「フェリシモこども基金」は、2001年に起きた米国同時多発テロ事件をきっかけに、子どもたちにしあわせな未来を贈りたいという思いで、「LOVE AND PEACE PROJECT（ラブアンドピースプロジェクト）」として生まれた基金です。集まった基金は世界の子どもたちの支援活動に活用しています。

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ポーランドに退避したウクライナの子どもたちが
教育を継続するために必要な通学バスを提供

「フェリシモこども基金」より、ポーランドのワルシャワ日本語学校教頭、坂本 龍太朗（さかもと りょうたろう）さんを通じて、ウクライナからポーランドに退避している子どもたちが教育の機会を継続するために必要な通学バスを提供します。
（※この支援は2023年8月に決定しました）

私はポーランド・ワルシャワ在住で、ワルシャワ日本語学校の教頭を務めております坂本 龍太朗（さかもと りょうたろう）と申します。

ワルシャワからウクライナの国境方向へ約45キロ離れた町、ツェレスティヌフを拠点に、ポーランド国内に避難をしているウクライナのみなさんや、私の家に避難をしてきた家族、そしてウクライナ国内の人道支援物資搬入活動に従事してきました。

現在、ウクライナ国内の物的な支援は循環していますが、ウクライナから周辺国に避難をしてきたみなさんのライフラインへの支援の枯渇が課題になっています。このライフラインには、教育をはじめとする子どもたちの支援が含まれています。慣れない国や場所で生活をしている子どもたちに安定した教育の機会を提供することも、今後必要とされる支援だと考えています。

開戦以降、多くのウクライナの子どもたちはポーランドのオトフォツク市（人口約4.5万人）に避難をしてきました。ポーランド国内では教育改革（2014年に中学校が廃止され、小学校が6年制から8年制に変更）があり、ウクライナの子どもたちを受け入れると収容人数を超えてしまう学校もあります。

今回の支援対象であるオトフォツク第九小学校は、ポーランドの中心地から離れた郊外にある体育館もない小さい学校で、戦前は約40人の児童が通う統廃合対象の学校でした。しかし、2022年9月からこの学校に、オトフォツクやその近郊の街からウクライナの児童が集められると、ウクライナ人の先生を雇ってウクライナ語による教育が提供されるようになりました。

学校は郊外にあり、授業が午前と午後の部に分かれていることから、18人乗りのバスで一日に何度か子どもたちを送迎していましたが、ポーランド国内の財政難で2023年9月の新学期からはバスの送迎がむずかしくなりました。このままではウクライナの子どもたちは、ウクライナ語による教育の機会を奪われ、近くの学校に転校をしてポーランド語による授業を受けなければなりません。

■支援内容

子どもたちが自力で通学するにはむずかしいことから、自転車を購入・提供するなどの手段も考えましたが、冬はマイナス20度を下回ることもあるポーランドでは、子どもたちは親の車で通学をしていることや、小さな学校にたくさんの自転車を止めるスペースの問題、そして安全面などを考えると、子どもたちが自転車で登校することはむずかしいと思われました。

そこで、18人乗りの中古バスを購入し小学校に提供することで、子どもたちが安心して通学できるようにしたいと考えました。中古バスはポーランド通貨で最大7万PLN（日本円では約210万円）を想定。その他通学にかかる運転手を雇う費用やガソリン代などは、バスの確保できればポーランド教育省から小学校に提供される予定になりました。

このバスの寄贈による受益者は、ウクライナの子どもたち90名～130名です。バスがなければ子どもたちは転校や帰国しなければなりませんでしたが、最大人数の子どもたちがバス通学で教育を継続することが見込まれています。

〈支援者のみなさまへ〉

長引く戦争はポーランドだけでなく、各地の避難民への支援の拡充が求められています。このたびは「フェリシモこども基金」からのご支援で、教育の機会を奪われかねない状況にあったウクライナの子どもたちに、安定した教育支援の一環としてバスという手段を提供することになりました。

バスの寄贈先はオトフォツク第九小学校ですが、公立小学校のため所有者は「オトフォツク市」になります。この先戦争が終わり、ウクライナの子どもたちが帰国した後のバスの活用方法をオトフォツク市と協議した結果、オトフォツク市のウクライナ側の姉妹都市であるテルノーピル州シュムシク市の小学校（将来的な所有者は「シュムシク市」）に寄贈して、引き続きウクライナの子どもたちのために活用する予定です。

みなさまからのご支援に心より感謝申し上げます。引き続きウクライナ国内外をはじめとした継続的な支援を続けてまいります。

■ウクライナの子どもたちへ通学バスの提供
実施場所：ポーランド／オトフォツク市　オトフォツク第九小学校
実施期間：令和5年9月
・坂本 龍太朗さんのその他の支援活動（Facebook）はこちらから