わたしはここで何をしているんだろう?
ティップス
出社してもやることがない……
暇でつらいときの対処法
「仕事が暇すぎてつらい」そんな声、実はよく耳にします。らくそうに思われがちですが、手持ち無沙汰の時間って案外しんどいもの。周りが忙しく働いていると、なおさら孤独を感じてしまいますよね。
今回は、そんな暇がつらい理由を一緒に考えながら、心が少し軽くなるヒントをお届けします。
仕事が暇すぎてつらい……

朝、いつも通りに出勤して、自分の席に座る。でも、今日もやることがない。
「何かやることがあったら声をかけてください」と定期的に伝えてはいるけれど、「マニュアルを見て覚えれば大丈夫」「しっかりやってくれているから心配しないで」と上司には言われた。
周囲を見渡すと、ほかの人たちが忙しそうに電話を取ったり、資料をまとめたりしている。その横で、自分はパソコンの前で手持ち無沙汰。ときおりメールチェックやファイル整理をしてみても、時計の針はなかなか進まない。
そんな毎日が続くと、「わたしはここで何をしているんだろう?」と考えてしまうのも無理はありません。やりがいを感じられず、ただ時間だけが過ぎていく日々は、自分の存在意義まで見えづらくなってしまいますよね。
どうして暇がつらいんだろう?
「暇なんて、らくでいいじゃん」と思われる方もいるかもしれません。でも、忙しいときには感じなかった種類のつらさが、暇にはあります。ここでは、暇がつらい理由を一緒に考えてみましょう。
自分だけ取り残されたように感じるから
周りの人は忙しそうに動いているなか、自分だけが静かに座っていると、まるで違う世界にいるような気持ちになることがあります。「自分はこの職場で必要とされていないのでは?」「期待されていないのでは?」という考えがふとよぎり、孤独や焦りを感じやすくなるのです。特に、真面目で意欲的な人ほど、そのギャップに傷ついてしまいやすい傾向があります。
やりがいや達成感を感じられないから
仕事で「誰かの役に立てた」「自分の力が活かせた」と感じられる瞬間は、わたしたちの心を支えてくれる大切なエネルギー源です。けれど、やることが与えられなかったり、自分の裁量で進められる業務がない状態が続くと、その達成感を得る機会がほとんどありません。日々の積み重ねによる成長実感や手ごたえが感じられないことで、自信や意欲がじわじわと削がれていき、「何のために働いているんだろう?」という迷いにもつながってしまいます。
退屈だと心理的ストレスがかかるから
心理学では「感情の空白は不安を呼びやすい」と考えられています。脳は適度な刺激があることで活性化され、やる気や集中力が保たれます。ところが、退屈な状態が長く続くと、脳への刺激が極端に少なくなり、脳がネガティブな感情にアクセスしやすい状態になってしまうそうです。これは、過剰な情報処理によるストレスとは真逆の、刺激がなさすぎることによるストレスで、気づかぬうちに自己否定感が悪化する可能性もあります。
おすすめの対処法

では、そんな「暇すぎてつらい」状態を、どう乗り切ればいいのでしょうか?すぐに取り入れられる対処法を3つご紹介します。
業務リストをつくる
まずは業務リストをつくってみるのがおすすめです。次の手順で進めてみましょう。
①自分ができる仕事・これまで担当してきた仕事をリスト化します。備品の確認や書類の整理など、どんなに小さなことでも書き出してみてください。
②マニュアルに載っていないことでも、役立ちそうなアイデアがあれば記録しておきましょう。
③定期的に内容をブラッシュアップします。一度で完璧なものをつくろうとしないのがポイントです。
自分の役割が可視化されると、自信の回復や上司への相談材料にもなります。暇な時間に、心を整えるための小さな行動として、ぜひ試してみてください。
スキルアップの時間にあてる
スキルアップと聞くと「めんどくさいな」と感じてしまうかもしれません。でも、やることがないことで感じるマイナスの気持ちを、「未来の自分のためになる行動」に変えられるチャンスでもあります。
やみくもにむずかしい勉強を始める必要はありません。5分で読める記事を1日1本読む、社内マニュアルを熟読して気づきをメモするなど、「できた」を積み重ねる意識が大切です。「やれることが増えていく」実感へと変わることで、自己肯定感も高まりやすくなります。
業務の全体像を知っておく
社会人生活、特に若手のうちは、目的などを教えられず、業務をぶつ切りで任せられることが少なくありません。すると「どうしてこんな仕事をしなきゃいけないんだろう」といった不満を感じやすく、やる気の低下にもつながります。そこでおすすめしたいのが、仕事の全体像を把握することです。部署全体やチーム全体がどんな流れで仕事をしているのか、誰ががどんな業務を担当しているのか知っておくと、職場の中での自分の役割や今後の可能性を見つけるヒントになります。まずはマニュアルや議事録から目を通してみましょう。
「仕事が暇すぎる」という悩みは、決して贅沢ではなく、真剣な悩みです。やりがいを感じられず、ただ時間だけが流れる日々は、自分を見失いかねないですよね。
でも、ちょっとした工夫で、その時間を未来への種まきに変えることもできます。
焦らず、できることを少しずつ。今はゆっくり準備する時間なのかもしれません。悩みを抱える方にこの記事が届きますように。
STAFF
text:Kamiya Sayoko
illustration:lilyco