こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
「UNICOLART(以下、ユニカラート)」は、「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」(※1)のプロジェクトの一つで、チャレンジド(※2)アートの作品にフェリシモのプランナーや、デザイナーがよりイメージをふくらませて、オリジナルアイテムを企画しています。
すべての商品に「ユニカラート基金」がついていて、チャレンジドが通う絵画教室やアート活動を支援。描く人、作る人、使う人がアートの力でつながり続けるプロジェクトを目指しています。
ちなみに、「ユニカラート」とはunique・color・artの3つの単語を組み合わせた造語です。
さらに、本年2023年には、独自性の高い取り組みが評価されて、2023年「ソーシャルプロダクツアワード」優秀賞を受賞しました。
また、これまで機能性の高い雑貨アイテムを中心に展開してきましたが、2023年夏にはコンセプトをリニューアルし、チャレンジドの自由な感性をよりダイレクトに感じられるアイテムがリリースされます。
「ユニカラート」にかける思いについて、メンバーの明里知恵さんと景山文乃さんにお話を聞きました。
※1:「C.C.P」は、障がいのある人たちの能力や個性、商品作りを通して社会に活かすプロジェクトです。
※2:フェリシモでは、障がいのある人たちのことを「チャレンジド」とお呼びしています。「チャレンジド」とは、障がいのある方を表すポジティブな呼称。挑戦という使命や課題、挑戦するチャンスや資格を与えられた人という「チャレンジド」が語源。障害を持つゆえに体験する様々なことを、自分自身や社会のために生かして行こう、という前向きな意味が込められている名称です。
話し手:明里知恵さん、景山文乃さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、「ユニカラート」とはどんなブランドですか?
景山: 2015年に始まった「C.C.P」のプロジェクトの一つで、障がいのある作家さんのマネジメントを手がけている「エイブルアート・カンパニー」さんに作品を提供していただき、雑貨などのアイテムを作っています。アイテムを持っているだけでワクワクしたり、だれかに伝えたくなったりすることで、障がいとはなにかをともに考えるきっかけを広げたいという思いがあります。また、すべての商品に基金がついていることで、お買い物をするだけでこのプロジェクトに参加していただける仕組みになっています。
Q 2、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか?
明里:プロジェクトが立ち上がる前に、「C.C.P」のメンバーでチャレンジドアートを取り入れた洋服の展示会を見に行ったんです。どれもとても素敵なデザインで、みんな感動して。そのときに出会ったのが、福祉とビジネスをデザインでつなぎたいと活動をされていた「ダブディビ・デザイン」さんです。障がいのある人の表現の可能性を広げたいと、チャレンジドの作品を使った商品開発を手がけておられました。そこで、意気投合しともにアクションを起こすことで、チャレンジドアートを社会に広げていこうということで、「ユニカラート」がかたちになっていきました。
Q 3、アート作品はどのようにセレクトしているのでしょうか?
明里:「エイブルアート・カンパニー」は、いわばプロダクションです。100名以上いらっしゃる登録作家さんたちの作品から選ばせていただいて、商品を企画しています。チャレンジドの作品をもっと身近に感じていただきたいので、プランナーが作品のどこにおもしろさを感じたかを大切にしつつ、フェリシモのお客さまにとって日常に取り入れやすいものになるかどうかを大事にしています。そのアートが持っている味を最大限に生かしながらも、お客さまに毎日持っていただけるものづくりを目指しています。
景山:アートをそのまま“作品”として発信するのではなく、プランナーとデザイナーがアレンジを加えてオリジナルアイテムを開発するところが「ユニカラート」の特徴です。ほとんどの場合において、原画をつなぎあわせて連続柄にしたり、色の雰囲気を調整することも許諾していただけるので、アレンジの幅が広がります。例えば、「アートを携えて 透明窓のふんわりボンディングポーチの会」という商品では、商品化すると色合いが濃くなりすぎてしまったため、色味を調整して落ち着きのあるトーンにしています。
Q 4、商品を企画する際に、どんなことにこだわっていますか?
景山:お客さまに作家さんのことを知ってほしいので、カタログや商品お届け時に同封する情報カードでは作家名や原画をご紹介しています。私はWeb担当として、商品の背景にあるストーリーをもっと積極的にお伝えしたいと思っています。先日、「たんぽぽの家」に伺って作家さんとお話する機会がありました。たくさん作品をご紹介してくださって、なかには「たんぽぽの家」のスタッフが贈ってくれた花をモチーフに作品を作ったのだという心温まるエピソードなんかもあって、会ってお話しなければ感じられないことがたくさんあると思いました。描いた方々の、描くことに対する純粋な意欲や、温度感みたいなものをお客さまにもっとお伝えしていきたいと思っています。
明里:たしかに、会いにいくことで、絵を描かれている方や、立体物を作られている方、それぞれのおもしろい感性に触れることができるんですよね。私も、商品を通してその空気が伝わればいいなといつも思っています。独特の色合い、力強いタッチ、綿密な線など、表現方法はさまざまですが、どれも人間らしくて素敵です。そうした作品のおもしろさを生かして、描いた方が持っている多幸感のようなものが詰まったアイテムをつくっていきたいですね。「●●さんには世界はこう見えているのか!」という発見や、思わずにんまりしちゃうほっこりした空気感を商品に乗せてお届けしたいです。
Q 5、最近のおすすめアイテムがあれば教えてください。
景山:「アートを携えて 透明窓のふんわりボンディングポーチの会」はタブレットをポーチに入れたまま操作できる便利なデザインで好評いただいております。また、すでにシリーズ第4弾となった「指先にアートをまとう ぷっくりジェル風ネイルシール」は、シリーズごとにテーマを設けていて、店舗などに出すとすぐに完売してしまう人気ぶり。
特に梅雨時に好評なのが、「雨でも気分晴れやかに 長傘も折りたたみ傘も使える傘ケースの会」です。表地は撥水機能があって、裏地はマイクロファイバー素材で水分を吸収してくれます。また、折りたたみ傘にも使えて、カバンにかけることもできるんです。あらゆるシーンでお客さまに使っていただけるよう、多機能を心がけて企画したアイテムが多いですね。
Q 6、機能的な上に、はなやかなので持っているだけでテンションが上がりそうですね。「ユニカラート」には、作家さんやお客さまからどのような声が寄せられていますか?
景山:作家さんのお声を聞く機会が多いのですが、ご自分の作品が商品化されることに対して「ワクワクするし、うれしい」と、完成した商品をご両親にプレゼントしてくださったりすることがとてもうれしく、心に残っています。また、先日、ポップアップショップにて接客をさせてもらったのですが、目をひく明るいデザインが多いので、気軽に手に取っていただけやすいのかなという印象がありました。 “アート”そのものを日常に取り入れて楽しめるアイテムは、フェリシモのブランドの中でもあまりない切り口なので、フェリシモのお客さまにもいつもとは違う感覚でお気に入りを見つけていただけるのではないかと思います。
Q 7、「ソーシャルプロダクツアワード」の受賞、おめでとうございます!どのようなところが評価につながったのでしょうか?
景山:チャレンジドの作品を使って商品を作っていることに加え、プロジェクトの仕組みに注目していただけたようです。「ユニカラート基金」で集まった基金は、障がい者アート支援団体に拠出されています。そのことで、お客さまも間接的にチャレンジドのものづくりの循環に参加できること、基金を通してアーティストを育成できること、商品に作家さんの名前や情報を記載していることなど、商品を販売するだけではない仕組みが受賞につながったのだと思います。「C.C.P」や「ユニカラート」は、福祉事業所など現場の声をお聞きしたり、作家さんに会いに行ったりしながら商品企画をしているところがやはり魅力です。
Q 8、2023年夏にリニューアルを控えているということですが、「ユニカラート」はどのように生まれ変わるのでしょうか?
明里:多くの方に手に取っていただきたくて、これまでは機能面にこだわったアイテムを作ってきましたが、「C.C.P」だけがこの素敵な作品を扱うのではなくて、フェリシモにあるいろいろなブランドやおもしろいプランナーとともに、事業部の枠を超えて社内コラボのようなかたちで商品を企画できたらと思っています。おもしろがってくれる人たちに企画してもらい、リニューアル第一弾はファッションアイテムをリリースします。
景山:アートが持つ魅力やときめきを、もっとストレートにお伝えしていけるプロジェクトにしていきたいと思っています。私は、社会福祉学科を卒業し、チャレンジドアートに興味があってフェリシモに転職しました。どのようなものがあれば、チャレンジドアートが社会に広がるのかを考えたときに、まずは彼らのつくった作品と生活者との距離を縮めていきたいと思ったんです。そういう観点からも、洋服は身につけるものなので、アート作品とお客さまの距離を近づけるには最適なアイテムだと思うんです。また、デザインについても、これまではやさしい風合いのものが多かったのですが、大胆なデザインを取り入れ、よりさまざまな感性に触れられるラインナップになっています。
Q 9、「メリーファンディング」にて応援を募っていますね。どういった内容なのでしょうか?
景山:そうなんです。「たんぽぽの家」の方々とともにギャラリーにてアート展を開催することを目標に「メリーファンディング」に挑戦中です。「たんぽぽの家」に伺い、スタッフとお話をしたときに、障がいがあることで社会に一方的に支えてもらっているようにみえるかもしれないけれど、実は社会の役に立ちたいと思っているチャレンジドはたくさんいらっしゃるのだということをお聞きして、深く共感しました。けれど、夢を語る機会すらもほぼないほど、障がいのある方たちの社会での選択肢は圧倒的に少ないんですよね。そこで、「たんぽぽの家」の利用者さんに「10年後、20年後どんなことをしていたいですか?」とお聞きしてみました。そうすると、「書のアトリエをつくりたい」「作品展を開いてみたい」などの夢が出てきて、今回は4名のチャレンジドの皆さんとともに夢を叶えようということでファンデイングに挑戦することになりました。9月末まで募集しておりますので、みなさまぜひ応援してください!
Q 10、今後の展望をお聞かせください!
景山:私は、社会福祉を学ぶなかで、私たちにとってあたりまえだと思っている生活を送れていない方がとても多いことにおどろきました。どうすればそのギャップが埋まっていくのだろうと考え続けていた時期に、たまたま、吉祥寺にある雑貨屋さんに行ったんです。そのお店は、チャレンジドのアート作品を取り入れた雑貨づくりの先駆的存在なのですが、そうとは知らずに訪れて。ものとしてのかわいさやおもしろさからすごく人気のお店なんです。お店がにぎわっているのをみて、チャレンジドの方々と社会との距離があるなかで、こんなに身近になれる方法があったのだというおどろきと、アートには人と人を媒介する力があるのだと感じました。「ユニカラート」も同じです。チャレンジドアートと誰かをつなぎ、チャレンジドのみなさんが社会とのつながりを実感していただける存在であり続けたいと思っています。
明里:障がいのある子どもを持つお母さんが、「この子の感性を知ってほしい。世界がこんなふうに見えているんだということを少しでもわかってほしい」と言うんですよね。我が子の作品が美術館に並ぶことを願っているわけではなかったんです。限られたエリアのなかで生活をしたり作品を発表していた障がいを持つ人やそのご家族が、「ユニカラート」を通してもっと広く社会とつながるきっかけが作れたらと常々思っています。企業やデザイナーなど、ビジネスの現場にいる人たちがチャレンジドの作品を知ることは、お互いにビジネスが発展するチャンスだと思うんですよね。その機会が増えれば私たちが目指す、「描く人、作る人、使う人がアートの力でつながって、だれもがボーダーなくつながる社会」に一歩近づけると思うんです。同じ志を持って活動できる人たちをたくさん巻き込みながら、より多くのお客さまにものと思いをお届けし、チャレンジドと社会との絆と強くしていきたいです。
UNICOLART
チャレンジド(障害のある)のアーティストが描く作品にアレンジを加えて、オリジナルのテキスタイルや雑貨をつくるプロジェクトです。
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