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とうほくIPPOプロジェクトレポート -ももがある(斎藤由芙子さん)-前編

「とうほくIPPOプロジェクト」支援先活動レポートシリーズは、第4期の支援先である「ももがある」斎藤由芙子さんに、お話をうかがいました。

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福島市田沢にある「ももがある」の加工工場兼ショップに併設されている事務所で斎藤さんにお会いしました。

 

仙台市でヴォイストレーナーとゴスペルのディレクションに携わっていた斎藤さんは、東日本大震災後、実家のある福島市に戻り、仙台と福島を往復する日々を送るようになりました。福島の人々を元気にしたいとの思いをもって、さまざまな取り組みに関わり、やがて2014年3月に「第1回LIVE!スマイルふくしま」を開催します。

 

その後NPO法人の事務局としてまちづくりにも携わるなかで、外部から招いた景観アドバイザーの先生の「福島はすばらしい資源がいっぱいある宝のような土地だ」という言葉に触発されます。

 

 

■主力商品「ももふる」の開発に至った経緯を教えてください。

 

福島を外から見て、豊かな資源のあることに気づかせてくださった先生の言葉に、目からうろこが落ちる思いがしました。それから福島の魅力的な資源を拾い上げて取材するなかで桃農家さんと出会いました。そして、完熟した桃は出荷できない、とか、ほんの少しのキズがあるだけでほとんど値段がつかなくなってしまう、そんな桃が大量に捨てられている現状を知りました。

 

農家さんが愛情を込めて育てた桃なのにもったいない、なんで売れないんだろう、と。
だったら私が流通の仕組みを作って、震災による風評被害も払しょくして、こんなにおいしい福島の桃をたくさんの人に食べていただけるような商品を開発しようと決意しました。

 

桃は生で食べられる季節が限られています。そこで、福島の桃を一年中おいしく味わってもらえるように、完熟桃のピューレを作ろうと思いつきました。桃のピューレは、デザートやソース、カクテルなど料理の世界でもよく使われているみたいですが、使用されているのはほとんど輸入品なので、国産の完熟桃のピューレができるといいんじゃないかと思ったんです。

 

商品を製造するための加工場を探しているときに、桃の漬物を製造している工場の社長と出会いました。桃の特性や加工についてアドバイスをいただきながら、いよいよ自宅のキッチンで試作をスタートしました。

 

桃はすりつぶすと空気に触れる面積が大きいので褐変(色が茶色くなること)しちゃう。だから、たいていのピューレ商品は香料や防止剤が入っています。でも私はどうしても無添加でやりたくて、いろいろ試したのですが、色が変わってしまったり、色は変わらないけど味が変わったり・・・・・・。

 

なかなかうまくいかなくて、何度も何度も試作を繰り返したのですが、思い切って桃のピューレから転換して、完熟の桃本来の美味しさをそのままとじこめた「ももふる」を商品にすることにしました。

 

あまり知られていないのですが、福島には50種類以上の桃があります。それぞれ味わいが違います。食べ比べて種ごとの特徴を感じてもらえるよう、21品種の桃で試作。より福島らしさを打ち出そうと品種を選び抜いて、2016年の秋に本格的に販売をスタートしました。

 

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■いよいよ経営者としてスタートされましたが

 

いま振り返ってもすごいご縁だなと思うのですが、ちょうどこのタイミングで、その社長より漬物の加工場を閉めるとお聞きしたんです。思い切って譲り受けることにしました。

 

私には経営の経験はまったくありません。先行きがどうなるかなんて、そのときにはまったくわかりませんでした。ほんとうに、ゼロからのスタートでした。加工に関しては、私にはわからないことばかりです。徐々に、見かねた加工場のチーフと、そして加工業務の経験のあるスタッフが手伝いにきてくれるようになりました。

 

いまでもチーフやスタッフに、任すところは全面的にお任せして、とても頼りにしています。

 

チーフをはじめスタッフは全員女性なので、家の事情もさまざま。子どもがいたり、習い事があったり・・・・・・。でも全然問題ありません。全部OK! スタッフの誰かが早く帰らなければならないときもあれば、お休みしなくてはならない日もあります。そんなときはスタッフ同士でうまくフォローしあっています。女性が働く環境としても、うちが福島の会社のモデルケースになれればいいな、と思っています。

 

 

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 加工場を見学させていただきました。完熟桃をカットして、袋詰めして、
 真空冷凍、と、すべての工程は手作業。見事な連携で進みます。    

 

 

後編につづく 

 

【2018年9月取材:KY】 

 

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ももがある
https://momogaaru.co.jp/

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