フェリシモCompany

つながっていく善意の線。大船渡の保育園にハッピートイズをお届けしました。

5月13日、津波の被害が大きい岩手県大船渡市の保育園に、フェリシモ

ハッピートイズのぬいぐるみをお贈りすることができました。フェリシモスタッフから
その報告をさせていただきます。
今回の寄贈が実現した背景には、自ら被災しながら「こどもたちに心の支援を」という主旨に賛同して協力してくださった方々の力があります。
そのみなさんに心から感謝しつつ、レポートさせていただきます。
はじめに個人的な話をしますがお許しください。
僕は高校卒業まで東北の山形県で暮らし、大学から岩手県の盛岡市に移り住みました。
県庁所在地である盛岡市は都市化していますが、風情のある街並みは健在で、文化が生活に根付いた美しい街です。街の中心を流れる中津川には秋になると今でも鮭が産卵に戻ってきます。
三陸の沿岸地域にもよく訪れていました。はじめて沿岸の街を訪れた時に間近で見たリアス式海岸の景色は、ほんとうにきれいでした。
一生の恩師や友人とも、そんな豊かな岩手の地で出会うことができました。
住み始めて7年後に就職のため神戸に移りましたが、今でも岩手は自分にとって、生まれた地以上に思い入れの深い存在です。
それだけに、ゆかりのある街を襲った3月11日の災害は大きな衝撃でした。
正直、「自分に何かできないか」という前向きな気持ちは、すぐには生まれてきませんでした。
目前の5月の連休に、東北に住む家族や友人のもとに帰ろうと、とにかくみんなの顔が見たいと、それだけを思っていました。
僕が東北に、岩手に帰ることを聞き付けたハッピートイズ担当の先輩が、「岩手のこども達にトイズを贈れんやろか」と声をかけてくれたのはそんな時でした。
不便な生活を送っているこどもたちに、お客さまがひとつひとつ手作りしたぬいぐるみを届けられたらきっと心の支援になるのではないか。
先輩からの提案は、ただただ東北に帰りたいとだけ思っていた僕の視野をひと回り広げてくれました。
被災地のこどもたちにハッピートイズを届けたい。僕の中でもそのと思いは強くなりましたが、それを実現するためにはどこにお届けしたらいいのか、
インフラはもちろんメンタル面でも、現地がトイズの人形を受け取って喜んでいただける状況にあるのか、まったく見当が付きませんでした。
そこで力を貸してくれたのが、大船渡で働いている学生時代からの友人、松川君です。
彼は僕の知人の中で、震災後、一番最後に無事を確認できた人です。
彼の自宅は津波が直撃した一帯にあり、幸運にも被害は一階部分にとどまりましたが、ライフラインの回復が大船渡の中でも遅れている地域に住んでいます。
市の職員をしていることもあり、地震直後から大船渡の街を駆け回っていると聞いていたので、彼の負担を増やしてしまうのではないかという懸念もありましたが、
ようやくつながるようになった電話で主旨を伝え相談すると、
「うん、わかった。きっと喜ぶ。ちょっと待ってて」
と言い、しばらくして160名の園児が通う保育園を紹介してくれました。
その保育園が、今回ハッピートイズを寄贈させていただいた大船渡保育園です。
自分の生活や仕事だけでも大変な中、すぐに知人をあたって寄贈を希望する保育園を探してくれた彼なしに、今回の寄贈は叶いませんでした。
紹介してもらった保育園にさっそく連絡すると、応対していただいた保育士の及川さんは快く申し出を喜んでくださり、
この日から、神戸からではうかがい知れない被災地や保育園の状況を踏まえながら、トイズをお届けするまでの段取りをしてくださいました。
及川さんもまた、今回の震災でたくさんのかなしい思いをされた方のひとりです。
社内の先輩や同僚にも協力してもらい、トイズの人形を210体、5月の中旬に保育園へ届ける手はずを整えることができました。
5月中旬のお届けの前に、5月3日に大船渡保育園を訪ねました。
大船渡保育園は、高台に立てられていることもあって津波の被害からは逃れましたが、ほんの数メートル先には、津波が押し寄せた爪痕がはっきりと残っていました。
訪れた日は祝日で保育園はお休みでしたが、主任保育士の富沢さんと及川さんが、休日にもかかわらず出迎えてくださいました。
地震が起きた日、比較的スムーズに避難することができたとのことですが、その日以降、やはり日常とは違う緊張感が園を包んでいるそうです。
先に4体だけ持参したトイズの人形を手渡すと富沢さんは
「”手作りの人形”という温もりがありがたい。こどもたちはきっと喜ぶと思います」
とおっしゃってくださいました。
保育園を訪ねた約10日後、210体のハッピートイズに併せて、エール フロム KOBEに寄せられたこども用の卓球台とバームクーヘン、500色の色えんぴつも一緒にお届けしました。
それからしばらくして、大船渡保育園から心のこもったお礼をいただきました。
そこには、トイズのぬいぐるみを手にしたこどもたちのたくさんの笑顔がありました。

保育園に来ている時は元気なこどもたちですが、中には夜になると夜泣きをしたり
以前よりも甘えが強くなる子もいて、不安な気持ちはやはり残っているそうです。
ぬいぐるみを抱くことで安心して眠れていると、保護者の方にも喜んでいただきました。
また、今回お手伝いいただいた及川さんからの手紙も添えられており、そこにはこんな
メッセージが綴られていました。

「みなさまからの想いを受け、こどもたちも私たちも震災前よりもずっと力強くなりました。 そしてこどもたちの心の中に、より一層「やさしさ」や「おもいやり」が増えたように思います。 今日の日を決して忘れず、みなさまから授けていただいた力を、次はどこかで困っている方々を 助けられる力に変えていこうと思います。」

冒頭の繰り返しになりますが、今回の寄贈が実現した背景には、自らも被災しながら、こどもたちに心の支援をしたいという主旨に賛同して協力してくださった方々の力があります。
また、会ったことのない誰かを想いながらハッピートイズを作ってくださったたくさんのお客さまが、今回の寄贈を叶えてくださいました。
たくさんの善意が被災地に向かって伸びて行き、ひとつひとつ確かにつながっていく様をかたわらで見届けることができしあわせでした。
この善意は、及川さんのことばにあるように、さらに輪となって広がっていくはずです。
被災地を歩き、変わり果てた姿に圧倒される一方で、部活に向かう高校生や道端で談笑するお年寄りなど、少しずつ日常が戻っている光景も目にすることができました。
今回お会いした方々はとても力強く、前を向いていました。被災地は必ず復興を遂げると思います。
最後に、今回の寄贈を通して、被災地の方から直接トイズ寄贈を要請いただける窓口もスタートしようとしています。
ほかの誰かを想う気持ちは、これからもつながっていきます。

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