フェリシモCompany

地球村の基金からの緊急支援「モザンビーク、サイクロンに被災した小規模農民に対する緊急種子支援」(認定NPO法人日本国際ボランティアセンター)

史上最大規模のサイクロンに襲われたモザンビークの農民たちに対して、「フェリシモ 地球村の基金」による緊急支援を実施いたします。

JVC_2019_1.jpg
まだ水が引かない畑の上を、受け取った援助物資を持って家に戻る人々
●最大規模のサイクロンに襲われたモザンビーク

はじめまして。日本国際ボランティアセンター(以下、JVC)の渡辺直子です。

今年3月、南半球で史上最大規模といわれるサイクロン「イダイ」が南部アフリカを襲いました。モザンビーク、ジンバブエ、マラウィの3ヵ国では、暴風と洪水、鉄砲水によって死者約1,000人、20万人が避難するという大きな被害がもたらされ、日本でも暴風によって破壊された家々や、洪水に飲み込まれた町の様子などが報道されました。

とりわけモザンビークの被害は大きく、国連によれば約24万戸が全壊・半壊・浸水の被害を受け、約180万人が支援を必要としています。

JVC_2019_2.jpg
家を流され、避難生活を送る人々
●作物や畑が流され、長期的な食料不足が懸念されます

サイクロンが上陸した中部のソファラ州では、現地の支援団体ADRA Mozambiqueが被災状況の調査を行いました。その報告によれば、州内で最も大きな被害を受けた地域のひとつニャマタンダ郡では、約5万3千世帯(約27万人)が被災、死者・行方不明166人、約11万ヘクタール(東京都の面積の約半分)もの農地がダメージを受けました。

収穫期の直前におきた今回の災害により、収穫間近の作物が台無しになったばかりでなく、次の耕作期に向けた種子もなくなってしまいました。

ニャマタンダ郡は農業を主な産業としており、農地の95%は小規模・家族経営の農家が耕しています。そうした農家にとって、当面の食料が不足するだけでなく、次の耕作期への影響、そして長期にわたる食料不足が心配されています。

JVC_2019_3.jpg
畑も家も、すべて流されてしまった土地
●農業を再開するために必要な種子の支援を行います

現地では国連機関や援助団体によって、避難所などを中心に、食料や生活物資、保健・医療サービスなどの支援が行われています。

洪水は既に引いており、人々はこれから自分たちの土地に戻ることになりますが、生活再建のためには、何よりもまず農業を再開しなくてはなりません。そのためには種子が必要ですが、種が採取できる作物も、これまで蓄えておいた種も、すべて流されてしまっているのです。

ADRA Mozambique(アドラ・モザンビーク)のレポートでは、ニャマタンダ郡の農家が耕作を再開するには合計1,000トンのメイズや野菜等の種子を必要としています。しかし、食料や医療面での緊急支援に比べて、種子に対する国際的な支援の動きは十分ではありません。

私たちは、現地で必要とされる量をすべて支援することはできませんが、被災農家の中でも最も困難を抱える世帯を対象に、種子の支援を行います。

JVC_2019_4.jpg
畑が冠水し、枯れてしまった作物
●「外から持ち込まれる種」ではなく、その土地に合った在来品種を支援します

農家は長年の経験や品種改良によって、その土地に最も合う作物の種子を作り、守ってきました。

しかし、災害などで緊急かつ大量の種子の支援を必要とした場合は、往々にして国外から種子が持ち込まれます。その土地に合わないもの、あるいは作物の実から次の耕作シーズンに向けた種子を採取することができない改良種子、最悪の場合は遺伝子組み換えの種子が入ってくることさえあります。

このような種子が大量に入ってくると、自分で種を採取することができず、種苗会社から種を購入しなくてはいけなくなるなど、その土地の農業のあり方自体が変わってしまいます。家族経営を中心にした農家にとって、これは大きな脅威になります。

私たちはこれまでモザンビークで、国際的な農業支援のあり方について調査や提言活動を行ってきました。その経験と現地でのネットワークを生かして、ADRA Mozambiqueや現地の農民団体と協力しながら、農家が自分たちで種を採取することができる在来品種の種子などの支援を行い、農業のあり方が変わってしまうことを少しでも防ぎたいと思います。

〈支援内容〉

1.対象となる200世帯の選定
住民リーダーや農民組合の協力を得て、被災農家の中で最も生活の困難を抱える世帯を選定します。

2.種子の調達
栄養価の高さとバランスを考慮し、主食のメイズ(トウモロコシ)と野菜の種子を調達します。現地の在来品種で生育の早いものを選定します。サイクロン被害により国全体でメイズ種子が不足しているため、状況によっては同じく主食であるキャッサバやサツマイモで代替します。

3.農具と種子の配布
選定した農家に配布します。配布時には、洪水後の耕作地の復旧方法、適切な種まきの方法などの情報を農家に提供します。配布は、耕作シーズン終了前の5月、乾季をはさんで次の耕作シーズン(雨季)が始まる10月頃に分けて実施します。

4.活動実施団体
活動の実施にはJVCが責任を持ち、協力団体であるADRA Mozambiqueを通じて現地での支援を行います。実施期間中に1回、JVCスタッフが現地を訪問し、実施状況の確認を行います。

期待される効果〉

1.被災した農家が、自分たちの手で生活再建を進めることができます。

 ・ソファラ州ニャマタンダ郡で最も困難な状況にある200世帯(約1,000人)が、農具
  や種子を手にして、洪水でダメージを受けた農地を耕し、種まきを始めます。
 ・種まきをしてから3ヵ月後には収穫が始まり、自家消費できるとともに、市場で販売
  すると現金収入にもなります。
 ・心配されている中長期的な食料不足が緩和されます。

2.小規模農家による地域の農業のあり方が守られます。

 ・外部から改良品種や遺伝子組み換えなどの種子を持ち込まれることが、一定程度防
  がれます。
 ・種子の支援を受けた農家は、収穫期には次の耕作シーズンに向けて自家採種すること
  ができます。種苗会社などから種子を購入する必要がなく、翌シーズンも耕作を続
  けていくことができます。
 ・自家採種によって地域に適合した種を守ってきた農業が、一定程度守られます。

■モザンビーク、サイクロンに被災した小規模農民に対する緊急種子支援
実施場所 : モザンビーク共和国、ソファラ州ニャマタンダ郡
実施期間 : 2019年5月~2019年10月
協力団体 : ADRA Mozambique(アドラ・モザンビーク)
・日本国際ボランティアセンターさまのその他の支援活動はこちらから

現地での活動レポートが届きましたら、みなさまにご報告させていただきます。

⇒プロジェクトの報告が届きました。
 ・プロジェクトの実績報告

この記事をシェアする
Twitter
Facebook
LINE

コメント

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

コメントを投稿する
ページトップへ戻る