「神戸は海と山に囲まれた美しい街です。ふと目をやると心が癒やされる、六甲山の山並みやきらめく海の色をインクで表現したことがスタートでした」まずは、何度も調色を重ねて完成した「六甲グリーン」のインクを店頭に置いたところ、地元の人や観光客から「これはおもしろい!」と好評だったのだそうです。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

「Kobe INK物語」ファーストインクは、神戸の街から見える六甲山の山並みの色「六甲グリーン」今でも不動の人気を誇っているそう。

そこで、次は広がる青空を映したメリケン波止場の海の色「波止場ブルー」を発売。「2009年に神戸新聞で紹介されたときは、記事を見たお客さまがわざわざ店に足を運んでくださいました。地元の人が応援してくれる、これは続けるしかない、と思いましたね」。

神戸育ちの竹内さん。愛する神戸の街のためにという一心で、それから次々と神戸の街をインクで表現していったそうです。さらには、神戸の地元企業から「ウチの色を作ってほしい」と依頼が入るように。地元企業の応援もあり、「神戸の街全体を、色を使って盛り上げたい」という思いでインクを作り続けて16年。今では日本の各都市で同じような取り組みが始まり、各地の街おこしにもつながっています。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

竹内室長が一色一色、調色を重ねて生み出してきた「Kobe INK物語」は、2023年9月
現在132色。ボトルが細長いと倒れやすく、何度も倒した苦い経験から、倒れにくい形にしました。

「みなさんは、モノを見るときにどこを見ますか? 私は、まず色を見ます。子どものころからそうでした。たとえば、木を見るときは木の形ではなく、葉の濃い緑色に目がいってしまう。色が好きな人は、色からモノを見るんですね」。だから、街の風景を見るとすぐ色に変えてしまう、と笑います。それぞれの街のインクの色を作るときは、その場所を何度も訪れ、街のすみずみまで歩くことを心掛けているそうです。

今回のコラボレーションが決まってからも、神戸チョコレートミュージアムに何度も足を運んだという竹内さん。どのような思いから、この3色が生まれたのでしょうか。「とにかく、おいしい色にしたかったんです(笑)。今まで「おいしい」というコンセプトで作ったことがなかったので、とても新鮮でした。若い女性スタッフにもプロジェクトに入ってもらって、おいしそうな色になるよう何度も何度も調色を試しました」。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

ナガサワ文具センターのスタッフさんが各チョコレート色で描いたイラスト

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

はじめフェリシモのプランナーは1色を開発する想定していましたが、「3色同時に発売しませんか」と提案してくださったのが竹内さんでした。3色あれば、よりチョコレートのおいしさが表現できると思ったそう。特にベリーはぜひ作りたかったといいます。「手帳でも手紙でもいい、ぜひ、自由に使ってほしいですね。単色で見ても落ち着いた色で使いやすいですし、組み合わせて使うのもおすすめです。そう使っていいように調色していますから」。

最後に、インクの魅力について伺いました。「インクのいちばんの魅力は、いろいろな道具が選べることにあります。万年筆やガラスペン、カリグラフィーなど、道具を変えれば表現の範囲がどんどん広がって楽しいですよ」。一時はスマートフォンの普及により、手書き文化がなくなるのでは、という危機感があったそうです。「デジタル全盛の時代ですが、手書きのものはずっと残していけます。また、手書きは上手い下手でなく、その人の性格が表れます。味わい深い文字と色を組み合わせれば無限のパターンが生まれますし、万年筆など愛用品を長く使う楽しみもある。だから、手書き文化が無くなることはないと思っています」。

豊かな手書き文化を未来につなぐためにも、インクはとても重要なツール。これからも、インクを通じて手書きの楽しさを伝えていきたい、という竹内さん。まずは、おいしそうな3つのチョコレート色のインクで、ペンを自由に走らせて書く楽しさにふれてみませんか。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

★商品プランナーからのメッセージ★

「インク沼」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。その名のとおり「インクの魅力にどっぷりつかってしまう状態のこと」を指すのですが、竹内さんはじめナガサワ文具センターのみなさんは、その「インク沼ブーム」の礎を築いてこられた方々なんです。日本各地の文房具店や雑貨屋さん、個人の作家さんまでもが、今やオリジナルのインクを開発し素敵なパッケージで発売している、ときめきあふれる時代。ベーシックな色のインクだけではなくて、「自分がイメージする色、好きな色のインクをつくっていいんだ!」という新しい考え方は「Kobe INK物語」が築き上げた歴史だと思います。

個人的にもインクやガラスペンが好きなのですが、全国の文具好きさんが関西旅行の途中に立ち寄ってお土産に購入するくらい(!)有名な「Kobe INK物語」と、「フェリシモ チョコレート ミュージアム」のコラボレーションを実現できたことは、すばらしい経験でした。3色のインクはどの色も本当においしそうでやさしい気持ちになる不思議な魅力があります。自分のための「特別なチョコレート」を、ぜひおうちに迎えてほしいなと思います。

そして、今回「おいしそうなチョコレート色のインク」への思いを、手書きのお手紙に託していただけませんか?という無茶ぶりのお願いにもかかわらず、何枚も何枚も納得のいく1枚のために書き綴ってくださいました。チョコレートインクで書いた、そのうちの1枚がこちら。とても味わい深いです(色も手書き文字も!)

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

自分の思いを手書きで綴る。書き損じも、伝えたい思いもあふれ出すような書面に、何度も推敲を重ねた軌跡が。「Kobe INK物語」に注がれる情熱の源を感じ、思わず写真に収めました。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

愛用の革製の筆入れは、竹内室長が開発したナガサワ文具センターオリジナル。 3本用はスーツのポケットに収まり、7本用はくるくると巻いて机の上に立てれば筆立てに。やわらかな牛革キップレザーの筆入れは、万年筆やペン愛好者にファンが多い人気商品だそう。

神戸の街から、手書き文化を未来へつなぎたい。

筆入れには、愛用の文房具がずらり。(竹内室長の所有する万年筆コレクションの一部です)1本1本ていねいにお話しくださる魅了トークで、すべてほしくなりました(笑)文房具って本当に奥深いです。

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