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人間レベルは1あがったが、真の勇者にはまだなれなかった

OshiKra編集部のよこ_たです。よこたのプロフィール画像

「人生で大事なことは、漫画から教わった」そんなことをつぶやいた経験、ありませんか? 私はあります。『あきらめたらそこで試合しゅ……』なんて、何回、つぶやいたことでしょうか。タプタプタプ。なんて、素敵な擬態語でしょうか。

さて、そんな漫画好きの私は、こうも言いたい。

「人生で大事なスキルは、RPGから学んだ」

かっこよく言ったのですが、真の勇者を目指していた女が、勇者になりそこねたけど、レベルは1あがった、そんなお話をいたします。

RPGとは

RPGは、見た目通り、「あーるぴーじー」と読みます。正式名称は、ロールプレイングゲーム(role-playing game)。「ロープレ」と呼ぶ方もいらっしゃいます。アルファベット3文字読みというのは、アイドルグループの名前や、某タレントの略語の印象が強いため、さらには、WEB業界で働いているとそこらじゅうで飛び交っているので、大人になってからよく耳にすると思っていたのですが、実は、小さな頃から、「RPG(あーるぴーじー)」で慣れ親しんでいたようです。

RPGのイメージは、ほとんどがコンピューターゲームではないでしょうか。しかしながら、元々はアメリカで考えられたテーブルゲームなのです。ここでのお話は、前者に的を絞ります。ゲームプレイヤーがそのゲームのキャラクターを操作し、何かしらの試練(冒険や戦闘など)を乗り越えて、エンディングという名のゴールを目指します。

とても簡単に分かりやすく一例をあげると、「どこかの村にいる平凡な少年(少女)が、実は世界を守る勇者で、この世を破壊しようとする悪いやつを倒して、国を平和に導く」みたいな感じです。

さて、これだけ聞くと、何がそんなに楽しいの? と思われるかもしれませんが、上の一例には、「想像を絶する主人公の苦悩や過去」「何十時間もかけた努力」「もう目から水が止まらない感動ストーリー」「ゲームではおさまりきれない人生観」「時には少女マンガも凌駕する恋愛ドラマ」「え、そこがそうなって、こうなっていたのかという伏線」まで、本当にわくわくドキドキが止まらない要素がたくさん詰まっています。

それが、RPGなのです。

RPGで学んだスキル

たくさんありすぎるので、すべてをピックアップすると、何万字にもなりそうなので、その中でも特に学んだスキルを3つあげます。

1)お金って大事

とても当たり前なことを言っていますが、それを当たり前だと思うのは、自分自身が大人になっているからでしょう。
・お金が手に入る難しさ
→弱小モンスターを倒しても、数ゴールドしか手に入らないため、ゲーム始めたてのレベルが低い状態では、ゲームオーバーにならないようにするのが大変。(仕事始めたては、お金も少なく、生活費を工面するのが大変)

・欲しいものを手に入れるために貯金する
→仲間が増えるとさらに必要。(家族が増えると、貯蓄は必須)

・目先のものに捉われない
→ちょっと無理して先の街まで進むと、数ゴールドの差でもっといい武器、防具が買える場合がある。ただし、その道中はモンスターが強くなるので、倒されないようにすることが大事。そして、そういった状況の場合、たいてい逃げられない。囲まれる。(引越しする前には、物を買わない。新しい家のサイズ感を分かってから買う)

・不要なものは捨てずに売る
→他のキャラクターで使用できないか確認し、誰もスキルアップしなければ売る。新アイテムにあてる。(捨てずに、フリマアプリを活用)

これらを小さな頃から、ゲームの中で無意識にやっていたと思うとすごいですね。お金では買えない幸せももちろんありますが、お金は大事、という思考スキルが身につきました。
ただ、他人の家に勝手に入り、宝箱やタンス開けたり、樽を割ったりして、小銭を稼ぐ、回復アイテムを手に入れるのは、現実世界では絶対にNGです。よい子は真似してはいけません。

2)理不尽なことはたくさんある、と理解する

「平凡に暮らしていたのにも関わらず、いきなり勇者の子孫だと言われ、世界平和のために魔物をやっつけてきて」というのは、会社で「平凡に仕事していたのにも関わらず、いきなり業績アップのために100億稼げる企画もってきて」と言われているようなものです。しかも現実社会は、だいたい「3ヶ月で」みたいな理解不能の期限付きです。

さらにRPGの中では、頼まれても断れない場面も多いのです。「お願い!助けて!」と村人に声をかけられると、「はい/いいえ」を選択するコマンドが出てくる場合があります。なんとなく気分が乗らずに「いいえ」を選択すると、あれやこれやと話され、一周してまた「お願い!助けて!」と言われるのです。再度、「いいえ」を押しても、また「おねが……」の無限ループです。

理不尽なことはあるものだ、と思っていたら、理不尽なことがやってきても、「きたきた」と思えるようになりました。ポジティブシンキングのスキルがあがります。そして、現実世界では、断ることができるので、断るスキルも身につきました。

3)挑戦し続ける気持ち

(ゲーム好きが言うと元も子もないのですが……)RPGは、あくまでゲームです。つまり、この世のどこかにいる最高なクリエイター集団が必死に開発してくれた最高のプロダクトなのです。つまり、ゴールまでの道筋があるので、どれだけダンジョンで迷おうとも、どれだけゲームオーバーになろうとも、絶対に自分が諦めなければ、必ずいつかは、エンディングを迎えられます。

現実世界では、ゴールまでの道筋なんて無いものがほとんどです。だからこそ、挑戦し続ける気持ちが大事なのではないか、そういった精神力をRPGから学ぶのです。

現実でも勇者になりたくて

RPGで勇者になったプレイヤーが、「現実世界でも、勇者になれたら……」そう夢見る方は、少なくないはず。実は、私もその一人です。

姿かたちは違えど、目の前にある仕事(魔物)を片っ端から終わらせ(倒し)、毎月給料(お金)をもらい(貯め)、たまには遊園地や温泉で息抜きをし(カジノに行き)、週明けどうしてもGOサインをもらいたい企画書を練りに練り(スキルを磨きあげ)、お偉い人(魔王)にぶつけてみても、却下(ゲームオーバー)になり、また練り直し(レベルアップし)、ようやくお偉い人のGOサインをもらう(魔王を倒す)。

現実は、まさにRPG。しかしながら、現実は現実。ふぅ……とため息をつきながら、現実世界でも、RPGを体験できないか、そんなことを考えていたときに、思わず2度見してしまったアイテムに出会いました。それがこちらです。

「え、勇者の剣じゃん……」それが第一声でした。これは何だと思いましたが、こちらのアイテム名を見て、分かりました。

『YOU+MORE! 真の勇者にしか引き抜けない 伝説の剣キーケース』

嘘です。分かりませんでした。「キーケース……? どこが?」となりました。頭の中に「?」がたくさん出てきたところで、他の写真を見て、理解しました。

「びよ~~~~~ん」 まるでRPGで流れる効果音のような感想が漏れました。
確かに、キーケースです。と言いますか、「キー」が「剣」なのです。

さらっと言いましたが、衝撃的ですね。「伝説の剣」は「キー」だったとは。それこそ、ゲームしかしないから外には一歩も出ない、と決めた休日以外は、一度は触っている「家の鍵」が「伝説の剣」だったなんて……。灯台下暗しとは、このことです。

2019年末に引越しを果たした私「勇者よこ_た」は、鍵が変わったばかり。これは買わなければいけないと思い、さっそく購入し、届きました。

いざ、開封の儀です。

 

 

まだ、「伝説の剣」という名の「キー」が刺さっていないため、ひ弱です。だら~んとしています。

意気揚々と、家の鍵をセットしました。
すると、まるでRPGにはお決まりの「セーブもしていないのに、なんだか強そうな敵に戦いをいきなり挑まれ、回復アイテムもたくさん使って交戦したけど、実はそれはオートプレイでゲームオーバーになることが正解。回復アイテムだけ、無駄に減る」みたいな衝撃の展開が待っていました。

「入らない」
え。となりましたが、勇者はそんなことではくじけません。RPGは、ゲームオーバーになってからが勝負です。

「やはり入らない」

なぜだ、と思い、取扱説明書を読むと、そこに答えがありました。

伝説の剣には、指定サイズがありました。「そんなの、そんなの、聞いてない……!!!」と思ったのですが、伏線は購入する前にはられていました。

WEBサイトにはこの画像の下に、しっかりと「封印具(収納ポケット)の内寸:上辺31mm、下辺21mm、高さ25mm(厚さ2mm以下のかぎに対応。)」という記載がありました。

そうなのです、私の鍵は、持ち手の部分がこれよりも大きいタイプでした。防犯上、お見せすることはできませんが、このような形をしています。結果、入りませんでした。

勇者はまだまだ諦めません。新居の鍵がダメなら、実家の鍵ならどうだ、と。

持ち手の赤色の部分がコンパクトなため、確かにさきほどの持ち手が黒色のキーよりは、ひとまわり小さいです。

約20年以上も持ち続けている実家の鍵なら大丈夫だろう、自信を持って、セットしてみました。

「それでもやっぱり閉まらない」

ここで、再度、アイテム名が私の目に飛び込んできました。

『YOU+MORE! 真の勇者にしか引き抜けない 伝説の剣キーケース』

私は、真の勇者ではなかったのか……。それよりも、勇者になるために必要な伝説の剣をセットすることすらできないのか……。実家に住んでいた子供の頃から、何十年もずっと……。RPGの中ではいつも勇者バンザイ、勇者バンザイと崇められ、素敵なエンディングをたくさん見てきたこの私が、勇者ではなかった……。悔しい限りです。

しかしながら、ここでRPGで学んだスキルを思い出しましょう。そう、「挑戦し続ける気持ち」。私は、決して勇者でないのではない。勇者になるためのスキルがまだ足りていないだけなのだ、と。新居にうつったばかりなので、当分引越しは予定していないため、「鍵」では「伝説の剣」を作れない。つまり、「鍵」では、勇者になれない。引き抜くための答えはひとつ。

「鍵」にかわるものを探せばいいのだ。

無論、まだ、それは見つかっていません。「キーケース」という売り物を完全無視していることも理解済みです。「鍵」以外の使い方を推奨されているわけでも決してありません。けれども、伝説の剣を引き抜けられる勇者になりたいのです。
私の旅はまた始まりました。物語は続くのです。(精一杯の強がりです)

勇者になれなくて学んだスキル

「注意書きはちゃんと見よう」これに尽きます。

たしかに、自省してみると私は、気に入ったもの、一目惚れしたものには、すぐに飛びついてしまう癖があります。特に、雑貨といった類は、即購入してしまいます。なにせ、このような写真です。剣を抜きたく、いえ、買いたくなるでしょう。

しかし、この世の企業は、しっかりと丁寧に、注意書きを説明してくれています。よく読みましょう。

また、結構せっかちです。RPGをしていても、Bボタンを連打し続けてしまって、大事な村人の会話をすっ飛ばしてしまった、なんてこともちらほら。ですので、時にはメモを取りながら、ゲームをしていましたが、昔と比べて、最近のRPGは、大事な会話を残してくれる機能が付いています。その機能に頼りすぎて、自分でなんとかするスキルが弱っていたのでしょうか。反省です。

ただ、一方、今回のキーケースも事前にサイズのこと、自分の鍵とは合わないことを知っていたら、購入に至らなかったのでしょうか。否。きっと買っています。つまり、結果オーライなのです。

困難を乗り越えてこそ、真の勇者になれる、そう信じています。今回のことで、私の人間レベルは1あがりました。
「ちゃららららっらっらぁ~♪」という効果音が聞こえます。

真の勇者になることができたら、またご報告いたします。

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