便利だけど、不安になる……

ティップス

頼りすぎるのはよくないよね……
生成AIとのほどよい距離感をみつけたい

「最近、気づけばなんでも生成AIに頼っている」そういうお悩みを耳にします。

仕事のアイデア出し、メールの文面、ちょっとした悩み相談まで。

生活の一部になっていて、便利だけど、ふと不安になる瞬間もあります。

頼りすぎるのはよくないと分かっているけれど、どうしたらいいんだろう?

今回は、生成AIとのほどよい距離感を、一緒に考えてみたいと思います。

生成AIに頼りすぎちゃってます

ウェブマーケティングの会社で、コンテンツ制作をしているわたしは、日々の業務で生成AIをよく使っています。

記事の見出しを考えたり、データ分析をお願いしたりして、以前より短時間で仕事が進むようになりました。

さらに、この記事をはじめ、ライターとしての個人活動でも、生成AIは欠かせない存在です。

資料をまとめたり、読者目線での意見をもらったりと、とても頼りにしています。

生成AIブームの初期には「なんだか怖いから」「頼りすぎてしまいそう」と距離を置いていました。

でも、いつしかすっかり慣れ親しんで、仕事でもプライベートでも使っています。

最近では、ちょっとした悩みを打ち明けることもあります。

「生成AIに人生相談をしている」「家庭の愚痴を聞いてもらっている」という人もいるようです。

便利で、優秀で、いつでも寄り添ってくれる生成AI。

でも頼りにするほど、心のどこかで「もやもや」が募っていくのを感じていました。

いったいどうしてなのでしょうか?

どんな不安がある?

便利だから手放すのはむずかしい。

でも使うと不安になる。

そんなジレンマを抱えている人は少なくないと思います。

ここでは、一緒に不安の原因をイメージしてみましょう。

仕事を取られてる気がする

生成AIの出してくれた答えがあまりに整っていると、「わたしがやる意味あるのかな」と不安になりませんか?

今まで時間をかけて考えていたことでも、生成AIは一瞬で形にしてしまいます。

他人の宿題を写して提出してしまったときのように、「これは誰の力なのかな」と自信を失うことがあるかもしれません。

自分で考える力が落ちてきたかも

生成AIを使うと、すぐに答えが手に入ります。

「調べる前に考える」「言葉を選び抜く」といったプロセスがなくなることで、以前より思考力が弱っている気がします。

最初はサポート役だったはずなのに、いつしか生成AIが中心になり、「自分だけで決めるのが不安」という感覚が生まれてしまうんです。

感情まで任せてしまっているかも

「家族や友達には話しにくいけれど、誰かに聞いてほしい」そんなとき、生成AIはいつでも応えてくれます。

でも、あまりに頼りすぎると、誰かに気持ちを伝える勇気や、他人の反応を受け取る力が鈍ってしまうのかもしれません。

人とのやりとりが減ってしまう寂しさも、不安の背景にあると感じます。

ほどよい距離感で付き合っていくには?

生成AIに頼りすぎず、ほどよく付き合っていくためのヒントを3つご紹介します。

「私はこう思う」を持って話す

生成AIに質問するときは、「〇〇という理由で〜〜だと思うんだけど、どうかな?」など、自分の意見や仮説を伝えるようにしています。

思考のスタートラインまで委ねてしまうと、考える力が弱くなってしまうからです。

生成AIは「考えを深める相棒」くらいの距離感がよいと思っています。

「本当にそうかな?」を繰り返す

生成AIの答えは整っていて、思わず納得させられるものも多いです。

でも、間違った情報をもっともらしく作り上げてしまうこともあります。

だからこそ、会話を重ねながら、「このデータの出典はどこ?」「参考サイトを教えて」と問い返してみましょう。

正解を求めるよりも、一緒に考える気持ちで活用するのがおすすめです。

最後に「自分のフィルター」を通す

特に仕事では、生成AIの出した内容をそのまま使うのではなく、必ず自分の言葉で手直しするようにしています。

抽象的な表現が多かったり、特定の単語を何度も使ったり、生成AIにも言葉のくせがあるからです。

また、生成された文章は整っていますが、あなたらしさがないと、読んだ人の心には届きません。

「この言葉は自分の感覚に合っている?」「本当に伝えたいことはこれ?」

そうやって確認を重ねることで、生成AIの提案は、ようやく自分のものになります。

編集部のまとめ

生成AIは便利で頼もしく、わたしたちの毎日を支えてくれる存在です。

でも、すべてを委ねてしまうと、考える力や感じ取る力が少しずつ薄まってしまう気がします。

生成AIの力を借りながらも、最後の仕上げは自分の手で。

それが、人間と生成AIのほどよい距離感なのかもしれません。

STAFF
text:Kamiya Sayoko
illustration:ざざ(@zaza.hibi)