[2025/08.05]

暮らしのお買いもの

【このごろコラム】
病めるときも、健やかなるときも、
心からときめく時間を。

大学を卒業して3年目。
4月から新しい職場で働き始めて、そろそろ何かを掴めてきたかな、というこのごろ。
会議でよい意見を出せた日は、少しだけ自分を褒めたくなる。

今日は家で「宝石たち」が待っているから。
浮足立って家路に着くわたしは、もう仕事のことなど忘れている。

夕飯もそこそこに済ませたら、お待ちかね。
今日のお供はこの子だ。

「月に一度のご褒美チョコ」。
ちょっとお高いチョコレートは箱から美しい。まるで宝箱。
開ければきらっきらの宝石たちがお出迎えしてくれる。

顔を近づければ、甘いだけではない香りが鼻をくすぐる。
はぁぁ絶対においしい!このために帰ってきたんだ!

いちばん左のひと粒を手に取ると、ココナッツの香りがした。
うっとり眺めていると指の熱で溶け始めてしまうので、慌てて口に含む。

トロピカルな風味に包まれながら、食感も味も、複雑で、やさしくて、わたしは小さな女の子みたいにときめいて、うれしくて、足をジタバタさせてしまう。

チョコレートは小さいころから好きだったけれど、大人になってからはもっと大好きになった。

自分で稼いだお金で買うちょっとお高めのチョコレートは、量は多くないけれど、見た目が美しくて、味も複雑なおいしさのものが多い。

コンビニやスーパーで買える、安くてたくさん食べられるチョコレートだって今でも大好きだけど、「オトナの味」を自分のお金で買うという行為そのものが大人の階段を昇った感じがあってわくわくする。

ひと粒の満足感がすごいから、一日ひと粒ずつ大切に食べるのもぜいたくで思わず口角が上がってしまう。

明日はどれを食べようかな。

どれもこれも宝石みたいにつやつやで、きらきらで、それでいて知らない味を教えてくれるから、小さなころにおもちゃの宝石を集めていた気持ちのような、そんなときめきをくれるのだ。

最近はなかなか時間が取れなくて、美容院もネイルサロンも行けていないけど、家にチョコレートが届くだけでときめきは充分にチャージできる。

そういえば、新卒で初めて入った会社の環境が合わず辛かったころも、同じようにおいしいチョコレートを食べていた。

どうしてこんな怒られ方をしなければならないんだろう。
どうして同期みたいにうまくできないんだろう。

「お前は手がかかる」とこんなに真正面から言われたのも初めてで、先輩・上司との関係や、自分の仕事のできなさに毎日悩んでいた。

家に帰れば身も心も疲弊しきっていて、ごはんを食べたりお風呂に入ったりすることもできない。
寝て起きて明日がきてしまったら会社に行かなくてはならない、と毎晩泣いていた時期もあった。

それでも、おいしいチョコレートを手に入れれば「家に帰ればチョコレートがある!」と思うだけで、どんなにしんどい日も「ここで負けてたまるか!」と思えた。

仕事を乗り越えた後、チョコレートの箱を開けて胸をときめかせている間は、他の余計なことを考えずに済んだ。

最高においしいチョコレートを食べたって、仕事の悩みが解決するわけではなかったけれど、こんなふうに気持ちをリセットできる時間を作れていたことは少なからず心を救ってくれていたのだと思う。

結局その会社は1年で辞めてしまったけれど、やりたかったことを仕事にできている今も、やっぱりチョコレートは寄り添ってくれる。

今日みたいなうれしいことがあった日は、ぜいたくなご褒美として。
自分の力不足を感じて落ち込んでしまう日は、明日をがんばるエネルギーとして。

どんな心情でいるかに関わらず、絶対的にしあわせな時間を生み出してくれるチョコレートは、わたしにとって大切な味方だ。

お値段が少し高いからしょっちゅう食べられるわけではないけれど、こうして定期的にときめきを補充したい。

また明日のひと粒を楽しみに、今日は早く寝てしまおう。
明日は裏側も美しいこの子がいいかも。

……やっぱりもうひと粒、食べてから寝ようかな。




今回登場した『至福のチョコライフ定期便』はこちらから▼

※お申し込み締め切り:2025年8月24日(日)


STAFF
ユキミカン