サンクスギビングににぎわうマーケット / ニューヨーク散歩

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アメリカには、11月第4木曜日に「サンクスギビング」という祝日があります。七面鳥を囲んで家族で集まる、いわばアメリカ版お正月のような日です。そのサンクスギビングからクリスマスまでの約1ヵ月をニューヨークでは「ホリデーシーズン」と呼び、親しい人と集まって一年の労をねぎらう期間。去年のお話になるのですが、このホリデーシーズンににぎわうマーケットの様子をレポートしたいと思います。

シャンデリアが輝く歴史ある駅空間に、ホリデーフェアのアーチが出現。非日常と日常が交差する、ニューヨークの冬の定番風景。

最近は僕のポッドキャスト番組でNYの話題に多くふれているということもあり、街のガイドを頼まれることが増えています。ホリデーシーズンになるとさらに増えてくるのが、プレゼント選びの相談。ふだんあまりギフトを買うタイプではないのですが、今回は「人とかぶらないギフトを買いたい」という知り合いからの相談を受けることになりました。条件は、①知られすぎていない場所、②ハンドメイドであること、③広すぎない会場、④友人向けに重すぎないギフトとのこと。そこで、観光ガイドには大きくは載らないけれど実は穴場の「グランドセントラル・ホリデーマーケット」へお連れすることにしました。

グランドセントラルとは、マンハッタン中心部にある巨大ターミナル。日本で言えば「東京駅」とクラシックな観光名所が合体したような場所です。通勤客と観光客が一日中行き交うその駅舎の一角に、期間限定で現れるのがこのマーケット。巨大ツリーもあって有名なブライアントパークの大規模なホリデーマーケットに比べると規模はぐっと小さめですが、そのぶん作家性の強いブースがずらりと並びます。「ほかの人とかぶらない掘り出し物が見つかる」と、長年のニューヨーカーにひそかに愛されています。

「WGK Glass Art」の手吹きガラスのオーナメント。同じものがふたつとない、まさに一点もの。

まず目を奪われたのは、ペンシルベニア州のガラス工房「WGK Glass Art」。天井からつり下げられた鳥やドラゴンのガラスオーナメントは、すべて手吹きで制作されたもの。光を受けてゆらりと揺れる姿は、駅の喧騒の上をふわりと飛び回る小さな精霊のようで、思わず足が止まりました。

ニューヨークの陶器ブランド「ZPOTS」。このマーケットで1位を争う話題のブース。

そのまま通路を進むと、ニューヨークのスカイラインが描かれたマグやボウルが並ぶ「ZPOTS」の陶器が目に入りました。

人種、性別問わずあらゆる方に共感されるポジティブな手描きメッセージで人気。

バーモント州のスタジオが手がける器で、表面には「Gratitude Spiral」など、さりげない前向きな言葉が刻まれています。あたたかみのあるデザインが人気だそうで、ガイドとして来ているはずの僕も「これは自分用に欲しいな」と真剣に悩んでしまうほどでした。

どのブースでもNYをモチーフにしたデザインがよく売れる。

さらに彼女から「せっかくニューヨークに来たのだから、NYのデザイナーのものはないですか?」という追加リクエストが。そこで案内したのがブルックリン発のフェルト雑貨ブランド「Craftspring」。

ブルックリン発の「craftspring」。NYらしさ全開のフェルト雑貨たちがたまらない。

キルギスの女性職人がメリノウールをひとつずつ縫い上げるフェアトレードブランドで、サンタやトナカイに混じって、メトロカードや地下鉄の車両、自由の女神まで。NYらしさ全開のラインナップに彼女も声を上げて喜んでいました。

それぞれ表情の異なる自由の女神。女性職人が丹精込めたやさしい表情が魅力。

そういえば、NYの地下鉄も電子改札がやっと整備され、長年NYの顔だった黄色いメトロカード(定期券)もついに今年末で販売終了となります。便利にはなるものの、あのデザインがなくなると思うと少し寂しい。

NYの象徴・メトロカードをフェルトで再現。手仕事ならではのぬくもりが◎。

この街に20年暮らした思い出が詰まっているだけに、この小さな作品を見てじんわりしてしまいました。友人から見ればかわいい雑貨でも、贈る側の思い出をひっそり背負ってくれるのが、こういうギフトのおもしろさです。

手づくり感あふれるscienceSeedsの科学キット。レーザーカットの木製パーツから生まれる、やさしい知育トイの世界。

次にお連れしたのが、子ども向けのブース。レーザーカットの木製パーツを使った教育的な科学グッズや、ギフトに最適なユニークな科学キットを作っている家族経営のメーカー「scienceSeeds」です。

「学ぶ」と「遊ぶ」のちょうどいい境界線を楽しめる本格派。

大量生産ではない手づくり感と、学びながら遊べるちょうどいいバランスが魅力。ホリデーパーティーの片隅で子どもたちが組み立て、最後はツリーに飾る光景が目に浮かびます。もちろん大人だって楽しめます。 

グランドセントラル限定グッズショップ。いちばん人気はトートバッグ。

気づけば30分ほどで彼女のトートバッグはいっぱいになり、大喜びで列車に乗り込んでいきました。忙しいビジネスパーソンにとって、短時間で「人とかぶらないギフト」がそろうのは大きな魅力だったようです。

ブルックリン発のペットグッズ店「LoveThyBeast」。ほかの子とかぶらない個性的なアイテムが魅力。


東京駅より1年早い1913年に開業し、100年以上の歴史を誇るNYの玄関口・グランドセントラルはその美しい構内を歩くだけで何時間でも過ごせる場所です。その片隅で開かれるこの小さなホリデーマーケット、毎年11月半ばから12月24日まで開催中ですのでNYに来られる際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね!

 

池澤 崇

「好きなこと以外はやらない」というポリシーのもと、自由の国アメリカ・NYで日本文化スペースRESOBOXを運営中。趣味は登山と居合道とバイオリン。NYに住む日本男児3人でポッドキャスト「オールナイトニューヨーク」も配信中。ぜひ聴いてみてください。

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