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みんなでプロジェクトを応援! 「ミャンマー 障がい者のための職業訓練校の環境整備事業」(認定NPO法人 難民を助ける会)

「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい7つの自立を支援するプロジェクト。
その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。

はじめまして、難民を助ける会(AAR)ヤンゴン事務所の中川善雄です。私たちは、ミャンマーで職業訓練校を運営し、障がい者の就労を支えています。

ミャンマーでは、障がい者数は国民の約4.6%、約231万人といわれています。障がい者の失業率は85%以上という報告もあり、働きたくても働くことができない障がい者が多く存在します。その要因には、障がいが理由で、教育や技術の習得、社会性を養う機会を十分得られないこと、地域住民の偏見、政府の障がい福祉サービスがほぼ提供されていないことが挙げられます。近年、急速に経済が発展しつつあるミャンマーですが、障がい者の就労は進まず、貧富の差はますます広がるばかりです。

AARは、2000年から、ヤンゴンで障がい者のための職業訓練校を運営しています。ミャンマーで唯一、身体障がい者(視覚障がい者、重度障がい者を除く)へ技術訓練と就労支援を提供する訓練校です。理容美容、洋裁、PCコースがあり、3ヵ月半の間、生徒は基礎技術を学びます。全寮制で、ミャンマー全国から障がい者を無償で受け入れており、卒業生数は1,600名以上です。寮での共同生活は、社会性・協調性を身につけ、卒業後に社会参加するための貴重な機会になっています。

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PCコースで授業を行う教員(写真右端)
教員10名の内、8名は障がい当事者で訓練校の卒業生です。

授業は一人ひとりの習熟度に合わせた選択科目式です。技術を習得するための様々な工夫もあり、例えば、理容美容コースでは、貧困地域等で社会貢献を兼ねた無料散髪を行う実習の機会を多く取っています。また、少人数制の、技術を学び直すための再履修枠や上級コースも設けています。

課外活動も実施しています。料理や掃除等の寮生活、毎朝の一般教養を学ぶ講義、週一回のグループワーク、清掃ボランティアを通じて、職場で働くのに必要な協調性や社会性を養います。

就労支援には、進路面談(3回)や卒業生を招いた経験共有、職場見学があります。卒業前後には、就職斡旋や、開業する生徒への初期費用貸付も行っており、卒業から3ヵ月後と1年後に連絡し、就労継続状況を確認しています。長年にわたる経験と工夫の積み重ねが実を結び、2016年の卒業生数は146名、就労率は92%になりました。

卒業生の多くは、自信がついたと話します。2017年4月洋裁コースの卒業生、エイ・スェ・ウーさん(20歳)をご紹介します。15歳の時、出稼ぎ先の工場で、事故で利き腕の右肘から先を失いました。ショックで自宅に閉じこもるようになり、初めは食事をしてもご飯が床にこぼれ落ちてしまい、「もう私は何もできない」と感じていました。

earth2017_AAR_2.jpg授業で服の型紙を作るエイ・スェ・ウーさん。

18歳の時に訓練校へ入学しました。初めて、たくさんの障がい者がいることを知り、自分よりも重度の障がいがある仲間と助け合って寮生活を送り、「自分にもできることがたくさんある」と気付きました。授業では、慣れない左手での作業に苦労しながらも、初めて自分でシャツを仕立てた時は嬉しかったそうです。卒業後は数年働き、技術を学び直すために訓練校へ再入学しました。現在は、洋裁店で働いています。「将来、技術を磨いて大きなお店を持ち、自分も洋裁技術を誰かに教えたい」と話します。

エイ・スェ・ウーさんのように、技術訓練と就労支援さえあれば、働くことができる障がい者はたくさんいます。

現在、訓練校の大きな課題は、施設の老朽化です。2017年8月、毎年の雨季の豪雨による雨漏りで、天井の一部が剥がれ落ちてしまいました。これ以上、損傷が広がらないためにも、できる限り早く、施設の建物3棟(理容美容棟、洋裁・講堂棟、PC棟)の屋根と雨どいを補修を通じた、安全対策を行い、生徒が安心して授業を受けられる環境を整えることが喫緊の課題です。

earth2017_AAR_3.jpg天井が剥がれ落ちた施設。

<主な活動内容>

フェリシモ地球村の基金からの助成を活用して、①職業訓練や課外活動に使用する建物の補修を行います。また、②補修をする建物を利用して、職業訓練コースを継続します。

①建物の補修
・補修が必要な、職業訓練と課外活動を行う建物3棟(理容美容棟、洋裁・講堂棟、PC棟)の
 屋根と雨どいを補修します。
・工事前、複数の業者から見積書を集め、材料価格の変動などを考慮して施工業者を決定しま
 す。
・雨季が始まる、2018年5月までに補修工事の完了を目指します。

②職業訓練コースの継続
・補修をする建物で、職業訓練コース(理容美容、洋裁、PC)を、3期実施します。
 障がい者計約140名(各学期約46名)を受け入れ、技術訓練と就労支援を提供します。
・補修工事中も建物を利用することができるため、事業期間を通して、職業訓練コースを
 実施します。
・職業訓練コース日程
 第1期:1~4月中旬、第2期:5~8月中旬、第3期:9~12月中旬

〈期待される効果〉

この活動を通じて、①訓練校の安全性が向上し、②障がい者約140名の就労が促進されます。

①訓練校の安全性の向上
・補修をする建物3棟で雨漏りが解消され、天井が損傷・崩落する危険性がなくなります。
 生徒は安全な環境で、技術訓練や課外活動に参加することができるようになります。

②障がい者約140名の就労促進
・事業期間1年間で受け入れる、約140名の障がい者が、働くために必要な基礎技術
 (理容美容、洋裁、PC)と社会性を身につけて卒業します。
・約140名の卒業生の就労を支援して、卒業3ヵ月後に、約85%が就労(就職または自営)
 することを目指します。

私たちは、ミャンマーで唯一、身体障がい者へ技術訓練と就労支援を提供する訓練校として、障がい者が基礎技術を身につけ、社会で働き始める後押しをしてきました。これからも、社会のセーフティーネットの一つとして、10年以上の長期間に渡り、訓練校を運営していく予定です。

本事業で訓練校の建物を補修して安全性を確保することは、事業終了後も安定的に障がい者を受入れ、より多くの障がい者の就労を支えることにもつながります。経済発展の陰で障がい者が社会から取り残されることがないよう、これからも、一人でも多くの障がい者を就労に結びつけ、障がいがあっても働くことができることを、社会へ強く発信していきます。

■ミャンマー 障がい者のための職業訓練校の環境整備事業
実施場所:ミャンマー連邦共和国ヤンゴン地域マヤンゴン地区
実施期間:2018年1月~2018年12月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間実績
・難民を助ける会さまのその他の支援活動はこちらから

「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための7つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2017年11月2日から11月15日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)

   ➡ 応援投票は終了させていただきました。     
     みなさまから、たくさんの応援(投票)をいただきありがとうございました。

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