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とうほくIPPOプロジェクトレポート ― 蔵内之女組[くらうちのめぐみ](宮城県 気仙沼市) ―

女性による東北の産業復興を支援する「とうほくIPPO(いっぽ)プロジェクト」は、責任者・主体者メンバーが女性であることを条件に事業提案を公募し、審査の結果選ばれた個人・団体に支援金を支給して、被災地の産業復興のきっかけづくりにつなげることを目的としています。これまでに、第1期と第2期合計で40件の事業活動を支援しており、8月1日から第3期の募集(2013年10月末まで)を行っています。

本日は、シリーズ第3回目のレポートです。第2期の支援対象事業名「漁家の産直レストラン」の代表 三浦絹子さんを訪ねました。

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miurasan.jpg―三浦さんのお宅からは、眼下に海がよく見えますね。

 あそこに見えるのは蔵内港で、いまだに改修工事中です。この家は港よりは高台にあるのですが、津波はすぐそこまで押し寄せてきて本当に恐ろしかったです。その光景を思い出すと気がめいってしまって、あれから2年くらいは体調も悪く、気力もわきませんでした。

 

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―実際の被害もたいへんだったのでしょう。

 主人は漁師ですが、漁船も作業場も流されてしまいました。それはうちばかりではなく、この辺の被害はそれはひどいものです。高齢の人たちは、これから借金を背負ってやり直すのは無理だと、漁師をやめていく人も大勢いました。
 そんな中、うちを含め4軒の漁家が、「蔵内之女組」というなまえを名のり、力を合わせて、たった1艘残った船を使ってわかめの生産からやり直そうと立ち上がりました。
 海の仕事を再開したお父さんたちと一緒に、それぞれの奥さんたちも作業を手伝うようになりました。それが私たち女性グループ「蔵内之女組」の始まりです。

 

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―奥さんたちの力もご主人たちを勇気づけたのではないですか。

 船も道具も流されてこれまでの収入の道はすっかり絶たれてしまいました。ほややほたてが獲れるまでに3~4年はかかるので、それまでわかめだけでやっていかなければなりません。私たちも少しでも暮らしの足しになることを始めなければというのが、切実な思いでした。
 そんな時、気づいたことがありました。男の人たちのやり方を見ていると、わかめのいいところばかりを使って、茎の部分や小さく切れたものなどは、どんどん捨てているのです。もったいないなあ、というのが台所を預かる女性の正直な感想でした。
 茎は歯ごたえがあっておいしいし、切れ端も工夫次第で十分に食べられるのです。料理上手のメンバーが、わかめの茎でキムチを試作しました。これがピリっとした辛さと独特の食感で、とてもおいしいのです。小さいわかめはていねいに天日干しにして、そのまま使える便利なカットわかめになりました。

―新しい加工品がつぎつぎ誕生したのですね。

 はい、ボランティアの人たちに味見をしてもらったりしていたのですが、とても好評なので、商品としてどこかで販売したいね、とみんなで話しあっていました。
 蔵内のわかめは、味が濃くて加熱しても溶けないしっかりした歯ごたえが自慢です。お父さんたちが苦労して作ったわかめですから、無駄にしないで全部生かしたい、そんな思いも強かったです。

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―その思いを実現させるのが「産直よりみち」のお店なのですね。

 この地域では震災後、全国からたくさんのボランティアが来て懸命に力を貸してくれました。その人たちの励ましにも支えられ少しずつ元気を取り戻してきたのです。お父さんたちを助けて、現金収入になることを始めたい、という気力も徐々にわいてきました。そんな私たちに、女性による東北の産業復興をを支援する「とうほくIPPO」の存在を教えてくれたのも、地域支援を続けてくれたボランティアの人でした。
 おかげで、私たちが望んでいた、蔵内の海の幸や、地元でできる新鮮な食材を味わってもらったり、評判の加工品や地域の人たちが作った手芸品を売る場所がまもなく完成します。

 

tedukuri.jpg―完成後はどんなお店になる予定ですか。

 お店では、海草をたっぷり使ったうどんやそばを出す予定です。このあたりで昔から食べられてきた、ほやでだしをとったそばを、ぜひみなさんに味わいに来ていただきたいです。よそからのお客さんだけでなく、買い物に不便な思いをしている、地元の人たちにも喜んでもらえる場所になればと思っています。
 
―蔵内のみなさんや、支援している大勢の人たちの思いが結集して、活気のある素敵な産直施設になりそうですね。

 はい、もうすぐ「産直よりみち」の看板ができあがってくる予定です。やりたいことがたくさんあるので、まずは無事にオープンする日が待ち遠しいですね。

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第2回のレポートはいかがでしたでしょうか。写真の左端の方は「とうほくIPPOプロジェクト」と三浦さんをつないでくださった里見さん、さまざまな地元に根差した支援活動していらっしゃるそうです。里見さんのような方と出会いやご協力もあり、全国のお客さまと東北のつながりが広がっています。

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お店は「産直よりみち」という屋号になったのですね。お店で出されるお料理の試作も進んでいらっしゃるようです。(写真:下) 蔵内之女組、三浦さんのお店のオープン情報がまたお届けできればと思います。

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「とうほくIPPOプロジェクト」は、「東日本大震災 毎月100円義援金(基金)」「東日本大震災 もっとずっときっと基金」付き商品の数々でお預かりした資金を拠出し、支援を行っています。フェリシモでは、みなさまとともに息の長い支援を続けていきたいと考えています。(取材協力:シュープレス)

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