リブ イン コンフォート 文筆家甲斐みのりさんと一緒に作った 品のあるがま口ショルダーバッグ〈アンティークブラック〉
お申し込み番号:267610
1セット ¥5,900 ( +10% ¥6,490 )
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ストーリー
「過去の私たちは今も。」
就職を機に神戸に来て、もう4年目になる。
最初のころは駅の乗り換えひとつにもたついていたけれど、今は少しだけ、この街が自分のものになった気がする。
道を聞かれたとき、スムーズな行き方の案内だってできる。
来週、久しぶりに、学生時代に毎日のように一緒にいた友達に会いに東京へ行く。
社会人になってからはお互い忙しくて、連絡だってときどきしか取らない。
あんなに、運命みたいに仲良かったのに。そう思うと、胸の奥がきゅっとなる。
思い出が増えていくたびに、それを少しずつ「過去」にしなきゃいけないんだってことが、最近やっとわかってきた。
ライフステージは変わっていくから、久々に会った大好きだった友達とほんの少しずつ、でも確実に、距離ができた。それはやっぱり、結構さみしい。
そんな夜、なんとなくつけっぱなしにしていたドラマの中で、ふと耳に入ったセリフがあった。
「あなたが笑ってる彼女を見たことがあるなら、今も彼女は笑っているし5歳のあなたと5歳の彼女は、今も手を繋いでいる。今からでも、いつでも、気持ちを伝えることができる」
心の中で、何かが音を立ててほどけた。
そうだ、昔の私たちは、今もどこかにちゃんといる。
私たちは変わっていくけれど、大切だったあの時間は、なくなったわけじゃない。
思い出したのは、放課後、家に遊びに来てくれた彼女とクッキーをつまみながら、飽きもせず話し続けたあの時間。
何を話していたかなんてほとんど覚えていないけれど、あのときの楽しかった記憶だけは、はっきりと残っている。
だから、彼女への手土産には、クッキー缶を選んだ。
バッグの裏地ととおそろいのドットのクロスで包んだ、いろんな形と味のクッキー缶。
もう、あのころとは変わっていてもいい。
今の私とあなたで、また他愛ない話ができたらいいな。
電車に揺られて向かう先には、今の私たちが、そして昔の私たちも、きっといる。
何があっても失わない宝物のような過去を携えて、これからも進んでいける気がした。
text&photo:みう(フェリシモことば部)