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とうほくIPPOプロジェクトレポート -みなとまちセラミカ工房(阿部鳴美さん)-後編

「とうほくIPPOプロジェクト」支援先活動レポートシリーズは、第4期と第6期の支援先である「みなとまちセラミカ工房」阿部鳴美さんに、お話をうかがいました。

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前編からつづく

 

■セラミカ工房の由来やこだわりを教えてください。

 

「セラミカ」という言葉は、スペイン語でタイルや陶磁器全般を意味していて、スペインを訪問したときに、何度も何度も耳にした言葉です。陶芸から始まった取り組みですので、名前は「セラミカ工房」とすぐに決めました。

 

工房で使用している陶板や釉薬はすべて、本場スペイン製です。材料と技法はスペインのものですが、作っているのは女川ですので、女川らしさを出したくて、懐かしい女川の景色や、獅子舞など伝統文化のモチーフをたくさん描いています。お土産には、サンマやホヤなどのお魚シリーズがとても人気なんですよ。

 

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工房で作った作品をお買い上げいただくこともできますし、ワークショップやスクールを開いていますので、ご自分で色付けすることもできます。お客さまが色付けされた作品は、私たちが責任をもって焼き上げます。窯では1時間ごとに100℃ずつ上げて、じっくり焼いていきます。

 

 

■そんなに細かく温度を管理するのですか?

 

ええ、900℃になるまで。お客さまの大事な作品ですから失敗は許されません。毎回とても緊張します。冷まして完成するまでに、丸2日間かかるんですよ。そうして完成した作品をお客さまに発送することを、わたしたちは「嫁入り」と言っています。あちらでかわいがってもらってね、とまるで親のような気持ちを込めて送り出しています(笑)。

 

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 スタッフによる絵付けの様子    

 

 

■届いたときのお客さまの笑顔が目に浮かぶようです。最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 

女川スペインタイルをこの町の新しい産業、そして新しい文化として根付かせていきたいと思っています。

 

おかげさまでご来訪いただく方は増えましたが、これから時を重ねていくと、今後は女川を訪れる人は減少していくだろうと予測しています。お店に来られる方だけでなく、もっとこちらから女川スペインタイルの存在を発信していこうと考えています。ウェブサイトなどを通して日本中に、このスペインタイルの家族を増やしていきたいですね。

 

震災で失ったものは多いけれど、震災があったからこそ、たくさんの出逢いや経験があり、わたしたちの大切な宝物となっています。みなさまからいただいたご恩に対して、私たちがこれからも元気に活動することでご恩返しをしていきたいです。

 

 

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【2018年秋取材:KY】 

 

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みなとまちセラミカ工房
https://www.ceramika-onagawa.com/

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