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2017年度基金活動報告 ー心のバリアフリー講習会「自閉症の疑似体験」への支援(特定非営利活動法人 クルーズ)

2017年度にCCPチャレンジド応援基金より拠出した特定非営利活動法人クルーズさまの活動レポートをご紹介します。

『心の輪を広げようプロジェクト』として、地元の公立小学校4年生を対象に、バリアフリー講習会(擬似体験)を行いました。4つの体験を通して、支援とは何か? を一緒に考えていく学習会になりました。

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この活動は「みんなちがって みんないい」 この言葉を、実際の体験を通して、子どもたちに心で感じてもらうことがねらいです。内容は主に4つの体験がメインです。今回は、2クラスずつ約70名を対象に、多目的室で二回(1~2限。3~4限)に分けて行いました。また、ここで使用するピンホールメガネは神戸市のB型事業所の利用者さんに、制作を依頼しました。

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「どんなふうにみえているの?」
ピンホールメガネを使って、ピンスポットの世界を体験します。動物の帽子をかぶったスタッフを、ピンスポットから見た世界の中で見つけてもらう体験です。思った以上に視野が狭くて苦戦する子どもたち。机の上での勉強ではなく、体を動かしての体験授業にみんな笑みがこぼれています。

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「どうしてうまくできないの?」
サイズの大きなゴム手袋をはめてのシール貼りです。普段なら、簡単に出来るシール貼りも、手先の自由が利かないと、なかなかうまく出来ません。この時、スタッフはわざと意地悪な言葉かけを行います。
「え、まだ出来ないの?遅い!代わりにやってあげようか?早く早く!」など……。焦ってかえってうまく出来なくなったり、「もう!うるさい―。なんやこれ(涙)」という反応。(ごめんね。スタッフみんな、本当は優しいんですよ(笑))

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「どんなふうに聞こえているの?」
最初にICレコーダーで録音した音を聞いてもらいました。子どもたちは「ガチャガチャ音が大きくて、何の音か分からへん」。実はこの音は、休み時間の廊下で録音した音です。不思議だね、みんなどうしてこんなうるさい音の中で、友だちとおしゃべりしたりが出来るんだろう? ということがたくさんです。続けて、スタッフと先生5人で、口元をかくしての指示だしを行います。一人だけが簡単な指示だしをしています。さぁ、同時に違うことを話している音の中から、指示だけを聞き取ることは出来るかな?結果1回目は0人。2回目は、口元を見せての指示だしで、全員が無事に聞き取ることが出来ました。

「言葉がわからないってどんなこと?」
これは、擬似体験のメインイベントともいえる体験になります。クラスから数人を選び、部屋の外(中の様子が分からない場所で待機)に出てもらいます。その間に残った子どもたちも含めて、まるごとここは『ピカチュウ王国』に。ピカチュウ語以外は通じません。英語もフランス語もスワヒリ語?も使えません。その中で、一度退室していた子どもたちに戻ってきてもらいます。「ぽかーん」とした表情を浮かべる子、何が何だか分からなくて泣きそうになっている子。言葉以外のコミュニケーションを使うことの難しさ。自分だけが分からない切なさ、もどかしさ。色々と感じてもらえたかな。最後には何とか『ピカチュウ王国』のみんなとコミュニケーションをとることが出来ました。

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これら4つの体験は、一つ終わるごとにまとめを入れています。体験のあとに「ではどうすればいいのか?」を具体的、客観的に知ることで、実感をもって心の中に感じてもらえると思うからです。

最後のまとめでは 『よいかたち』 という支援の手がかりを頭文字であらわした言葉の紹介もしました。

  予告で見通しをつけてあげましょう。
 言うより、見せて理解させてあげましょう。
 簡単で、わかりやすい言葉で伝えましょう。
 楽しいこだわりは見守ってください。
 小さなルールの積み重ねを大切にしてください。

この言葉が、支援の手がかりになると良いなと思います。

最後に、紙芝居『ひび割れ壺』をみんなで観て、約90分の擬似体験授業は終了しました。

90分!小学4年生にとって、かなりの長い授業時間です。でも、子どもたちの顔はキラキラ。笑ったり、戸惑ったり、初めての体験授業を楽しんでくれたようです。
終了後、わざわざ私たちのもとへ、「楽しかったー!」「めちゃめちゃ面白かった!」と言いに来てくれた子どもたちもいました。感動です。これだから、出前授業はやめられないのです(笑)

<支援者のみなさまへ>

この度は、ご支援ありがとうございました。
クルーズ啓発スタッフは全員普通のお母さんです。そして、障害のある子どもを育てています。
私たちは、日々の生活の中で、経験を通して多くのことを学んできました。机の上の勉強だけでは、気付かなかったことがたくさんあります。そして私たちは、うれしいことを見つけて楽しみ、笑うことの素晴らしさを知りました。この活動にご興味のある方はぜひご連絡いただけたらと思います。

『心の輪を広げようプロジェクト』では、これからの未来を作っていく子どもたちや、そこに関わる方々。多くのみなさんと一緒に、笑顔の輪を広げていきたいと思っています。

■クルーズさまのその他の活動はこちらからご覧いただけます。

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