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みんなでプロジェクトを応援!「ピース・インド」プロジェクト(認定NPO法人 ACE)

 はじめまして。認定NPO法人ACE(エース)で国際協力事業インド担当をしている成田です。

<プロジェクトの背景:コットンを通じた児童労働と私たちとのつながり>
 日本の私たちが身近に使っている衣服やハンカチなどのコットン製品は、どこで、どんな人によって作られているかご存じでしょうか?

 コットンの生産量が世界で2番目に多いインドでは、そのコットン畑で多くの子どもたちが義務教育さえ受けられず、長時間、低賃金で働いています。また畑で使われる農薬の影響によって、皮膚病などの健康被害に悩まされる子どもたちも多くいます。インド産コットンの約8割は中国へ輸出され、その後加工されて衣料品などとして日本の私たちによって消費されていることを考えると、コットンを通じて、私たちの生活がインドで働く子どもたちと関係していることが分かります。

「コットン畑で炎天下ずっと働いたり、農薬で病気になることがあるので辛い」
「本当は学校で勉強がしたい」 

 そのような多くの子どもたちの声を聞き、ACEは、インドのコットン生産地で児童労働が深刻で教育の普及が遅れているインド南部のアンドラ・プラデシュ州ナガルドーディ村で、2010年から2014年まで4年間の計画で支援するプロジェクトを開始しました。

<支援する村の様子>

DSC06500.jpgコットン畑で働く女の子_CIMG2237.jpg

(コットン畑で働く村の女の子)

ナガルドーディ村は、人口約2,000人、そのうち義務教育年齢(6~14歳)の子どもは約550人いますが、活動開始時の調査では、そのうち約160人(約3割)の子ども、特に女の子が労働につき、コットン栽培などで働くために学校に通うことができませんでした。

 住民のほとんどが農家で、土地なし農民や低カースト層など社会的経済的に立場の弱い貧困家庭が多くいます。働く子どもの親の多くが、安定した仕事がなく、また子どもの頃学校に行かなかったために読み書きができず、教育の重要性を十分理解することができていません。また女の子への差別や、学齢期に結婚させられてしまう児童婚や結婚持参金といった習慣などによって、女の子が教育を十分受けられず働いていました。子どもが教育を受けられなければ、将来よりよい仕事につき生活を向上させることが困難となり、貧困の悪循環に陥ってしまいます。

 またこのような農村部では、児童労働対策や教育普及、貧困対策といった行政による政策が十分行き届いていないのが現状です。

<主な活動内容と期待する効果>
 上記のような村の課題を改善するため、本プロジェクトでは、以下の活動を行っています。活動期間最後の4年目を迎える村では、学校に通う子どもの数は約100名増え、児童労働もなくなってきました。しかしまだ一時的に働かなければならないために学校を中途退学してしまう子どももいます。そのため、4年目ではさらに活動を強化して、プロジェクトが終了した後も、子どもが再び労働に戻ることなく、継続的に教育を受けられるようになって、住民自身が児童労働をなくしていけるよう取りくみます。

1. 子どもの就学を呼びかける啓発活動と住民の能力強化
 住民へのリーフレットの配布、村の集会所等でのポスターの掲示、農民や親を対象にした集会や演劇などの文化プログラムの開催を通じて、教育の重要性や子どもの権利について村全体での意識をさらに高める啓発活動を行います。またプロジェクトで結成された子ども・女の子・住民グループ等の訓練を行って、子どもたちが抱える課題の改善や、子どもの就学の徹底などを住民が自立的にできるよう能力強化を図ります。

2. 「ブリッジスクール」の運営
 働いていたために学校へ一度も通えなかった、または中途退学してしまった子どもを「ブリッジスクール」で受け入れ、公立学校へ編入できるよう支援します。経済的に貧しい家庭の教育への負担を少しでも減らすために、給食や制服、教科書や学用品などを無償で支給します。これらの活動によって、働いていた子どもが労働をやめ、学齢期のすべての子どもが、教育を受けられるようになります。

ブリッジスクールで学ぶ子どもたち_CIMG9981.jpg(ブリッジスクールで学ぶ子どもたち)

3. 女の子の職業訓練による自立支援
 教育を十分受けられなかった14~17歳の女の子を対象に、刺繍・縫製の職業訓練センターを運営し、基礎教育と職業技術訓練を行います。訓練卒業後にはミシンを支給し、仕立て屋のビジネス訓練も行います。これにより、女の子が生活に必要な基礎教育や技術を身につけ、将来自立して生活できるよう力をつけます。またコットン栽培などでの過酷で低賃金の労働をしなくても済み、結婚した後も男性や親などに頼ることなく女性でも経済的に自立できるようになります。

職業訓練を受ける女の子たち_CIMG9698.jpg(職業訓練を受ける女性たち)

職業訓練を受けて仕立て屋になった女の子と親_CIMG0204.jpg(職業訓練を受けて仕立て屋になった女性と親)

4. 貧困家庭の母親の収入向上
 経済的に貧しい家庭の母親を対象に、鶏や羊を支給して畜産ビジネスの訓練を行ったり、女性自助グループによる預金や小規模融資などの互助制度について訓練したり、学用品店や布・生地屋のショップ運営などの支援を行い、家計改善と収入向上を図ります。これにより、家庭が困窮した貧困状態に陥ることを防ぎ、親が収入向上できるとともに、家計管理を改善して子どもの教育を支えられるようになります。

畜産ビジネスで収入向上に取りくむ家庭_CIMG8948.jpg(畜産ビジネスで収入向上に取り組む家庭)

 子どもの教育の機会を奪い、健康的な発達を妨げる児童労働は、コットンを通じて、私たちの暮らしとつながっています。そして「ピース・インド」プロジェクトを応援していただくことは、児童労働のないコットンの消費やビジネスを変えていくことにも大きく貢献します。

 支援しているナガルドーディ村では、「児童労働のない村にしたい!」「村をもっと良くしたい!」という子どもやおとなたちの声も聞くことができるようになり、住民が自発的に村の改善に取りくむようになってきました。児童労働がなくなるまであと少しです。今後さらに活動を強化して、子どもの声を大切にしながら、住民たちで児童労働のない子どもにやさしい村づくりをしていけるよう、活動を支えてください。応援をどうぞよろしくお願いいたします。

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