長田の職人さんと、ポストマンシューズに挑戦

こんにちは、日本職人プロジェクトのリーダー山猫です。

誰かの物語(story)に寄り添い、ここにしかないプロダクトを生み出す日本職人プロジェクト。何気ない会話からこぼれた物語をすくい取り、そこに秘められた想いや願いをカタチにしています。

今回は「冬夜(とうや)~Midnight thinking~」をシーズンテーマに、この冬に向けたスペシャルなアイテムをご用意しました。一年の終わり、自分へのご褒美に、次の季節に向けた準備に、じっくりと自分の「好き」と向き合う時間を楽しんでください。

今回ご紹介するのは、1年365日、足もとをご機嫌にするポストマンシューズ。神戸・長田の靴メーカーさんと二人三脚で作りました。

「待ってました、いつか作りたかったんです」

フェリシモと同じ神戸にある長田の街は、昔からケミカルシューズの製造で知られています。その街で45年にわたって靴づくりを手がける靴メーカーの社長である岡 実さんと知り合ったのは、もう23年ほど前。当時は面識はあるものの、挨拶をするくらいで、一緒にモノづくりをしたことはありませんでした。

それが10年ほど前、日本製の本革靴を作ることになり、岡さんにお声かけしたところ、「今はなかなか山猫さんが思うクオリティーの靴づくりができる工場とのネットワークがないので……」と、いったんはお断りされてしまいました。そしてまた数年後……、「山猫さん、当社で日本製の本革靴を作る準備ができました!」とお返事をいただき、ついに「長田の本革靴」プロジェクトがスタート。2014年のことでした。

数年前の会話を忘れず、日本製の本革靴を作る体制を整えてくださった岡さん。スーツをパリっと着こなす、素敵な紳士です

そこから岡さんと二人三脚で、履きやすい木型を製作するところから一緒にやってきました。最初はなかなか基本の木型が理想の履き心地にならず……。めげずに1年かけて、今の幅広甲高さんの方でも履きやすい木型が誕生しました。苦労のかいあって、岡さんと作った靴は、革靴とは思えないほどの履き心地で大ヒット。そこから、「長田の本革靴」シリーズとして、たくさんの名品を生み出して来ました。最高の一足のために妥協せず、何度も試行錯誤に付き合ってくださる、とても大切なパートナーです。

昔からケミカルシューズの製造で知られている長田。山猫たちも、岡さんと一緒に工房に行くことも。
長田で靴以外に有名なのは鉄人28号の巨大像。山猫は工房に行くときに少し早めについて眺めます。
長田の靴づくりは分業制。たくさんの職人さんを取りまとめるのも岡さんの仕事。隣は靴工房の社長で職人の前城勝さん。お二人のタッグで数々の 靴が誕生しました

そんな岡さんに、新商品「ポストマンシューズ」を作りたいんです、とご相談したのがこの企画の始まり。ポストマンシューズは、郵便配達員のための歩きやすく丈夫な靴が名前の由来といわれています。そこに、日常のファッションに合うエッセンスを加えて、新しいポストマンシューズを作れないか、と考えたのです。その話をすると、なんと岡さんから、「待ってました。ポストマンシューズ、いつか作りたいと思っていたんです」という頼もしい言葉が返ってきました。

おじさんぽかったり、普通すぎたり……

ポストマンシューズはしっかりした革素材で、クッション性があり履きやすいのが特徴。そこはしっかり活かしつつ、日常でカッコよくおしゃれに履けるように……と考えたのですが、これが意外と大変でした。おじさんぽくなってしまったり、普通すぎたりと、なかなかしっくりくるものになりません。

シンプルなだけに、少しのことで印象が大きく変わってしまう。だから、デザインのさじ加減がとても難しいんです。プロジェクトメンバーだけでなく、フェリシモの女性スタッフなど色々な人に意見をもらいながら、何度も試作を繰り返しました。
岡さんは靴工房の前城さんと何度も打ち合わせを重ね、日本職人プロジェクトメンバーからのリクエストをひとつずつ丁寧に、サンプルに反映してくださいました。頭の中で完成していても、実際に材料をそろえて作ろうとすると何かしらの問題が……。そんなことを何度も繰り返してサンプルが完成します。

職人の前城さんが作る原型サンプルのおかげで今回も無事に完成。実際に生産することを考慮しながらなので、本当にすごいです!
前城さんは工房の陣頭指揮をとりながら、自身もすべての作業ができる方。だからこそ、細やかに行き届いた靴が生まれます。
日本職人プロジェクトメンバーも、何度も工房を見学させていただきました。専門の機械を熟練の手で操る姿は圧巻

底付け作業もひとつずつ手作業で。熟練の職人さんが丁寧に、でも手早く仕上げていきます

岡さんを通じて何度も職人さんに企画サンプルを作っていただき、試作7回目、ついにみんなが「これだ!」と思う一足が完成! 一見シンプルなようで、実は素敵に見える要素をたくさん盛り込んだ、新しいポストマンシューズが誕生しました。

何気ないのにおしゃれに見えるパーフェクトなバランスは、試行錯誤のたまもの!

おしゃれに履ける、新しいポストマンシューズ

丸みのあるシンプルなプレーントゥは、季節を問わず、流行に左右されず、そして年齢にも関わりなく履けるのが魅力。ほのかに光沢のある上質の革を使うことで、質実剛健すぎない、おしゃれ感をプラスしました。きれいめのスタイリングに合わせて上品に、ミリタリージャケットやデニムに合わせてカジュアルにも似合います。

ピカッと光沢のある革で洒落っ気をプラス。どこかクラシカルな品の良さもただよいます

本革のかっちり端正なフォルムながら、きゅうくつさや指先の締め付け感はありません。甲高幅広の足もすっぽり包み込み、スニーカーのような履き心地です。この革靴とは思えない履き心地は、長田の職人さんの真骨頂。足を入れた瞬間、「あれ?本当に革靴?」と思うほど、気持ちよくフィットしてくれます。

やわらかめの革だから締め付け感もなく、履き心地も快適。革靴が苦手な人も、これは履けます!

靴底は、ポストマンシューズならではのグリップのきくラバーソール。クッション性もあるので、一日中走り回っても疲れにくく快適です。ほどよい厚みで、パンツでもスカートでもバランスよく履きこなせますよ。

グリップがきいて滑りにくいラバーソールを採用。少々足もとが悪い日も、ご機嫌に歩けます

一足あれば、今日も未来も、ずっとご機嫌

光沢のある革の質感、すっきりと細身のフォルム、バランスの良いソールの厚みなど、何度も調整を重ねた究極のポストマンシューズ。なかなかいい形にならず一時はどうなることかと思いましたが、岡さんや職人さんが諦めずにトライし続けてくださったおかげで、本当に素敵な仕上がりになりました。

ちょっぴり裏話としては、メンバーで一番仕上がりにこだわったのはNISHIYAN。ポストマンシューズのデザイン資料をたくさん用意してくれたり、革選びもすべてさわって確認したり、ソールのアウターチップカラーの色まで細かく指定してくれて、全体のクオリティーを高めてくれました。NISHIYANが何かリクエストするたびに、岡さんが苦笑いしながら「あ、、やってみますね」とおっしゃっていたのが印象的でした。

ポストマンシューズの良いところは残しつつ、あれこれ試して理想の靴を追求したこの一足。質が良くておしゃれな靴が一足あれば、毎日をご機嫌に過ごせます。どんな日でも、足もとを見るたび気分がぐぐっと上がりますよ。革靴とは思えないやわらかな履き心地も、ぜひ体験して、びっくりしてください。

岡さんとともに、日本職人プロジェクトシリーズの靴をずっと支えてくれている前城さんご夫妻。最高のポストマンシューズ!今回もありがとうございました!

次回は、金沢の時計工房と作った「見惚れる時計」シリーズの最新作!WEB限定のスペシャルアイテムをご紹介します。お楽しみに!

靴デザイナーと作った 職人本革のポストマンシューズ〈ブラックスピネル〉[本革 靴:日本製]

¥19,580(税込み)

※日本職人プロジェクト「Stories〈ストーリーズ〉」の商品は、ご注文いただいてからひとつずつ仕立ててお届けします。
※インターネットでのお申し込み締め切り:2021年12月15日(水)23:59まで
※商品お届け時期:2021年11月下旬~12月下旬までに随時

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