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~ その③ サンマ隊 女子高生の勇気~ 【3/10】

haco.スタッフの岩手県ボランティアレポート第3回。
みんなの行動を変えた、女子高校生の姿。

バスは津波で破壊された街の中を走り続けて、陸前高田市気仙町の上長部という集落に到着しました。ここの被害もかなり甚大なものでしたが何より驚いたのは海からの距離です。
海岸線から1km~2kmは離れているのに加えて、この集落は緩やかに上り坂になっています。なのに、かなり奥のほうまで(=かなりの高さまで)津波が到達していたのです。リアス式海岸や谷のような形状の場所に津波が入ると高さが急激に上がると聞いたことがありますが、実際にその山の中腹あたりの場所に立ってみれば「さすがにここまでは来ないだろう」と思って当たり前です。しかし、実際に津波はその場所をはるかに超える高さまで押し寄せたのです。大きな水産保冷倉庫2棟を突き破って…。
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山の中腹まで津波の痕跡が残る長部地区

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大破した保冷倉庫

バスが到着後、まず総勢120~150名のサンマ隊メンバーに対して、10人ほどの班長が段取りよく班分けをして、道具類の準備などをしてくれた後に各班が持ち場に移動、回収作業を開始します。
瓦礫の中でする作業というのは本当に危険で、そこかしこに釘がむき出しになった材木やガラスの破片が散乱しています。(※サンマ隊の装備としては、ヘルメット、マスク、カッパ、ゴム手袋、長靴、鉄板入りインソールが必要です)
地元の女子高校生が……
私の班長は自分よりも若い人でしたが、テキパキしていてリーダーシップもあり非常に頼りになる感じの男性でした。その班のメンバーは老若男女入り混じっています。中には地元の高校生なのか、学校のジャージを来た女の子2人、男の子2人も同じ班になっていました。
班のメンバー10人に対して魚を拾うためのトングが6本程度しかないので、男性がそれを使ってサンマやシャケを拾い、女性にはゴミ袋の口をひろげてもらって、そこへ魚を放りこんでいくような手順で作業を始めました。
マスクなど意味をなさないほどの強烈な悪臭、中にはうじ虫が大量にわいているものもあります。拾っても拾っても大量に散らばっているサンマやシャケはどこからでも出現してきます。
作業を始めてから間もない頃、同じチームにいた高校生の男の子がうじ虫のわいたシャケを見て、悲鳴をあげたりジタバタしていました。その気持ちはよく分かります。僕自身も何回も吐きそうになりながらトングで魚をはさんでましたし、正直弱気にもなっていました。
ところが、後ろでゴミ袋を持っていてくれた女子高生がトングも使わずに手掴みで魚を拾い始めたのです。ゴム手袋をしているものの、腐ってドロドロになっている魚を手掴みするには相当の勇気が必要です。しかしその女の子は服が汚れるのも気にせずにただ黙々と、一生懸命に魚を拾っていきます。
これを見た周りのメンバーが一人、また一人と手掴みで魚を触り始めます。気がつけば僕自身もトングを置いて手で拾うようになっていました。(その方が圧倒的に作業が早くなるんです。)
誰一人、きっと平気ではないです。でも、その女の子や周りのメンバーががんばっている姿があったからこそ、自分自身も作業をがんばれたのだと思います。
きっとそれぞれの胸の中には、被災地の景色を見た時に湧き上がった感情や決意が熱く燃えていて、そういうものがチーム全体、ボランティア全体の士気を保っているように見えました。
(次回に続く……)
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