[2025/06.24]

ぼくの、シンプルレシピ

#34. きんぴらごぼう

大人になると、好きなものが増えていく。

「きんぴらごぼう」という名前のかわいさには、はじめて耳にしたときから気がついていた。

でも、なんだか硬くて、
噛んでいるうちに木の枝を食べているような
不思議な感覚になって苦手だった。

だからもちろん、
自分で作ることはなかった。

あるとき『深夜食堂』で、
きんぴらごぼうをテーマにしたエピソードがあった。

きんぴらごぼうを目の前にした登場人物が
「やっぱり、きんぴらは細切りじゃないと」と、ささがきにしたごぼうでは物足りないと言っていた。

妙に説得力のあるセリフに影響されて、
めったに買わないごぼうを手に入れ
細切りにして炒めてみた。

野菜を千切りにすること、
料理を作ること、
『深夜食堂』――

いつからか好きなものがひとつずつ増えていって、ぼくの日常も人生も豊かになっている気がした。

名前だけが好きだった「きんぴらごぼう」。
今では、その木の枝みたいな食感も好きになった。

HOW TO COOK

野菜を下ごしらえします

春から出まわる新ごぼうを使っているので、皮はむかずにたわしや丸めたアルミホイルでこすりながらよく洗います。にんじんは皮をむいた状態でこのくらいの量を使用
ごぼう、にんじんともに斜めに薄切りしてから、細切りにしていきます。千切りをするのが大好きなので、やっぱり細めになっちゃいました
ごぼうは切っただけでも、ふわ~と香りが広がります。かなり癒やされます

ごま油とあえます

炒めるときに油が全体にまわるか不安なので、先にボウルの中であえてしまいます

調味料を用意します

調味料は砂糖(きび砂糖を使っています)、しょうゆ、みりんを同量ずつ。おぼえやすい!しょうゆとみりんは合わせておきます

フライパンで炒めます

すでにごま油であえているので、フライパンには油を引かずに炒めていきます。ピリ辛にしたい場合は、輪切りにした赤唐辛子を一緒に炒めてください

調味します

火が通ってごぼうがしんなりしてきたら調味料を加えます
調味料の水分がなくなってくるまで、焦げないようにやさしく、からめるイメージで混ぜます

完成!

仕上げに白ごまを振ったらいい感じに

【材料】
◎ごぼう(新ごぼう) 25cmくらい
◎にんじん 1/3本くらい

【調味料】

・ごま油 大さじ1
・砂糖 小さじ2
・みりん 小さじ2
・しょうゆ 小さじ2
・白ごま 適量

STAFF
photo / text : けんち(このごろ編集部)
illustration:lilyco