やっとやりたいことを見つけたのに。
ティップス
親にやりたいことを否定された……。
話し合いのコツと心構え
やっと自分のやりたいことが見つかって、胸を躍らせながら親に打ち明けてみる。
でも、返ってきたのは「現実を見なさい」といったネガティブな言葉だった……。
そんな経験はありませんか?
一番身近な存在だからこそ応援してほしい。けれど、親だからこそ一番の壁になる。
この苦しい状況に、どう心を整え、どう向き合っていけばいいのでしょうか。
この記事では、親の気持ちもひも解きながら、わたしたちの心を軽くするための考え方と、話し合いのヒントをお届けします。
親にやりたいことを
否定された……

わたしが高校時代に出会った友人のお話です。
彼女はファッションやメイク、少女マンガが大好きで、「かわいいものに関わる仕事がしたい」と考えているようでした。
でもある日、お互いの進路について話していると、「収入の安定した仕事でなければいけない。進路は看護師しか認めない」と親から言われたことを打ち明けてくれました。
きっと彼女は、情熱を持って、将来の目標を親に伝えたはずです。
やりたいことを否定されて、胸が痛んだのではないでしょうか。
「あなたのことを思って言っている」という前置きがあったとしても、その後の言葉が心に残ってしまったのだと思います。
選んだ道を「間違っている」と決めつけられると、自分の判断に迷いが生まれることがあります。
でも「わたしが間違っているのかな……」と自信を失ってしまう前に、なぜ親が否定してしまうのか、一緒に考えてみましょう。
なぜ認めてもらえないんだろう?
なぜ親は子どものやりたいことを否定するのでしょうか?
その否定の裏には、こうした理由が考えられます。
心配や不安
親が否定してしまう背景には、「失敗して傷ついてほしくない」という気持ちがあることが多いように思います。
「夢を追う=リスク」と感じてしまうと、つい、平穏な道を歩んでほしいと願ってしまうのかもしれません。
あなたの未来を邪魔したいのではなく、あるかもしれない苦難を不安に思っているのだと思います。
「しあわせの定義」のズレ
親が生きてきた時代と、わたしたちが生きている時代では、社会のルールも価値観も大きく異なります。
親世代にとってのしあわせとは、「終身雇用」「安定した収入」「結婚してマイホーム」など、画一的なモデルケースであることが多いです。
でも今は多様な生き方が認められる時代です。
この価値観の違いがあるからこそ、なかなか話が噛み合わないこともあります。
子どもへの依存
親御さん自身が不安を抱えていると、つい、子どもに自分の理想を重ねてしまうこともあります。
「親の言う通りにしていれば安心」と考えてしまうのは、大切な存在が離れていくのが、少しだけ寂しいからなのかもしれません。
どこまでが親の領域で、どこからが子どもの領域なのか、その線引きがむずかしくなることもあります。
話し合いのコツと心構え

では、親の否定とどう向き合えばいいのでしょうか?
自分の心を守りながら前に進むためのコツをご紹介します。
まずは感謝を伝える
否定された瞬間に「どうしてわかってくれないの!」と反論すると喧嘩になります。
まずは深呼吸して、「心配してくれてありがとう」など、クッション言葉を使いましょう。
親の「愛情(=心配)」を受け止め、肯定した上で、「だからこそ、私はこう考えているんだよ」とゆっくり自分の考えを重ねていきましょう。
対立ではなく対話をするためのテクニックです。
具体的な計画を伝える
見通しが立たないことを親が不安に感じている場合、熱意だけだと伝わりにくいことがあります。
そこで、夢を語るというより、「事業計画書」を見せるようなつもりで挑みましょう。
「どんな方法で、いつごろまでに、どんな形を目指すのか」など、具体的なイメージを言葉にしてみると、安心につながりやすくなります。
安心材料を提示するスタンスがおすすめです。
スルースキルを持っておく
どれだけ感謝を伝えても、どれだけ丁寧に話しても、わかり合えないことはあります。
親と子は別の人間であり、価値観が100%一致することはむずかしいからです。
そこで、親の否定を聞き流す「スルースキル」も、自分の心を守るためには欠かせません。
行動したあとで、そっと結果を伝えるほうが、気持ちが伝わりやすいときもあるかもしれません。
親に否定されると、とても苦しいものです。
けれど、親の心配は“愛情のかたち”でもあります。
その思いはありがたく受け止めつつ、人生のハンドルは、あなた自身が握っていて大丈夫。
あなたらしい歩みを、これからも大切にしていってくださいね。
STAFF
text:Kamiya Sayoko
illustration:ハヤカワオト
