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遠征

推し活にプラスαのお楽しみ!私が遠征にハマるワケ

推しアーティストが出演すると聞くと、日本中どこまでも応援に駆け付ける! そんな日々を楽しむ推し活ライターkakumiです。

毎年のように行われる全国ツアーで遠征する私に、「どうして何回も観に行くの?」とあきれ顔で聞いてくる人もいるのですが、その理由は簡単。そう、「推しを全力で応援するため!」なのです。そして、遠征には推し活だけでなくたくさんの魅力が詰まっています。近くのライブには行くけど遠征はちょっと……という方もいらっしゃることでしょう。

必ずしも、遠征をすればよいというわけではありませんが、遠征に行きたいけど迷っている方に向けて、遠征の魅力をお伝えします。社会の状況によっては、遠征ができない場合もあるかもしれませんが、そんなときには遠征で行ってみたい場所やスポットを考えておくのもいいですね。遠征できる日が来ることを楽しみに、参考にしてくださいね。

遠征って何?

デジタル大辞泉によると、遠征とは「試合・登山・探検などで遠方へ出かけていくこと」。スポーツチームがホームグランドを離れてアウェーに行くことを遠征と言いますよね。私たち推しアーティストを持つ者にとっても同じようなことで、自分が住んでいる地域以外のライブやイベントに出向いていくことを「遠征」と言います。

人気アイドルのドームツアーは、大きな会場のある大都市圏でしか開催されないことも多く、そんなアイドル推し の皆さんは遠征が定番かもしれません。ちなみに、私の推しアーティストは日本全国を30公演から50公演くらい回るツアーがほとんど。東京在住の私は、地方に行かなくても関東圏の一都三県だけでも何回も観に行けます。それでもわざわざ旅費を使って泊まりがけで、または、日帰りで地方に遠征しています。最近では、千葉や神奈川のライブに行かずに、あえて遠征することも。それだけ、遠征には魅力があるのです!

遠征の楽しみ1:ライブは生き物、毎回違う!

遠征

「ライブって、何度も行くと歌う曲変わるの?」とよく聞かれます。

同じ会場での2DAYS公演では1~2曲、入れ替えされることがありますが、基本的に変わりません。曲の入れ替えがあっても全体の構成は変わらず、同じようなイメージの曲に変わるだけ。

でも、同じ曲を歌っても、同じ構成でも、ライブは毎回違うのです。アーティスト自身の声のコンディションやテンションによっても違うし、バンドメンバーの演奏もその時々によって変わります。会場の設備や雰囲気によっても、歌や演奏が変わるのです。

全国ツアーで使用される会場はさまざまで、大きな会場もあれば、小さな会場もあります。縦長の会場、横長の会場、扇形の1フロアしかない会場、4階席まである会場などなど。会場によって音の響き方が違うため、行く場所によって、また違った感動があるのです。

何より、その日のライブが一番影響されるのが会場を埋め尽くすファンの雰囲気。特に私の推しアーティストはとてもナイーブな方なので、客席が緊張していると同じように緊張されるし、温かく見守っていると安心して歌えるとのこと。そして、客席が乗っていると、はじけて歌われているのがわかります。

お隣の県でも結構違う、県民性

10年ほど前に、ひとりで金沢に遠征したときのこと。

そのときは富山・金沢の2DAYS。石川県人はおとなしくて奥ゆかしいと地元の人が言うように、とっても静かにじっくりと聞いている雰囲気でした。前日の富山では、テレビ番組の中継が入ったこともあって、とても盛り上がったけど、今日は雰囲気が違うとアーティスト本人がステージ上で話していたくらいです。その雰囲気に合わせるように、MCも真面目な内容になり、歌もじっくり聴くファンに切々と訴えかけるように歌われました。

しかし、客席がおとなしいのは聴いているときだけ。本編が終わってアンコールを求める拍手のパワーのすごいこと! そして、全曲終わったあとのスタンディング・オベーションはほかの会場ではあまり見られない光景だったのを覚えています。こういう県民性が垣間見られるのも、遠征の魅力のひとつです。

いろいろな会場、違う角度から見る楽しみ

前述したように、会場の環境は場所によって異なります。古い、新しいといった見方もありますが、座席数やステージの高さ、客席とステージの距離などもまちまち。会場によって音響設備も違ううえ、見え方や聞こえ方は席によっても変わります。

例えば、長野県の「まつもと市民芸術館」や京都府の「ロームシアター京都」は4階席まであり、サイドにテラス席があるんですね。正面から見るのもいいけれど、このテラス席からの見栄えはまた違った雰囲気。列数が少ないので前の人が邪魔で見えないということもありません。

このテラス席は、3階席、4階席に当たるため、ファンクラブでチケットを買ったときに回ってくることはあまりありません。私がたまたま一般発売でチケットを購入したときにテラス席になりました。周りは熱心なファンではなく、有名なアーティストが近くの会場にくるから行ってもいいなぁという感じの方が多いようでした。ですから、アップテンポのナンバーでもスタンディングで見ているのは私だけ。とても目立っていたせいか、推しアーティストがステージ上から私の方を見て手を振ってくれたようです。うれしさで顔がにやけ、思わず両手で大きく手を振り返してしまいました。

そもそも、チケットは抽選で席が決められることが多いため、前になることもあれば、後ろになったり、2階席、3階席になったりすることがあります。前の方の席のときは、アーティストの顔までしっかり見えるし、後ろの方の席のときは、ステージ全体が見渡せる。2階席、3階席など、高いところから見ると、ステージ上のライティングまで楽しめる。こうして、いろいろな席から楽しめるのは、遠征も含めてたくさんの公演に行くからこその特権と言えるかもしれません。

特別な緊張感のあるツアーの初日

推し活として遠征を楽しむなら、ツアー初日の緊張感を味わいたいもの。

初日ともなればファンが殺到し、チケットを入手するのも困難。それでもファンクラブやイベンターの先行発売、各チケットガイドの先行発売、一般発売など、あらゆる手段を使ってチケットを手に入れるのも推し活の第一歩。だって、それだけ特別感のある公演だから。

そのツアーでどんな曲が選ばれるのか、初日の幕が上がるまでわかりません。衣装やステージ演出も初めて公開される初日は、ドキドキワクワクが止まらない。そして、ファン自身もかなり緊張します。もちろん、アーティストも緊張されているでしょう。ファンとアーティストが互いに緊張したなかで作られていく空気感は絶品! 全国からファンが集まる気持ちがよくわかります。

ツアーファイナルの達成感と一体感

初日に加えて、押さえておきたいのがツアーのファイナル公演です。

全国各地を回っている間にライブは進化します。その集大成となるのがファイナル公演。アーティスト、ファンともに「今年もがんばったなぁ」と実感する感慨深い時間です。最終日は、いつも以上に気合が入り、アーティスト、ファン、そしてスタッフと、その会場にいるすべての人がツアーの完走を喜び、会場全体に一体感が生まれます。ファイナルの会場が日本のどこであろうと、長時間かけて遠征して全国のファンが集まるのもすごい。「今年もいいツアーだった」という達成感と「あ~ぁ、終わっちゃったなぁ」という喪失感が入り混じる不思議な感覚が、私は結構好きだったりします。

遠征の楽しみ2:全国から集まるファン仲間

日本全国に行くとたくさんの人に出逢えます。私と同じように全国どこでも遠征するファン仲間もいれば、遠くまで行くのは難しいけど近場ならとライブに来る人もいます。環境も年代もまったく違うけど、推しアーティストが同じだけで仲良くなれる。特に約束をしていなくても会場で会えば楽しくおしゃべりをしたり、終わったあとに一緒に飲みに行ったりできる、それも遠征の楽しみです。

名古屋で知り合った親子

名古屋に遠征したときのこと。会場に向かう地下鉄の駅で、乗る電車に迷っている親子に声をかけられました。北海道からいらっしゃった方で、普通に道を聞く感覚で話かけられたようでしたが、すぐに同じファン仲間だとわかりました。というのも、その親子が持ち物にツアーグッズをつけていたから。

カバンやキーホルダー、ストラップなどツアーグッズを持っている仲間との思わぬ出会いはうれしいもの。この日、この親子と一緒に会場まで行ったことをきっかけに、その後もほかの会場で出会い、10年近くたった今では日常的に連絡を取り、ライブの前後で一緒に観光を楽しむ仲になっています。

遠征の楽しみ3:遠征ついでに、ちょっと観光&ご当地グルメ

富山ガラス美術館 ガラスが趣味なのでライブのついでに観に行きます。

富山ガラス美術館 ガラスが趣味なのでライブのついでに観に行きます。

全国ツアーのスケジュールがファンクラブから発表されると、どこに遠征するのか考えるのも楽しいもの。

私が遠征先を決める条件は、“これまで行ったことがないところ”。ライブに行く楽しみはもちろんですが、その前後に観光に行けるところを選びます。夏休みや三連休などと組み合わせて行けるツアー日程なら大歓迎!

友人たちと予定を合わせ、ライブの1日前に現地入りし、温泉でお風呂やおいしい料理を楽しむこともあります。

私が経験した最長の遠征は、ライブ前の1週間を夏休みにし、青春18きっぷを利用して新幹線や急行を使わずに宮崎と鹿児島のライブに参加したときです。東京を出発し、滋賀で琵琶湖と信楽焼を楽しみ、神戸で友人と会い、岡山で備前焼の窯元を訪ね、広島でお好み焼きを食べ……と少しずつライブ会場に近づくワクワク感がたまらない。さらに大分ではファン仲間と待ち合わせして温泉に行き、英気を養ってから、宮崎のライブ会場に向かいました。一度に4、5回分の旅行を堪能したような気分になりました。さすがに、鹿児島からは飛行機で帰ってきましたけどね。

■ご当地グルメに舌鼓

遠征

日本全国のおいしいご当地グルメと出会えるのも、遠征のいいところ。

北海道や北陸では、おいしい海鮮が楽しめます。北海道にはおいしいチーズもあるし、青森の市場では好きな海鮮を選んでのせるのっけ丼が食べられます。秋田ではきりたんぽ、兵庫では明石焼き、岡山のソースカツ丼、福岡の博多ラーメンなど、ご当地グルメを地元で味わえるのが遠征のいいところ。地元にしか出回っていない地酒や地ビールにも出会えることもあります。特に名古屋は、名古屋コーチン、えびふりゃあ、味噌煮込みうどん、ひつまぶしと、たくさんの名古屋めしがあり、どれも絶品!

札幌でライブがあったときのこと。私は1日前の早朝便で函館に飛びました。函館の朝市では、生きたイカをその場でさばいて食べさせてくれます。東京で食べる白いイカではなく、透き通っているイカの美しいこと。そして、醤油につけてもまだ動いているイカの足を口に入れると吸盤が口内に吸い付いてきます。なんだか不思議な感覚ですが、こんなに新鮮なイカを食べられる機会はそうはありません。これも遠征の醍醐味(だいごみ)と言えるかもしれませんね。

推しアーティストゆかりの場所を訪ねることも

山口県長門市にある「輝きながら…の碑」

山口県長門市にある「輝きながら…の碑」

ファン仲間と一緒に行くときは、推しアーティストのゆかりの場所を訪ねることもあります。推しが卒業した学校や青春時代を過ごした街を訪ねたり、ツアーの合間に訪れたお店で食事をしたりしながら、推しアーティストについて語っていると、あっという間に時間が過ぎてしまうことも。

たどり着き、はまってしまった遠征沼

遠征をするかどうかは人それぞれ。行きたくても、環境が許さず行けない人もいるでしょう。私の場合も「遠征に行こう!」と思って始めたわけではなく、推し活を極めていたら、気づいたら遠征にたどり着いてしまったという感じ。でも、今ではそれが「心のメンテナンス」であり「明日への活力」になっています。遠征は長時間の移動で疲れてしまうのではないかと心配されるかもしれませんが、その疲労感を吹き飛ばすくらいの楽しみが満載です。そして、遠征から戻ると同時に「また次の遠征までがんばろう!」と思えるのです。

いろんな事情で、遠征に行けない時期もあるかもしれないけど、そんな時もいつか遠征に行ける日のことを想像すると、ちょっとワクワクします。さあ、次の遠征はいつになるのかな?

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