祝祭の服に込めた祈りをニットに変えて / Couturier 2025-’26秋冬新作キット

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Couturier 2025-’26秋冬新作より、神戸ファッション美術館所蔵のポーランドの祝祭衣装から着想した「祝祭の服」のようなセーターが編めるキットが誕生しました。

 

アラン編みのセーターで伝統衣装の装飾を表現

美しい編み模様とフリンジが印象的な今回の新作ニット。
デザインソースは、神戸ファッション美術館に所蔵されている、ポーランド・クラクフ地方の伝統衣装です。

所蔵:神戸ファッション美術館

こちらの衣装は、20世紀初頭の未婚女性の祝祭衣装です。華やかな装飾は、「生命力」「魔除け」「団結」などの意味を象徴すると考えられています。特別な日に身を包み、祝いの喜びを身にひたす服。それは、束の間日常を忘れさせ、日々の暮らしにリズムを与える大切な存在とされてきました。

 

ビーズや刺しゅうが施された「胴衣」部分をデザインに

今回のセーターには、ビーズや刺しゅうがふんだんに施された「胴衣」の部分をデザインに反映しています。

ポーランド・クラクフ地方において、古くは、胴衣は羅紗の生地に貝ボタンや赤い房が飾られていました。そこから、時代の流れに沿って素材の選択肢が増え、艶のあるテープやカラフルなモールで縁取られるなど、豪華さも加わり、デザインもだんだんと変化しながら多様化していきました。こちらの衣装は、伝統的なかたちに少し現代の素材も取り入れられた、20世紀初頭の作品とされています。

ポーランドの伝統的な衣装に込められた祈りとは…?

胴衣の装飾には、ひとつひとつ意味が込められていると言われます。

赤いビーズには「生命力・情熱・豊穣」、金色の刺しゅうには「富・高貴・神聖」、幾何学模様・円形のビーズの配置には「調和とバランス」「家族の絆」、フリンジには「魔除け」など。

神戸ファッション美術館監修のもと、今回のセーターでは、その装飾の意味をアラン模様で表現しました。

特に、「生命力」「豊かさ」「魔除け」「幸福」「団結」」といった意味に近いものを、アラン模様からピックアップしています。

  • 樹木模様:生命力
  • ダイヤモンド模様・バスケット模様:豊かさ
  • トリニティ・ステッチ・星模様:魔除け
  • 波模様・ハニカム模様:幸福(人生の祝福・成功)

クラクフ地方の人々の祈りをなぞるように、ひと編みひと編み。編むほどに自分自身も幸せに包まれていくようです。

歴史に翻弄されつつも伝統衣装でつなぐ思い。母から娘、孫娘へと

ポーランドは東西ヨーロッパの中間に位置し、歴史の中で何度も侵略や国土の分割が繰り返された国です。その逆境の中で、各地方で独自の文化を作り上げてきました。民族衣装もその一つです。

今回、モチーフとなった伝統衣装を生んだクラクフ地方は、11世紀以降首都だった時代があり、その際モンゴル軍の襲撃を受けています。その後、1655年にスウェーデンが来寇(らいこう)。1795年以降はオーストリアに併合されました。侵略を繰り返され乗り越えてきた地域なのです。

ポーランドの中では、モンゴル軍襲撃を防いだのはクラクフ地方だとされています。クラクフの人々は祖国を守った誇りを、伝統衣装に華やかな装飾をあしらうことで表現したのでしょう。

そんな歴史も感じながら、そして、民族衣装の晴れ着ではよくあるお話しですが、母から娘へ、孫娘へと大切に受け継がれていたのではと想像がふくらみます。

祝福への想いを編み上げて、一生の宝物に。

今回のセーターの特徴である、祝祭の服の繊細な装飾を手編みで表現したデザインは、編み上げるとボリュームたっぷりのセーターに仕上がります。肩から胸のまわりは、さまざまなアラン編みの模様が彩られ、なんともドラマティック!

厳選したメリノウール100%の毛糸を使って、ヴィンテージのような趣のある仕上がりに。

編みごたえがあり、完成までに時間もかかりますが、しあわせを願う装飾の意味を感じて模様を編むのは、豊かで尊い時間になることでしょう。
そうして編み上げる一着は、ふだん着だけれど特別な一生モノのセーターです。

色はWHITE、RED、GRAYの3色。お好みの色を選んでくださいね。

神戸ファッション美術館

神戸ファッション美術館は、ファッションをテーマにした、公立では日本初の美術館です。1F展示室では、多彩なアートを紹介する「特別展示」と貴重な収蔵品を活用した「コレクション展示」を開催しています。3Fでは、国内外のファッション関連の蔵書約45,000冊、20世紀初頭からのファッション雑誌のバックナンバーが閲覧できます。(※「コレクション展示」は状況により、開催していない場合があります)
〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中2-9-1
https://www.fashionmuseum.jp/

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