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「OSHIGOTO」#001 e-スポーツアナウンサー 平岩 康佑さん 2/3

平岩康佑さん
2019年11月16日(土)に「神戸学校」で行われたeスポーツアナウンサー平岩康佑さんの講演会の様子をお伝えします。ゲームが好きな思いがつのり、自身でeスポーツ専門のアナウンサー会社を立ち上げ、活躍されている平岩さん。自身の「好き」を仕事にすること、誰にでも眠るワクワクを呼び起こすことで人生をより豊かにするヒントがたくさん散りばめられていました。
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趣味のような生きがいを持つことの大切さ

ここまでゲームの話をしてきましたが、今回の神戸学校のテーマが「開け 新しい私」ということで、そういう人間性というか私の生き方のようなものを、ちょっとお伝えしたいと思います。こんな若輩者が伝えていいのか、ためらいもありますが。

一つ伝えたいのは、いろいろな人に言っているのですが、生きがいを持って生きてほしいなということです。みなさんには「このために生きている」という生きがいがあるかということを、ちょっと考えていただきたいです。これはお子さんとか、ご家族とか、ペットの犬とか猫とかではなくて、一人で打ち込めるもの、もちろんオンラインでもいいんですが、そういう趣味のようなものです。

講演会の様子

優秀なサラリーマンは仕事を趣味にできるけど……

日本の方はすごく仕事熱心ですし、やっぱり仕事は大変なので、会社員として働いている方は特に、ふだん生きている一日の中で一番しあわせな瞬間は「仕事が終わったとき」という人がすごく多いと思うんです。ABCにつとめていたサラリーマン時代、私もそういう瞬間が多くて、「ああ、仕事が終わった」っていう、仕事から解放されたときが一番の楽しい瞬間だったというのがけっこうありました。でもそれは仕事にとらわれている人生なので、ちょっともったいないなと思います。

優秀なサラリーマンの方って、仕事を趣味にできるんですね。例えば営業に行くことや、営業先の人とゴルフに行くことが好きだったりとか、社長の顔色をうかがうのが好きだったりとか、スケジュール管理をするのが好きだったりとか。それも才能だと思うので、それは素晴らしいと思います。人付き合いもすごく上手だし、仕事もできるし、処理能力も高い。「出世する人」になるんですかね。

でもその人は、仕事を趣味にしています。だから、休日も仕事のための本を読んだり、何ならそのまま仕事をしたり、仕事のためのゴルフに行ったり、会食をセッティングしたりとかする。

そういう人たちって、定年になった後に何をしていいかわからないんですよ。さあいざ定年になった。たくさん働いて、たくさんがんばって出世して、ある程度給料もらえるようになった。じゃあ60歳からフリーですっていうときに、やりたいことがない。そういう人たちがいらっしゃるのをけっこう見てきたんです。

人生の先輩なので何とも言えところはありますが、仕事が終わった瞬間に憑きものが落ちたようにモチベーションがなくなってしまったり、何をしていいのかわからなくなったりする方が多くいました。そういうのはやっぱりつらいと思います。

いま仕事をしている人でも、休日やフリーの時間に「これをやりたい」「これをやっているときだけ自分は輝けるんだ」「ワクワクできるんだ」というものを持っていてほしいなと本当に思っています。

これだけは必ず人よりワクワクするっていう何かがあると、人生はまったく変わってくる

先程、生きがいは家族や子ども以外のことでと言いました。なぜかというと、他人にあんまり依存するのはよくないと思うんです。子どもは大きくなって、独立したいタイミングになると、自分から離れていきます。それで生きがいを失うわけですから。家族もそうです。
そういうところではなくて、趣味として、例えば園芸でもいい、もちろんゲームでもいい、鉄道模型でもいいし、絵画を見るとか描くとか、物を書くのもいい、本当に何でもいいと思うんです。自分はこれだけは人より知っているとか、人よりすぐれているとかではなくて、これだけは必ず人よりワクワクするっていう何かがあると、人生はまったく変わってくると思うんです。お子さんもいて、仕事もあって、両親、奥さま、旦那さんの両親やママさん友達との付き合いもあって忙しいんですが、それが忙しくなくなったとき、空いた時間にすぐ「これをしたい」というものを、何かしら少しずつ温めていってもらえると、すごく素晴らしいのではないかと思います。

しかし、それが例えばネットで動画を見るとか、受動的なところになったらダメなんです。能動的に動いてほしい。Amazon PrimeやNetflixのドラマを見続けること自体は、もちろんいいんです。すごいクリエイターさんが作っている作品なので、見れば楽しいし、ワクワクする。

でもそれは、大多数の人がすることなんです。そこではなくて、例えば作品のレビューを書いてみようとか、ブログを書いてみよう、Twitterを始めてみよう、Netflixの感想だけを書く SNSを立ち上げてみようとか、自分のアウトプットも同時にすることで、生きがいになる能動的な趣味というのを作ってもらいたいんです。

すると、もしNetflixが立ち行かなくなってなくなったとしても、全く別の新しい映像のプラットフォームが出たときに応用できる。Netflixで感想のサイトをやっていて、人もけっこう見に来てくれるようになったから、ちょっと別のものにしてみようかなとか。そんな「書く癖」もついていきます。

誰にでも眠るワクワクを呼び起こすことは、人生をより豊かにする

そういう生きがいのようなものがどんどん出てくると、いまの仕事もきっとはかどると思います。これからは仕事の部署の枠や、もっと言えば会社と会社同士の枠なども、どんどんくずれはじめます。大きな企業でも副業を認めたりしていますが、そこで自分の趣味と親和性があるものを見つけることもできます。今まで誰よりもNetflixのドラマを見てきて、誰よりも詳しいという人なら、それで仕事ができるかもしれません。「こんなコラボでレーションができるんじゃないですか」とか、「この人知っていますよ」とか、新しいつながりもできると思います。そんな、何かしら「これだけは自分が一番ワクワクしている」という生きがいを見つけて生きていただけるといいのではないかと思います。

私の場合はそれがゲームだったんですが、1年間仕事にしても、やっぱり嫌いにはならなかったですね。会社もやっているし、ついてきてくれる部下もいるし、それはもちろん嫌なこともたくさんありますが、やっぱり楽しみにしていたゲームを初めて起動する瞬間の気持ちなんかは、子どもの頃から変わりません。

こんなことを言うと変な人だと思われるかもしれませんが、私はおもちゃがすごく好きで、海外に行ったときなんかにトイザラスとかを見つけると必ず入ります。それはそこにいる子どもを見るのが好きとかいうのではなくて、完全に子ども目線で、「こんなおもちゃが出たんだ」とか「このパッケージかっこいいな」とか言いながら見るのがいまでも好きなんです。そういう誰にも譲れないワクワク感みたいなものは、ご自身の中のどこかに必ず眠っていると思うので、それを呼び起こして人生をより豊かにしていただけるといいのではないかと思います。

今はインターネットもあるので、例えば寝る前の15分を使ってYouTubeを見るくらいのことなら、家にいてもできます。すると、その最初の小さな灯みたいなものが、どんどん大きくなっていくと思います。そして、子どもが中学校に入った、大学に入った、就職したとか、悲しいですが奥さんと別れてしまった、仕事をやめた、定年になったとか、自分の時間がたくさんできたときに、そこで初めて何をするのか考えるのではなくて、若いときから少しずつためてきた「自分の大好きなもの」の花を一気に咲かせたりすると、すごく楽しいのではないかと思います。

生きがいが花開きやすいヒントは、読書にあり

この生きがいというものに、今もう既に出会っている人というのはすごくしあわせだと思うんですが、新しく見つけるのは実はすごく大変です。みなさんお忙しいこともあって、簡単には見つからないんです。

そこで、「こんなことをすると生きがいが花開きやすいし、仕事もうまくいきますよ」ということがあるのでご紹介します。

まず一つは、非常にありきたりなんが、読書をしていただきたいなということです。いまの若い人は本当に本を読まなくなってしまっています。若い人たちの中には、「俺は本も読まないし、テレビも見ない。全ての情報はネットから得ていてかっこいいぜ」なんて思っている人もいるんですが、そんなことはありません。新聞は個人的にどちらでもいいと思っていますが、読書はしていただきたい。

なぜかというと、本には著者の人生の最大限の要約が込められているからです。例えば私が80歳で末期ガンになって、もう死にますという病床にいるときに、「じゃあ平岩さん、これだけeスポーツの実況をやってきたので、一冊本を書きませんか」って言われて書いたとします。すると私はその一冊に、eスポーツ実況に関する私の人生を全て込めるわけですよ。本というのはそういうもので、ずっと政治をやってきた人、日本史について研究してきた人、日本料理について研究してきた人、スティーブ・ジョブズの自伝なんかもそうですが、その人の人生を全てその一冊にそそぎこむわけです。そしてそれを、われわれは4〜5時間で吸収できるんですよ。その人が何かに費やしてきた、素晴らしい数十年の人生を、たったそれだけの時間で吸収できる。今の世の中でこんなに効率のよい、これだけ時間のコストパフォーマンスが高いものは、少なくとも僕は他に知りません。

違うジャンルの本を手に取ることは人生の幅が広がる瞬間

読書の力というのは、まだまだすごく大きいものがあります。おすすめの読書法は、知り合いが読んでいる本や、おすすめの本などは聞かないこと。自分で大きな本屋さんへ行って、何時間かけてもいいから、自分が心から読みたいという一冊を手に取って買うことです。そしてそれを読んで、最後の20ページぐらい、あと2日間ほどで読み切るくらいのところまで来たら、またその本屋さんへ行って好きな本を探すということを、繰り返しやってほしいです。

これは活字に慣れるためなので、雑誌と漫画でなければ何でもいいと思います。小説でもいいし、どんな本でもいいので、必ずちゃんとした書籍を買って、次にまた買いに行く。

それを繰り返していると、ある日突然、ずっと小説を読んでいた人が、だんだん飽きてきて、経済関係の本を手に取ってみたりすることがあると思うんです。ビジネスばかり読んでいた人が、小説を取ってみたり、料理の本を取ってみたり。それというのは、その人の人生の幅がすごく広がる瞬間だと思うんです。そこには、それまで全然知らなかったよさがあるわけです。自分の新しい生きがいなのかもしれない。新しい趣味に出会うことかもしれない。会ってみたい人ができたりするかもしれないし、見たい映画が出てきたりするかもしれません。その人の人生の幅がすごく広がるところなので、読書というのはぜひ習慣づけてください。カバンに常に一冊入れておくと、せっかく買ったし読まなきゃなというプレッシャーにもなります。スマホを持つのを一瞬我慢して、電車の中で本を読んでください。

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