フェリシモCompany

~ その⑤ 想いのリレー  ~ 【5/10】

誰もそこに留まれないという事実が次へのバトンを作る。
遠野まごころネットでは作業から帰ってきたあと「参加自由のボランティアミーティング」なるものが開催されます。体育館で宿泊している多くのボランティアメンバーが集まって「本日の作業で気づいたこと」「運営上、変更したい点」「実際に改善したこと」などがサンマ隊以外も含め全セクションを対象に話合われます。
初日にサンマ隊で出会った博多の男性がいるのですが、彼は2日目には内勤として受付業務に従事してくれて、報告によると今日1日で多くの改善を実施してくれたようです。
例えば、「その日の組織図」を壁に書きだすことで、入れ替わりが激しいボランティアでも誰に報告・連絡・相談をすればいいかを分かりやすくしてくれたり、「自分たちが使う備品を買うための募金箱」というものを設置してくれたり。(ガムテープにしても洗剤にしてもどこかからお金をもらえる訳ではないので。)
ミーティングではサンマ隊の班長たちからも活発な意見とアイデアが出ます。例えばバスがスムーズに出発できるような方法にしようと言えば、翌日からバスへの乗車方法がすぐさま変更されたり、サンマの悪臭をとる方法を考えてほしいと言えば翌日には、水産業者が使うような石鹸やスプレーが配備されたりと、その改善スピード感たるや何をとっても凄まじいものがありました。
さらに、このミーティングを聞いていてひとつ特徴があることに気づきます。
それは、発言する班長や一般参加のボランティアが口にする言葉にある2つのキーワードが頻繁に使われているということです。
それは、
・「現地の人達にとって、」
・「後からやってくるボランティアのために、」

という言葉です。
自分たちは、結局のところ数日後にそこを去らなければいけないのです。
ゆえに、「自分しか分からないこと」「自分しかできないこと」を作ることがどれだけ無意味であるか、逆に「次に来る人のために、自分を活かせることをして今をより良くしておく」という考え方を全員が無意識に共有している様子が本当に素晴らしくて、これこそが、毎日進化していくボランティア組織の原動力になっているんだなと思いました。
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体育館でミーティングするボランティアメンバーたち

後輩が持たせてくれた「がんばろう東北シール」
実は出発する前、ボランティアに行くことを聞いた後輩が自作の「がんばろう東北シール」を100枚近く印刷して渡してくれました。しかも、他のフェリシモスタッフにも声をかけて集めた2万円近いカンパと手紙を添えて!
手紙には、カンパに協力してくれた十数人の名前とともに、「自分たちもこんな形ですが支援させてください。」と書いてありました。あくまで個人的に参加しようと思っていた僕のボランティア活動は、この瞬間から他のみんなの願いも一緒に乗せた活動に変わっていたのです。
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渡してもらった「がんばろう東北シール」は、「赤くて丸い形」をしているので、白いヘルメットに貼れば日の丸のようにも見えるというコンセプトでした。(ガーン!僕のヘルメットは紺色・・・)ひとまず僕は、まごころネットの朝礼のときに、ヘルメットを持っている人に声をかけてシールを配っていきます。
「すみません、後輩がこういうシールを作ってくれたんですが、貼ってみたくないですか?」
すると、答えは決まって、
「コレいいじゃないですか!是非欲しいです!!」でした。(良かった!)
まず初日の朝に20枚、翌日に20枚ほど配ると、3日目くらいからある変化が起きました。同じように声をかけてシールを見せていると、横や後ろからそれを見た人たちが、
「あ、このシールここでもらえるんですか?欲しいです!!」
と人だかりができて、あっという間にその日の分がなくなってしまうようになったのです。みなさん、誇らしげに自分のヘルメットにそのシールを貼ってその日の作業へ出発していきます。もともと、ここにいる人たちは日本各地、いや世界中から集まってきた他人同士ですが、こういう共通のトレードマークを持つだけで不思議と一体感が出てくるんですね。
このシールを持たせて僕を送り出してくれた後輩たちに、この様子を見せたかったなぁと思いながら、改めてみんなに感謝を伝えたくなりました。
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みなさん誇らしげにシールを貼ってくれてました。

(次回に続く……)
haco.スタッフコジコジの現地ボランティア参加日記の一覧はコチラ

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