグラデーションが美しく、「見惚れるシリーズ」としてさまざまなバリエーションが誕生。ただの色ではなく、奥行きや濃淡が描き出す神秘的な彩りは、小さな文字盤に色々な世界を見せてくれます。

今回はその見惚れるシリーズに、初めてのデザインが登場。溜塗で描いた夜空に、月と星を浮かべました。

月や星の明かりにほんのり照らされた夜空の風景は、まるで絵本の1ページのよう。手で一文字ずつ刻むインデックスの数字も、優しいぬくもりを感じさせます。針もデコラティブなデザインにして、全体をロマンチックに仕上げました。

今までの神秘的なイメージとはまた違って、ファンタジーのような世界観が魅力。自分だけの物語を紡ぎたくなるような、そんな雰囲気があります。

空の空色に合わせた本革のベルトは、起毛感のあるヌバック仕上げ。ちょっとぬくもりのある、冬っぽい表情が特徴です。ニットやコートの袖から、ちらりと見えた時も素敵。オールドブルーというニュアンスのある色味もおしゃれです。

文字盤が小さくベルトも細いので、着け心地も軽やか。あまり腕時計を着ける習慣のない人も、違和感なく着けられます。ベルトは着け外しも可能です。

やわらかな夜の景色は、時間を見るたびふっと気持ちが穏やかになるような優しい雰囲気。

もう一点は、スクエアな文字盤が特徴。こちらは北欧の夜の湖を思わせる、神秘的な雰囲気が魅力です。

以前丸い文字盤にこの色を乗せたバージョンを作ったのですが、今回は広いスクエアな文字盤に描くことで、よりグラデーションの美しさを楽しめるようになりました。濃淡の違いが大きく出るので、まさに「世界でひとつだけ」の存在。自分だけの北欧の夜の湖を持つことができます。

溜塗は一筆で仕上げるため、やりなおしのきかない作業。スクエアは面積が広い分、着彩の際の緊張感もより高まります。

自然なグラデーションが描き出す、北欧の夜の湖の色。深く澄んだ湖の色を表現するために、絵の具の色味を何度も調整してから臨みます。

美しい湖の色を引き立てるのは、シックなブラウンの本革ベルト。バングルのような幅広のベルトは、アクセサリー要らずで映える手もとを作ってくれます。

北欧の静かな森の奥にある、美しい水をたたえた湖。冬の冴え冴えとした空気に似合う凛としたたたずまいで、冬の手もとを彩ってください。

今回、ご紹介した3点の時計は冬シーズンから使い始めることでひときわ楽しめる逸品たち。今年1年間がんばった自分へのご褒美時計にぴったりです。是非、あなたに相応しいものを選んでみてくださいね。

滋賀の時計工房と作った  可憐な仕上がりの懐中時計〈シャイニーシルバー〉

金沢の時計職人が手掛けた 月と星々に見惚れる腕時計〈オールドブルー〉

1本 ¥20,500 ( +10% ¥22,550 )

金沢の時計職人が手掛けた 北欧の夜の湖に見惚れる腕時計〈ブラウン〉

1本 ¥26,000 ( +10% ¥28,600 )

日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。

プロジェクトリーダー 山猫

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