[2025/08.02]

暮らしのお買いもの

【このごろコラム】
「好きな食べ物は、チョコレートです」

「好きな食べ物はなんですか?」
わたしは幼いころから数年前までこの質問に答えることができなかった。

わたしの好きな食べ物はサラッと答えられるほどの量じゃない。
あれもこれもそれも好き。嫌いな食べ物がない。

そんなわたしが大人になってから好きな食べ物として答えるようになったのが「チョコレート」だ。

(そもそも、好きな食べ物ってなんなんだ?)と思う。

答えたものだけが好きとは限らないし、その時に食べたかったものを答えることだってある。
ただ、そこで答えた食べ物はきっと印象に残る。

好きな食べ物というのは、大袈裟に言えば「◯◯が好きな人間です!」と自分らしさを表現することさえできるのではないだろうか。

甘いものが食べたくなるとつい手に取っているのはチョコレートで、お気に入りのお菓子を見つけたと思ったらだいたいチョコレート菓子だった。

修学旅行で海外に行ったときには大きな板チョコを買って帰ったし、京都に行って買って帰ったおみやげは、八橋じゃなくてスパイスを効かせたチョコだった。

好きな食べ物というのは「味が好きで選ぶもの」というよりも、気づいたら選んでいるもの、気づいたらよく口にしているものなのかもしれないと思う。

好きなものというのはいくつあってもいい。

それは食べ物でも、場所でも、物でも、なんでもいい。

人生には暗い場所でジタバタすることがある。
理由もなく苦しい日、なぜか涙が出ることもある。

わたしの場合、そういうときはだいたい自分に向き合う時間が足りていない。
自分の「好き」を思い出すことができれば、もがいていた足をヒョイっと持ち上げてくれるのに、暗い場所にいると「好き」は忘れて思い出せなくなる。

わたしがわたしでいるために自分の好きを守りたいと思った。
そんなとき「至福のチョコライフ定期便」というものを見つけた。

疲れたときや、がんばった後のご褒美には、特別おいしいものが食べたくなる。
見た目、香り、そしてなによりその食べ物に込められた想いまで食べたくなる。
それが「おいしさ」の隠し味だから。

誰がどんな想いを込めてそれをつくり、どんな見た目、味に仕上げたのか。
そこまで味わう時間がわたしにとっての「ご褒美」になる。

チョコレートの理想的な保管温度は15〜22度。
野菜室の温度がだいたい10度以下のため、少し冷たい。
届いたチョコレートはタオルで包んでしまっておいた。

おすすめの食べ方通り、夜ごはんの前にひと粒だけお皿に出して室温に戻した。

今日選んだのはこのチョコレート。
ナイフを入れずに噛んでほしいと書かれていたので、まずは見た目を味わう。

ツヤツヤのチョコレートを見るだけで心が躍る。
(そうだった。わたしにはこういう時間が何よりも大切だった)と思い出した。

裏にかわいい柄を見つけた。隠されたお宝を見つけた気分になった。

どんな香りがして、どんな味がするのか、どんな舌ざわりだろう。
そんなことを想像しながらこのチョコレートを作った方とお店を調べ、コンセプトや想いに目を通し、同封されたレターを読む。
この時間が楽しくて、愛おしくて、仕方がない。

口に入れると、目をきゅっとつぶってしまうほどゆっくりと味わいたくなるおいしさが広がった。
口角が上がる。目がキラキラしていくのが自分でもわかる。

好きなものを好きと思えることは、当たり前ではない。
弱い自分も、できない自分も、このひと口で受け入れられる気がした。
「好き」は、自分を好きになる材料になると思った。

人間は、疲れると甘いものを欲するという。
それは「甘味」という味を「エネルギーの味」と認識するからだと聞いたことがある。

からだの疲れも、心の疲れも、このひと口でほぐれ、また明日を歩こうと思えた。

チョコレートは、大切な気持ちを、忘れたくない気持ちを思い出させてくれる、わたしの好きな食べ物だ。

まだまだやれると自分に厳しくしてしまうけれど、定期的に届くチョコレートが寄り添ってくれるおかげで、わたしはわたしに戻ることができる。

次はどんなチョコレートが届くのだろうか。
チョコレートと過ごす時間で、どんな自分と出会えるだろうか。

「好き」さえ忘れてしまう日々に、それをふっと思い出させてくれる瞬間。
「至福のチョコライフ定期便」は、そんな大切な時間をわたしに届けてくれている。




今回登場した『至福のチョコライフ定期便』はこちらから▼

※お申し込み締め切り:2025年8月24日(日)

STAFF
photo & text :十=10